9話
飼い主の行方は段々と割れてきました。わたしの天才的な頭脳によって。どや。あ、ついでにブルーの霊視も。
さて、先程は話の流れ的にスルーしてしまいましたが、実は非常に驚いていたことがあります。わたしの心の鉄仮面が優秀過ぎてわからなかったでしょう? どや。
それは何かというと、ブルーという名前を聞いたときです。
色の名前を語るということは葬儀屋である証ですが、原色にはそれ以上の意味が含まれているのです。わかりますか?
──そう。それは彼女が〝虹天集〟のメンバーであるということ。
虹の七色は選ばれた者にしか名乗ることを許されていません。しかもレッド、イエロー、そしてブルーの三原色はさらに特別な名前で、よっぽどのことがない限りその名を授かることはありません。
そんなわけで、彼女は虹天集の中でも指折りのメンバーということになりますが、わたしがかつて本部に寄ったときは彼女の姿は見ませんでした。初めてのときも、前回のときも。
もともと虹天集の集まりが絶望的に悪いのは有名な話ですが、これだけビビりで人見知りするならばそれも納得ですね。必要最低限のやり取りができるくらいにはコミュ力があってよかったです。それでも少々難ありですけど。
せめてわたしのことは知っておいてほしかったですね。
ちなみにイエローの名前は現在は空席となっています。そのうち埋まるとは思いますが、しばらくは空席のままでしょう。
「ちなみにお聞きしますが、戦闘経験はいかほどで?」
家屋の隙間に身を滑り込ませて、奥へ奥へと進んでいきながら聞いてみます。
どんな人物なのかわかりませんが、相手が子どもとはいえ無理やりに攫っていったわけで、助けるために多少の暴力沙汰になるのは予想して然るべき。
もっと言えば流血沙汰、さらに言えば人死だってあるかもしれません。
「ぜ、全然ですぅ……すみません……」
「大丈夫ですよ、わたし一人で充分ですから」
もともとあまり期待はしていませんでしたが、やはり戦力として数えることはできませんか。虹天集のブルーを名乗るからにはそれなりに腕に覚えがあってもいいと思ったのですが、気弱な印象通りで戦いには向いていないようです。
わたし一人いれば戦闘はどうとでもなるので、案内の役割さえしっかりと果たしてくれれば御の字としましょう。
そこから先はわたしの仕事。
「……あそこですね。いかにもって感じがします」
そのままブルーの霊視とわたしの天才的な頭脳の合わせ技で本拠地を突き止めました。
物陰に隠れて、様子を窺います。
感動的だった華やかな街並みは見る影もなく、空気までもが薄汚れた静けさに包まれていて、呼吸まで苦しくなってきます。
切り出した石を積んで作られた蔵の表には見張りの人間がたった一人。武装はしているようですが、随分と油断していますね。
わたしが来たのが運の尽きです。悪党め。
「ど、どうするんですか……?」
「当然、真っ向勝負。あなたはここで隠れていてください」
「ええ?!」
さあ、襲撃……いえ、救出といきましょう。
堂々と姿を表すと、見張りがわたしのことを発見し、目を丸くしました。
「──お、おばけだぁぁぁ!!!」
……ここでもそれですかい。