表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/24

14話

「「アレやるぞ」」


 双子のハモる声に挟まれて、わたしは警戒を強めます。もちろんリーダーにも意識を割きつつ、どちらが先でも、同時でも、対応できるように集中。

 同じ動きで双子の懐から取り出される折り畳みナイフ。カチャカチャと硬質な音を立ててあっという間に組み上がります。器用なものです。


「ナイフを増やせばわたしに届くとでも?」


 両手にナイフで合わせて四本。視界にキラキラとチラつきます。

 あまり喋らない双子の代わりにリーダーが口を開きました。


「上玉を傷物にするのはもったいねぇが、届くかもしれねぇぜ? それに俺らは殺しちまってもしばらくはお嬢さんの身体で愉しめるからよ」

「……はぁ。最悪で最低の気分です」


 人前で堂々とため息をついたのはいつぶりでしょう。それほどにリーダーが吐いた言葉はわたしの神経を逆撫でしました。

 リーダーの下卑た視線がわたしの体を上から下まで舐め回します。


「オメェらどの穴がいい? 褒美として先にくれてやるよ」

「前」

「後ろ」

「じゃあ俺は上だな。ほーら、頑張んな」


 気分が悪くなるやりとりを目の前でされて、心の底から吐き気を覚えました。

 こんな奴らはさっさと処理してしまいましょう。わたしの心の安寧(あんねい)のためにも。

 なんなら、多少の魔法ならば解禁を許可しましょう。悪魔と無関係ならば使わないのがわたしのやりかたでしたが、わたしだって堪忍袋の緒が切れることもあるのです。

 もちろん、殺しはしません。安心してください。


「命運尽きましたね。あなたたち」

「はっ。言ってな」


 鼻で笑い飛ばすリーダーの言葉を皮切りに、双子が同時に動きました。

 ナイフを投げてきたのです。息を合わせて。

 対角線上にいる双子のナイフが交差し、交換されました。それを何度も何度も繰り返します。


「「嘘だろ……!」」

「本当ですよ? ご覧の通りじゃないですか」


 わたしの身体にナイフが一本も刺さっていないことを両手を広げてアピールします。どや。

 そう、投げたナイフが交換されているということは、わたしには当たっていないということ。相手が誰であれ、驚きの声と表情は興奮しますね。


「転職してみてはいかがです? 向いてますよ。大道芸人」

「はっ、そんなんになれたら苦労してねぇよ」

「まぁそれもそうですね。失敬」


 なにをやっても上手くいかなかったからこうして落ちぶれて犯罪に手を染めているんですものね。

 わたしは指をクイクイとして挑発してやります。


「ではどうぞ。続きを」


 わたしが負けるわけがありませんので。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ