6話
「……誘拐されたということですか。飼い主は」
穏やかではありませんね。子どもを攫うなんて。
それほどに価値のある子どもなのか、価値がないからこそ使い潰す目的で攫ったのか。
……まぁ、恐らく後者でしょうね。孤児と言っていましたから。
「なぜそのようなことがわかるのか気になるところですが──」
「ヒェ……」
「それは置いておいて、いまは人探しを優先しましょう」
素で「ひぇ」とか言う人初めて見ました。わたしの言いかたそんなに圧がありましたかね?
どうもこの青い少女は気が小さすぎるようです。あの子たちに変な人認定されるのもわかるような気がしてきました。
「その先はわかりますか? 誰が、どこへ、などです」
「んと……」
また中空を見つめ始めました。半口開けて。
彼女はいったいなにをしているのでしょうか? 魔法使いのわたしでも、わかりません。
すぐ現実に帰ってきましたが、「も、もうちょっと待ってください……」と言って別の方向を向いたらまた呆け始めてしまいました。
「あの」
「…………」
「あのー、あまり時間をかけられないので急いでくれると助かるのですが」
「…………」
わたしからお願いしている立場なのであまり強くは言えませんが、できるだけ急いで欲しいです。飼い主の命が危ういかもしれないし、わたし自身、あまりひと所に長居ができない体質です。
急かすように言っても耳に入っていないのか、まったく反応がありません。ちょっとなにか言っただけでビクビクする青い少女とは思えませんでした。
顔の前で手を振ってみたり、頬をツンツンしてみたりと、軽い悪戯を仕掛けてみても無反応。心ここに在らずとはこのような状況を指すのでしょう。
それにしてもこの少女、わたしほどではありませんが可愛いです。そしてなんとなく、どこかで見たような気がしないでもありません。
名前はともかく、顔はそこそこ覚えられるんですがね……。はて。
そうだ、前髪をどかせばハッキリするかも。
「──わったひゃい?!?!」
「おっと」
前髪をどかそうとした瞬間、我に帰ったようで、バク宙する勢いで(あくまで勢いです)距離を取りました。
「いえ、別にご尊顔を拝見しようと『ヘイ大将!』ってしようとしたわけではありませんからね。ちょっと顔を見ようと思っただけです」
「全然言い訳できてないですぅ?!」
青い少女は体を抱いてキュッと縮こまって、か細い声を出したのでした。
顔はわかりやすく朱に染まっていて──なんだかこの子……加虐心をくすぐられますね! わくわく!