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15ダースの夜

作者: 蒼井りゅう
掲載日:2024/05/29

北国のとある小さな村に、180人ほどの人が暮らしていました。

その村は冬になると、とてもたくさんの雪が降ります。

今年もまた、もみの木が隠れるほどの雪が積もりました。


今日はクリスマスイブ。

都会ではイルミネーションを飾ったりするのですが、この村ではそういったものはありません。

ろうそくに火をつけて、美味しい料理を作り、大人たちはお酒を飲みながら、みんなで楽しく過ごします。


ところで、今年はいつもと違って、特別なできごとがありました。

なんと街の市長から、村のみんなにクリスマスプレゼントが届いたのです。


村の人たちは驚きましたが、みんなとても喜んで、プレゼントを貰うために広場に集まりました。

大きな箱、小さな箱、きれいなリボンの付いた箱…。

みんなひとつずつ、好きな箱を貰っていきました。



ところが。

何かの手違いで、プレゼントは14と半ダースしか届きませんでした。

村人全員に配るには、6こだけ足りないのです。


村には、みなし児が6人おりました。

みんなとても仲が良く、一緒に支え合って暮らしていました。

みなし児たちもプレゼントの話は聞いていて、早く広場に受け取りに行きたかったのですが、今日に限って仕事が終わりません。

やっと解放された時には市長からのプレゼントは配り終わってしまっていて、広場には誰もいませんでした。

みなし児たちは、プレゼントを受け取り損ねてしまったのです。


6人はみんなとても残念に思いましたが、どうにもしようがなく、諦めて家路につきました。

帰り道、通りに面した家の窓から楽しそうな笑い声が聞こえます。

のぞいてみると、みんな楽しそうにプレゼントの箱を開けていました。

暖かそうなマフラー、新しいブーツ、そして大きな七面鳥!

みなし児たちはそれを、とてもうらやましく思いながら通りすぎて行きました。


家に帰って簡単な夕食をすませると、一番年上の子が言いました。

「プレゼントが貰えなかったのは残念だけど、しかたがない。

ぼくらはお祈りだけして眠ろう。」

みんなは彼の言う通り、目をつぶってお祈りをしました。

お祈りが終わって目を開けると、目の前にきれいな包み紙のキャンディが、1つずつ置かれていました。

「今日、街に行った時に買ったんだ。

僕からのプレゼントだよ。」

みんなは少し笑顔になって、一番年上の子にお礼を言いました。


「さあ、今日はもう遅いから、みんなベッドに入ろう。

メリークリスマス。」

「メリークリスマス」

「おやすみ。メリークリスマス」

「おやすみなさい。良いクリスマスを」

「おやすみなさい」

「メリークリスマス。おやすみなさい」

みんなとても疲れていましたので、ベッドに入るとすぐに眠ってしまいました。



クリスマスの朝、6人は昨日の疲れもあって、お昼近くまで眠っていました。

ふと、外で物音がした気がして、ひとりが目を覚ましました。

耳を澄ませてみましたが、それきり何の音も聞こえないので気のせいかと思いましたが、なんとなく気になって、ドアを細く開けて外をのぞいてみました。


見ると玄関の敷石の上の雪がきれいにどけられていて、かわらしいリボンの付いた大小の箱が、6つも置いてありました。


驚いたその子は、寝ているみんなを起こしに行きました。


「みんな、起きて!すてきな箱がたくさん置いてあるんだ!

もしかしたら、サンタさんかもしれない!」


みんなは眠そうな目をこすりながら玄関に行きましたが、外をのぞくと眠気が覚めたようでした。


「本当だ、きれいな箱が置いてあるぞ」

「誰だろう?」

「サンタさんかなぁ?」

「6つあるから、僕たちにくれたんだね」

「開けてみようか?」

「そうしよう」


みんなはおそるおそる箱を開けてみました。


すると、どうでしょう。

中からすてきなプレゼントがいくつも飛び出しました。

温かいマフラー、真新しいブーツ、皮の手袋、それに美味しそうな七面鳥まで!

みんな大喜びで、手にした物を見せ合いました。


ひとりの子が、箱の底に1枚のメッセージカードが入っていることに気がつきました。

いちばん大きな子が読んでみると、次のように書かれていました。


「メリークリスマス。

村一同より、私たちの子供たちへ。」


そのプレゼントは、村の人たちがみんなで少しずつ分け合って、6人にくれたものだったのです。



その日みなし児たちは、今まででいちばん素敵なクリスマスを過ごしました。


おしまい。



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