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いつまでも、3人で一緒にいられると思った。
同じ景色を見て、同じ空気を吸って、同じ話題で盛り上がって。そうやって、ソーダの泡みたいに、パチパチとはぜながら溶け合う。そういう日々を、何気ない日常を、あたりさわりのない、弾けたらどこかへと飛んでいってしまえるような、それでいて刺激的な毎日を過ごせていたはずなのに。
「俺、佳奈と付き合うことになった」
親友はそう言うと、彼女の手を握ってニコリと笑った。
心がズキリと痛む。
そうだ、思い出した。この気持ちにふたをしなきゃいけないと、そう、しないといけないと誓ったんだった。
いつかこういう日が来るとわかっていたから。いや、ほんとうは、わかろうとしていなかった。
怖かった。投げ出したかった。逃げ出したかった。この、淡くて、爽やかで、綺麗で、濁りのない、透明な、敬虔な、純粋な距離感が、ずっと浸かっていられるような暖かさが、よこしまな欲望によって汚されてしまうことに。
だから僕は、この恐怖から逃げずに立ち向かった二人の勇姿を、「よかったじゃん」という祝福の言葉で彩って、自然とフェードアウトするつもりだったのに──
「わたしのハジメテは、ユキトのためにとってあるからね」
彼女の存在は、いつだって僕を惑わせる。