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Extended Universe   作者: ぽこ
最初の街 - ファスティアン -
11/66

採取と発見-2


「三人で2400Gでしょ~。問題ないじゃん」


「ポーションをそろえても2000Gなら余裕だろ?」


「ほかにも異常状態の回復薬とか、装備の見直しとか色々あるだろう…?」


困った様に眉を下げながら、エトは今後の資金繰りに頭を使っているのだろう。

大変だな~と彼らを反面教師に、自身の金策方法を考える。


今回の一時間分の採取で得たアイテムをどれだけ売って、どれだけ手元に残すか。

悩ましいところである。


職業で【薬師:調合師 】を選んだため、調合用のアイテムを揃えればポーションが作れるはずだ。おそらく市販品よりも高品質か、低価格で手に入るだろうから、調合用のアイテムと調合する際のルールなんかが厳密に決まっていた時が面倒だ。

特定の場所でしか調合できないとか、レベル制限とか。「ないといいなー」と考えつつ、そういえば上がったレベル分のSPの振り分けもしなければならないんだったと思い出す。


「ねえ、ナル!」


「え、あ、ごめん聞いてなかった。何?」


色々と考えることが多すぎて、思考を巡らせすぎたようだ。彼らの話が頭に入っていなかったことを反省して聞き直す。


「ナルも次の街に行くのにお金が必要だと思うでしょ?」


エトはむすっとした声で問いかける。どうやら彼らを説得するのに時間がかかっているらしい。話を聞いていなかったことに対してもよく思っていないのだろう。


仕方がないから、()()をやるか。


「うん。例えば、さっきエトが言ってた通り。

この先は森を抜ける必要があるから、麻痺や毒なんかの異常状態対策。

それから、休憩ポイントになるテント、各種ポーション類と、関所なんかがあった場合には通るのにお金がかかる場合もあるし、近距離の場合、出来れば初期武器よりも少し強い武器や防具が欲しい。

PKに備える必要もあるね。

隠蔽系のアイテムを買う必要もある。

だから金策は大切。

でも、二人の意見もわかるよ?

HPがなくなれば、デスペナルティ。

そうなれば元も子もないからね。

とはいえ、大量に買った後に次の街ではもっといいポーションが売られていました。なんてなったら、そっちを買うよね。

つまりお金が無駄になっちゃうかもしれない。

だから、モンスター討伐のクエストを受けてお金を貯めるといいんじゃない?

素材もおそらく武具特化型だろうし。」


ぺらぺらと思いついたことを適当に話していれば、二人はよくよくこの先のことを考えるきっかけになったらしい。

言っていて気が付いたけれど、ソロの自分はPKに狙われやすい。その対策も考えないといけないな。対モンスターは何となく動きがつかめてきたけれど、対人戦となると話は別だ。とはいえ、PKプレイヤーもこんな序盤でPKをしても非効率だから早々ないとは思うけど。


「だから、お金は計画的に!」


エトは二人を注意すると、大きなため息をつく。本当に大変なんだな。と苦笑しながら三人を横目に、漸くついたファスティアンの西門へと目を向けた。


街へ入れば、かなりの賑わいを見せていた。

NPCとプレイヤーの数が半々ほどになっただろうか。夜明け前に比べればかなりプレイヤーの数が増えた。そろそろ狩場争いが激しくなるだろうし、地図の数も揃っているかがわからない。

早めに移動すべきだろう。さて、彼らは気づいているだろうか。


「エト」


「うん、ちょっとやばいかもね…。」


どうやらエトも同じような事を考えているらしい。一旦彼らのことはエトに任せておけば問題なさそうだなと、考えを改め自身のこれからについて考えることにした。兎にも角にも、まずはギルドに向かい、報酬と地図、それから、情報があれば集めたいところだ。


全員で冒険者ギルドへと向かい、それぞれ報酬をもらうためにカウンターへ並んだ。

カウンターにはユーセスさんがいて、丁度手が空いたようなので担当してもらうことにした。やはり少しでも関わった人の方が何かとやりやすい。


「おかえりなさい、ナル様。依頼はどうでしたか?」


変わりない笑顔で対応してくれるユーセスさんへ、取ってきた素材を渡せば、箱へ入れるように指示された。

箱は銀色の大きなもので青い光が文様をめぐっている。文様も複雑な形をしていて、所々インクを零してしまったかのような点がいくつか見られる。

魔法なのか、近未来的な何かなのか、と内心小首を傾げなら、言われた通りに素材アイテムを入れていく。すべて入れると、ユーセスさんが何か操作をしたらしい、箱が青白く光ると、中身が一瞬にして消えた。


「転移?」


ぽつりと零せば、ユーセスさんは「はい、倉庫へ転移させました。」と笑顔で答える。そして、向けられた画面には、クエストと格納した内容が表示されている。


==

体力回復薬の材料採取(HPポーション)

 グラスオークの若葉:3/3

 輝く草花(シャイニンググラス):2/2

 風の果実(ウィンドフルーツ):1/1

 ソイルハーブ:2/2

 サンローズ:1/1


魔力回復薬の材料採取(MPポーション)

 ムーンティア:2/2

 ライトブロッサム:2/2

 ストームフラワー:1/1

 ルミナスバジル:2/2

 輝く草花(シャイニンググラス):1/1


解毒状態回復薬の材料採取

 シルクウィード:2/2

 サンローズ:1/1

 霧の露(ミストドロップ):2/2

 グラスオークの若葉:2/2

 星屑の草(スターグラス):1/1


麻痺状態回復薬の材料採取

 ソイルハーブ:2/2

 グラスオークの若葉:2/2

 風の果実(ウィンドフルーツ):1/1

 ルミナスバジル:2/2

 サンローズ:1/1


混乱状態回復薬の材料採取

 ルミナスバジル:2/2

 星屑の草(スターグラス):2/2

 ライトブロッサム:1/1

 グラスオークの若葉:2/2

 霧の露(ミストドロップ):1/1


初歩調合材料の採取(薬)

 グラスオークの若葉:2/2

 シルクウィード:2/2

 風の果実(ウィンドフルーツ):1/1

 サンローズ:1/1

 輝く草花(シャイニンググラス):2/2


初歩調合材料の採取ポーション

 輝く草花(シャイニンググラス):2/2

 サンローズ:2/2

 ムーンティア:1/1

 ルミナスバジル:2/2

 ストームフラワー:1/1


初歩調合材料の採取(魔力水)

 ムーンティア:2/2

 ライトブロッサム:2/2

 星屑の草(スターグラス):1/1

 グラスオークの若葉:1/1

 シルクウィード:2/2

==


「はい、問題なく、すべてお預かりいたしました。それでは報酬はこちらになります。」


そうして向けられた画面を見れば、【1600G】と記載されていた。内容を確認し、問題ないことをユーセスへ伝えると、彼女からお金が詰まっているだろう子袋を渡された。触ればそれはインベントリへと吸い込まれ、ステータス画面にて、増えたお金を確認することができた。


「すごいですね。これだけの採取をこんなに早く達成されるなんて!快挙ですよ!しかも品質も良いものが多いのでとても助かります。」


嬉しそうに話すユーセスに苦笑する。

確かに、これだけの数を集められたのは、あのスキルがないと無理だったろうな。

思ったより数があったから一時間でこの量は普通に考えれば不可能だ。が、流石に自由度の高いゲーム。方法はいくらでもあるらしい。


「よかったです。ユーセスさん、次の街へいくのに、おすすめの大きな街はあります?」


「そうですね大きな街でしたら、セカンダリアがいいんじゃないですか?

でも、ナルさんであればユニアもおすすめしたいところなんですよね。

あそこは魔法に造詣が深いことで有名ですから。」


「進むならセカンダリア、寄り道するならユニアってことですね。

依頼を受けてから行きたいのですが。

セカンダリへ行く道中に向いていそうな依頼を見せてもらえますか?」


採取で終わったクエストが8つ、今受けているモンスター討伐の依頼が2つ。だから、6つくらいは討伐系でサクッと終わりそうなものを受けてから次の街へ行きたい。向こうへたどり着いた時にギルドに達成を伝えられるようにできるのが最善である。


ユーセスにおすすめの依頼をいくつか教えてもらい、6つほど受けると、地図に関して彼女に尋ねることにした。


「ユーセスさん、地図、3種類ありましたけど、どれがおすすめですか?

流石に1000Gの地図じゃ迷いそうですよね」


「そうですねー。人気な地図は2000Gのものですが。

私のおすすめは3000Gの一番高い地図ですね。実は一番色々載ってますから」


そういってウィンクをするユーセスに、そりゃ目印まで記載があるって言ってたし、一番情報量は多いだろう。と思いつつ「ありがとうございます。」とお礼を返しておく。


「ナルさんは、ギルドでどのくらいお買物されました?」


「ポーションだけなので、300Gくらいでしょうか。」


何故そんなことを聞くのかと不思議に思いつつ答えれば、ユーセスは少し考えこんでから明るい笑顔を向けてきた。


「それならやっぱり、一番高い地図をおすすめしますよ。

あと、1700G分お買い物して、上の調合台を使用できるようになれば、ポーションも作り放題じゃないですか!」


え?

何か今、彼女はすごく重要な話をしなかっただろうか?


「上の調合台??」


「はい」とユーセスはまた笑顔で説明してくれた。


冒険者ギルドの三階には調合用の部屋があるらしい。そこは一般開放されているが、一般開放されている部屋は設置されている道具の質がそこまでよくないらしい。それでも、満員になるくらい人気があり、短くない時間の順番待ちが必須になるらしい。


しかし、ギルドの常連かつ、ギルド員の誰かが保証できる程ギルドに貢献している人物には「ギルドの証(青)」という宝石が贈られるそうだ。これをバングルに着けると、特別室が使用できるようになるらしい。


また、特別室にもランクがあり、上からXランクSランクAランク~Cランクまであるそうだ。これはバングルのギルドランクに比例して使用できる部屋が変わるらしい。

ランクによって、色々と制限が異なるらしく、Cランクの特別室であれば、1時間制で、備品はそこそこの品質らしい。備品の品質が良いものへと変わるのはAランク以降らしいので先はながそうだ。


じゃあ、「ギルドの証(青)」を入手するためには、というと。聞いた限りで判断すれば、おそらく、ギルド職員の一定の好感度。

今回で言えばユーセスさんが、短時間で複数個の依頼を一括で達成したことで大きく褒めていた為、それがトリガーとなったと思われる。

それから、依頼達成で得られるお金を一定数稼ぎ10個以上を達成すること。そして最後に、ギルド内で5000G使用することが条件のようだ。


ただし、ここが恐らく一番重要で、ギルド員から話を受けて条件を達成した上でそのギルド員へ報告しなければいけないのだ。

つまり、案内を受ける過程がなければ、証は受け取れないし、報告する人を間違えても証は貰えない。

好感度を上げるギルド員を見極めることも重要なのかもしれない。


「ユーセスさんありがとうございます。早速5000G分買い物してきます。」


「はい、行ってらっしゃいませ。」


手を振るユーセスに背を向けて、「素材買取所」へ急ぐ。

あと4690G使用しなければならないが、残念ながら700Gも足りない。

さっき集めた素材を売ればきっと足しになるはず。全部は売れないけど、半分くらい売ってお金にしないとまずい!!


「すみません、素材を売りたいのですが」


「承知しました。それではこちらへ素材を入れてください」


出されたのは先ほどと同じ銀色の大きな箱だった。そこへ急いで素材を入れていく。あれもこれもと入れて、鑑定をお願いすれば、表示された画面に内容が反映される。


==

- ヒーリングミント:10個 =30G

- シルクウィード:5個 =30G

- ソイルハーブ:4個 =20G

- サンローズ:5個 =90G

- ストームフラワー:1個 =20G

- ムーンティア:1個 =30G

- ライトブロッサム:1個 =30G

- ゴールドスプラウト:2個 =70G

- 白金の葉(プラチナリーフ)2個 =120G

‐バウルの牙 10個 =150G

‐バウルの毛皮 10個 =180G

‐バウルの爪 10個 =120G

合計 = 890G

==


890G!ぎりぎり!!なんとか足りた!!


ひとまず、ほっと息をつき、すべて売却してもらい890Gをもらうとそのまま「販売所」へと急いだ。


まずは3000Gの地図と、安めのテント(1600G)と残り90G分でMPポーションを6個購入すると、お店のおじさんが何か紙をくれた。なんだ?とみれば、そこには5000G達成と簡素な文字。


成程、これを渡せばいいわけか。


おじさんにお礼を伝えると、ユーセスのもとへ戻り、もらった紙をユーセスへと渡した。


「はい、確かに確認しました。それでは、ナルさんこちらにバングルを向けてください。」


言われた通り右腕をカウンターへと置けば、バングルが光り、青い宝石が装飾された。一瞬の出来事だったが、中々に面白い光景に興奮する。


ファンタジーらしい!


「はい、これで完了です。それでは3階の特別調合室Cランクのお部屋をご自由にお使いください」


「ユーセスさん、ありがとうございました。とても助かりました」


「喜んでいただけて光栄です。

調合したポーションなどは一般販売しているものよりも効能が高く、売った時の値段も高いのでたくさん作ってくださいね!」


ユーセスへ再度お礼を伝えるとnullはそのまま、3階を目指す。

こんなにも早く調合できるとは思ってもいなかったnullは、ご機嫌だった。



┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

 [ステータス] 

  プレイヤー名:null / G:190G

  冒険者:魔法使い  / 種族:人間

  Lv:7 / SP:0

  EXP:├────────┤

  HP:167 / MP:179

  STR:21 / ATK:16

  VIT :20 / DEF:26

  INT :55 / RES:43

  DEX:39 / AGI:32

  LUK:18 

┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛


☆地図☆

一番安い地図が、1000Gで近隣の街3つ分の方向が大まかに記載されているもの。

次に安い地図が、2000Gで近隣の街3つの大まかな場所と近くにある森や川などの地形まで記載されているもの。

一番高い地図が、3000Gで近隣の街3つの詳しい場所と地形はもちろん目印になるようなものまで記載されている。


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