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19話

 ブルーはわたしの言葉に首を傾げました。前髪が傾いて僅かに見えたその先には、不思議そうな表情が浮かび上がっていました。


「や、やること……って?」

「『黒幕』──わたしの嫌いな言葉です。なので幕引きとしましょう」


 この事件は悪党(こいつら)を成敗してはい終わり、とはいかないでしょう。

 なぜなら、まだ男の子を攫った理由がわかっていないから。

 女の子であればまだわかります。わたしに対する言動などから、人身売買などをして収入を得ようという算段だったのだと容易に想像がつきます。そういったものは女の子のほうが価値があるものです。

 でも男の子を攫った。そこには当然、理由があって然るべき。

 ──そのときでした。


「い~ね~、ウチは好きだよ『黒幕』ってコ・ト・バ☆ だってカッコいいっしょ? キヒッ」


 わたしはその声が聞こえた瞬間、問答無用で圧縮魔法を即座に発動し、ブルーの背後に向かって右手を伸ばし、握り拳を作りました。

 手応え無し。壁の穴が拡張されて塵と化しただけで、躱されてしまったようです。


「おっとと?! ちょっとちょっと! いきなし攻撃とかマジありえなくなぁ~い? 信じらんないんですけどぉ~?」

「あなたに言われたくありませんね。魔教徒風情が」


 首を傾げて肩を竦めているこいつは、こいつだけは、忘れたくても忘れられません。

 樹海で出会った毒使いの、よく喋る魔教徒がブルーの後ろにいつの間にか立っていたのです。魔教徒特有の黒いコート、髪をクルクルに巻いてお洒落を意識しているからかフードは被っておらず顔はよく見えます。素性を隠す気はさらさら無いようですが、化粧がけばけばしいのですっぴんになったら逆に誰だかわからなくなりそう。

 突然後ろから声が聞こえ、いきなり壁も消滅するという謎現象に見舞われたブルーは「ぅきびゃぁ?!」というこれまた謎な奇声を発しながら慌ててわたしの影に隠れました。臆病な性格はこういうときは役に立ちますね。言わなくてもすぐに隠れてくれるので。


「キヒヒッ☆ ひっさしぶりだねぇ~ホワイトちゃ~ん? 元気してたぁ~?」


 悪夢だ。わたしが知る中で一番厄介な相手がやってきてしまった。魔教徒は理解不能ですが、コイツの行動だけは特に読めませんから、迂闊に動くのは危険。放置していても危険な困りものです。

 樹海で動物を使って悪魔の実験をしていたコイツが、今度はこんなところでなにを企んでいるのか。


「元気? たった今、萎えましたが」

「ひどっ?!」


 ……さて、どうしたものでしょうか。

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