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再会1/2 〜べナット視点〜


今日の現場は建築現場の資材運びだ。

棟梁に作業内容の説明を受けて、ひたすら資材を運ぶ。



昼休みが近づいた時、敷地の入り口が騒がしくなった。

なんだ?事故でも起きたか?


資材が倒れて誰かが下敷きになるようなことも、たまにある。

そんな時は力が強い奴や、人手が必要となるため、俺は騒ぎの元へ向かった。



「やっと見つけたわ!べナット!」

ドレスを着て、髪をグルングルンに巻いた少女が俺に向かって走ってきた。


「は?俺?」

「探してたの。あなたは目立つからすぐに見つかったわ。」

なぜか満遍の笑みで俺に話しかける少女。


「べナット、この貴族はお前の知り合いか?こんなのを連れてこられたら困る。作業の邪魔だからどうにかしろ。そんでそのまま休憩に入れ。」

棟梁になぜか俺が怒られた。



「誰だ?俺に何の用だ?」

「もう。べナットってば全然会いにきてくれないんだから。」

いや、誰だ?貴族の知り合いなんか俺にはいない。


困って彼女の後ろに控える侍女を見る。


「カロリーヌ様、相手様は戸惑っておられますよ。お人違いなのでは?」

カロリーヌ・・・どこかで聞いたような・・・



「何でよ?べナット、あなた私のこと忘れちゃったの?酷いわ。」

「・・・。」

俺の名前を知っているみたいだし、この我儘さ・・・。

非常に残念だが、俺は1人だけ思いたある人物がいることに気付いてしまった。

「あ、お前、この前裸足で泣いてた奴か?」


「な!確かに泣いたけど、その覚え方は酷いんじゃない?」

「ああ、それより作業の邪魔になるから馬車を退けてくれないか?

そして帰ってくれ。」

俺はため息混じりにそう言った。

何だってこんな建築現場に王女様が来るのかが分からん。


「迷惑をかけるつもりはないの。馬車はすぐに退けるわ。お昼を持ってきたから一緒に食べましょう。あなたの分もあるわよ。

お昼を食べたら今日は帰るわ。」


「昼飯は持ってきているから要らない。

だいたいこんな建築現場に王女様が飯を食べるような場所はないし、何しに来たか知らんがもう帰ってくれ。」

何で俺が王女様と飯を食う事になるのかも分からないし、何がしたいのかも分からない。

とにかく早く帰って欲しい。


「べナット、あなたに会いに来たに決まってるでしょ?」

「この前の襲撃の件で何か?騎士の現場検証には付き合ったし、証言の通りだと結論が出て終わったんじゃないのか?」

何か疑いでも掛けられているのだろうか?


「そうじゃないの。私があなたに会いたかっただけ・・・。」

「はあ?余計に意味が分からん。」

なぜか頬を染めてモジモシしだす少女に、心底意味が分からなかった。




結局俺は、現場から少し歩いたところにある公園でこの少女と昼飯を食うことになった。


俺が仕事前に屋台で買った野菜と鶏肉のサンドイッチを、なぜか食べたいとゴネて、侍女が仕方なく毒味をしていたのは、何だか可哀想だった。


それとは別に、王宮の料理人が作ったというサンドイッチは、めちゃくちゃ美味かった。

パンも肉も柔らかいし、ピリッとして少し酸味のあるソースが絶妙だった。

紅茶という飲み物も温かくて美味しかった。

さすが王族は良いもの食べてるな。


そして先ほど言っていた通り、飯を食ったら帰って行った。


俺は現場に戻って棟梁に謝罪し、迷惑をかけた分、残業をした。



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