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4.連絡方法は?

「私に確認したいこと?何でしょう?」

「二人の連絡方法についてなんだけど」


 連絡方法を知って内容を知ることができれば先回りしたりして証拠を押さえることも可能だ。

 逆にそこが分からなければ打つ手がない。


「普通に考えて玲佳様が秘密裡に南山田との密会の場所や日時を打ち合わせる機会なんてあるかい?」

「ありませんわね」


 真理佳は即答した。


「学校の行き帰りはうちの自家用車ですし、お友達の家へ遊びに行くときなども送迎があります。

 お買物もお母さまと一緒でなければ使用人がつきます。

 派閥の家族同士の付き合いのような場所でも1人にさせないようにしています。半年ほど前には玲佳姉さまにぶつかったドサクサに袂に文を入れようとした愚か者もいましたので。それ以来帰りがけにはお母さま自らが玲佳姉さまの服や私物に何か入れられてないかあらためるほどですわ」

「そんな奴いたの!?誰だその馬鹿は!」

「完介兄さまがいきり立たなくてもお母さまがきっちり話をつけて叩き潰してますのでご心配なく」

「だけど!」

「他にも休憩を勧めるていで玲佳姉さまと二人きりになろうとしたりする不届き者などもいましたね」


と、真理佳が目を眇めてニマッと笑う。

 

「な、僕は玲佳様を思いやって、」

「誰も完介兄さまのことだなんて言ってませんけど?」

「ぐ……コイツ……」

「ともかく外出の際に玲佳姉さまに隙はありませんわね」

「そ、それじゃ直接会う以外ではどうだい?手紙や電報とか電話とかで秘密裡に連絡を取ったりできるだろうか?」

「それもありませんわね」


 先程と同様に真理佳は即答した。


「私達姉妹宛の手紙はお母さまを通して渡されます。電報が私達に直接届くこともありませんし、電話も自由に使えるわけがありません。このあたりのことは完介兄さまもご存知でしょうが」

「まあね」


 真理佳の言う通り、玲佳様に男性と密かに約束を交わす隙などないことは聞くまでもなくわかっていた。

 幼い頃から頻繁に交流があったのだ。互いの大雑把な日常習慣くらい知っている。


「そこでだ。単刀直入に聞くけど、真理佳が玲佳様たちの間に入って連絡の橋渡しをしてる……なんてことはないよね?」

「私がですか?」


 玲佳様に隙が無いのなら真理佳にも同様にそんな隙はない。

 と、真理佳を知らない人なら思うだろう。

 ところが違う。

 こいつときたら常習的に母親の菊佳様や使用人の目を逃れて外出してるのだから。

 10歳になるやならずの頃から1人で勝手に電車に乗って神社仏閣を参拝して回ったり親戚の家を訪問したり(訪問を受けた老夫婦は腰を抜かすほど驚いたそうだが)している。

 そしてそれがバレる度に「淑女として相応しくない!」と激怒した菊佳様に罰として5日から10日ほど自室で謹慎させられたりしている。

 つまり真理佳には不在証明ができない時があるのだ。

 なので南山田との接触も可能ではある。だけど、


「もちろんそんなことはしていません。

 勝手に南山田様と接触して秘密のやりとりをしているなどお母さまにバレたら玲佳姉さまはもちろん、一役買った私まで罰を受けることになります。

 玲佳姉さまの性格からして、それがわかっていて私に連絡役を頼んで巻き込むようなことはしませんわね。

 同じ理由で使用人が関わっている可能性もありません」

「まあ、玲佳様ならそうだろうね」


 これもあらかじめ予想がついていたことだ。


「真理佳はあと何か連絡方法に心当たりはないかい?例えば予め胡与久様から南山田の訪問の日時を聞いてそれに合わせるとか」

「お父様は仕事の予定などいちいち私達に教えたりしませんので玲佳姉さまがそれを聞き出そうとすれば怪しまれますわね」

「じゃあ、単純に逢瀬の際に次回の約束も交わすとかどうだろうか?」

「南山田様もそう毎日のようにいらしているわけではないはずですし、あの方のお立場なら仕事の予定も次々舞い込むはずです。

 10日先の逢瀬の約束をして一度でも行き違ったらそれからどう連絡を取るのかということになりますでしょう。

 そもそもそれだと1回目の約束をどう取り付けたのですか」

「そうだよね」


 なんとも手詰まりだ。


「2人に何か接点はないだろうか?家や事業以外の個人で」


「まあ、接点といえば半年ほど前から2人は文通してますわね」

「は……ハアアアアアッ!?」


 さっきまでのくだりは一体何だったの?

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