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第六話「人間の村」

あれから更に時は過ぎ、雪が溶け始めた春先の事。


ワタシは夜の闇に紛れ、人里を訪れていました。



あの後、冒険者の彼らはネズミの魔物をあと十匹程狩り、どこかへと向かおうとしていたので、ワタシは跡をつける事にしたのです。


しばらくすると、森は徐々に開けていきまして、隠れづらくなってきたので、向かったであろう方向に目星をつけ、森の奥へと戻り、来たる冬に向けての準備を再開しました。



一度目の冬はなんとか生き延びましたが、雪の降る中を寒さに耐えながら移動するのは、流石に命の危機を感じたので、仕方なく、仕方なく一箇所に留まる事にしたのです。


まぁ寒かったですし妥当ではありましたが、毛皮に包まれて眠ったり、思考を巡らせて時間を潰したりするのにも限度がありましたから、暇でしたね。


外に出るのは狩りをする時くらいでしたし、体力を温存しなければならないので、魔法を使ってサクッと終わらせていましたから、ほとんど引きこもっている様な状態で。

暇でしたねぇ。


あまりに暇なので、あの冒険者パーティにいた魔法使いの真似をして、魔力で作った水の玉を再現しようとした事もありました。まぁ、出来ませんでしたが。


ただ代わりに、闇で構築されたような玉を作れるようにはなったので、試しに地面へと放ってみると程よく抉れ、攻撃用の魔法として、使用出来るようになりました。

狩りの効率も上がったので結果オーライです。



もちろん、暇な時間は増えました。



さて、話は戻って、人里。

大きさからいって、おそらく村だったでしょうか。


ワタシはいつも通り、自身に“認識阻害”の魔法をかけ、観察しがいのありそうな人間の村へと足を踏み入れたのです。



そこにあったのは、異世界でした。



いえ、人間にとっては、大した事の無いごく普通の村だったのでしょう。しかし当時のワタシにとっては、まごう事なく異世界だったのです。


見た事も無い程しっかりと作られた住処、整備されて歩きやすい地面、どの様に使うのかもわからない道具の数々、動物を飼い慣らし、植物を栽培するその技術、そこにいるほぼ全ての人間が操っている言葉。



驚愕、驚きに次ぐ驚き、空いた口が塞がらない。



あまりの驚きに動揺し、魔法が解けかけたのはここだけの話です。


ワタシは時間を忘れ、村の隅々(すみずみ)まで見て周りました。



あれは何だ。これは何だ。

あっちには何が。こっちには何が。


そうして一通り見て周り、村の外れにあったボロ小屋を見つける頃には、空は白みがかり、夜が明けかかっていました。



ボロ小屋の中へと入り、壁に背をつけ、地面に腰を落ち着かせて、しばし熟考。

ワタシはボロ小屋へ来るまでに、一つ、決めていた事がありました。



“しばらく人間の村に滞在する事”。



拠点に関しては、ずっと使われた様子の無いこのボロ小屋がありましたから、あまり痕跡を残さないようにすれば、問題ないように思われましたし、仮に人間が来てしまっても、拠点を捨ててすぐに去ってしまえば済む話でした。



問題は、どのようにして昼間の彼らを観察するか。



ワタシが使っていた“認識阻害”は、魔法をかけた対象を闇の中へと紛れさせて姿を隠したり、応用して対象を認識する位置をズラしたり出来る魔法です。


ですが、暗い所でなければ最大限の効果を発揮せず、うっすらと姿が見えてしまい、見つかってしまう可能性がありました。


“幻覚”の魔法なら、相手に居ないと錯覚させられますが、一人だけでなく、こちらを見た全員に錯覚させるとなると、こちらも効果が薄くなってしまいます。



つまり必要なのは、“認識阻害”と“幻覚”の併用(へいよう)

そして、効果時間の大幅な向上でした。



ワタシの魔法の鍛錬の日々が始まりました。



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