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第七話「魔法の鍛錬」

ワタシは以前、「長い一人旅が始まった」とは申しましたが、実際に旅をして歩き回っていたのは、その内の半分程で、残りは何処かしらに滞在していました。


冬の間や酷い雨季には、留まざるえませんでしたからね。


ワタシがいた人間の村は、その中でも特に長い間、滞在した場所になりました。



さて、人間の村を訪れ魔法の鍛錬を始めてから、初めての夏。



ワタシは狩りを終え、ボロ小屋へと戻り、魔力切れでぶっ倒れるという毎日を送っていました。



二つの魔法を同時に、それも常時発動し続けるとなれば、魔力の消費は尋常ではありません。


それに加えて狩りの時には、攻撃用の魔法を積極的に使っていましたから、魔力切れで気絶するなんて当たり前の事でした。



無論、技術的にも相当に難しい事をしていたので、最初は全く上手くいきませんでした。



初めて二つの魔法を常時発動しようとした日には、その魔力操作の難しさに一歩も動けず魔力切れ。


なんとか動けるようになっても狩りなど出来ずに魔力切れ。


三つ目の魔法を使ってみようとした瞬間に魔力切れ。


魔力操作を失敗した日には魔力だけ外へ逃げて魔力切れ。


そして魔力が切れれば当然、気絶。


気絶せずに済んでも、倦怠感、頭痛、目眩、眠気などに襲われ、ボロ小屋に帰ったら当然、意識を失う。



えぇ、我ながらアホだなと思いますよ、そんな無茶。



当時のワタシもら薄々そうかもしれないと感じながらも、昼間の人間の村が見たいという好奇心にはどうしても抗えず、毎日毎日死ぬ気で魔法を使っていました。


思えば意識の無い状態で、ボロ小屋の隅で無防備に丸出しで転がっていたのですから、もし人間に見つかっていれば、まぁ大変では済まなかったでしょうねぇ。本当に運が良かった。



それでも、それだけ毎日死にそうになりながら鍛錬を続けていましたからね。


上達するのも早かった。


前途(ぜんと)した通り、夏になる頃にはある程度には扱えるようになっていましたからね。まぁ気絶はしていましたが。


ですから毎日疲労困憊(ひろうこんぱい)で、日によっては食事すら億劫(おっくう)に感じていたと、今でも覚えています。


まぁ、それでうっかりでも食べずに眠ってしまえば、体力も魔力も回復し切らず、翌日に影響が出てしまうので出来る限り食べるようにはしていましたけどね。



そのくせ夜になれば村の方へと足を運び、多少回復した魔力を使って人間観察をしていたものですから、余計に疲れが取れませんでした。


もう少し自身を労われば良かったものを。

若かったんでしょうねぇ。



ただ、体に追い打ちをかけ無理をしていたとは思いますがその反面、この時期があったおかげで技量が上がり、魔力量も増え、様々な魔法も覚え、後々に別の技術にも応用できました。

ですから、結果としては良かったんだろうとは思います。


今のワタシがあるのもここで土台を作ったおかげ、なのかもしれませんねぇ。



まぁあくまでも結果論なので二度としませんけどね。



あぁそういえば、この時期からでしたかね。

ワタシの身長が再び伸び始めたのは。


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