第二十六話「問題解決」
魔法陣とは何だ?魔法とは違うのか?自分にも使えるのか?適正とは?特性とは?魔道具とは?
湧き上がる知識欲。
正直、二人の話を聞いて気になった事や、新たに疑問に思った事は沢山ありました。
聞きたい、知りたい、教えて欲しい。
ですがその前に、ワタシ達にはまず解決しなければならない問題がありました。
そう、今後ワタシ達が安全に移動する為に、“フィズさんの魔力をどうにかする方法”を考える必要があったのです。
「ドシタラ、マリョク、モレナイ?」
「そうですね、フィズちゃんの魔力を吸い取る物があれば良いので…あっゴブリンさん、さっき馬車にかけた魔法をそのまま貰い受けてもいいですか?」
「?モラエル?」
「はい、フィズちゃんの使う魔法としての“魔力付加”は、誰かが使っている魔法をそのまま貰い受けて、発動させ続ける事も出来るんですよ。少しコツがいるらしいんですけどね」
「ナルホド、ワカッタ、アゲル、マス」
「ありがとうございます」
「ソレデ、モレナイ?」
「恐らくそうだと…思いたいですが、魔法の魔力消費量によるとしか…」
トニックさんの話を聞く限り、フィズさんの魔力保有量、生産量は並ではなく、常時発動型の魔道具を、フィズさんの魔力のみで三つ同時に丸一日発動させても、魔力切れを起こさなかったそうなのです。
ワタシの知る限りでも、その様な事が出来る人物はほとんど居らず、ワタシはフィズさんと、あともう一人くらいしか会った事がありません。
…もう一人?
…誰の事でしたかね…
いつ会って…いや、いつ知って…?
あぁ失礼、フィズさんの話でしたね。
簡単に言ってしまうと、“フィズさんの総合魔力量がとても多い”という事です。
彼女がそれまで持っていた魔物避けの魔道具は特別製だったそうで、魔力をかなり消費する代わりに、ほとんどの魔物、特に虫系の魔物に絶大な効果がある代物だったようです。
魔力を消費出来る上、魔物まで避けられる。
彼女にとっては、一石二鳥というやつでした。
因みにその魔道具は、触れた魔力を勝手に吸うようになっていたらしく、魔力を持っている人物が触ると、ドンドン魔力を吸い上げられてしまい、気づけば魔力が空になっているという人によっては呪いのアイテムと化してしまう品でした。
出来ればワタシも触りたくありません。
まぁ、つまりですね。
「マリョク、イッパイ、ツカエバ、イイ?」
「はい、なので他の魔法もかけて貰ってそれを譲り受けるか、フィズちゃんが魔法を使えればいいんですが…」
「私、魔法の二つ同時発動はあまり上手くなくて…」
「それに魔法によっては、逆に魔物を引き寄せる原因に…いや…そうかもっと簡単で…ゴブリンさんは、毎日魔法を使いますよね?」
「マイニチ、ツカイ、マス」
「では、もしフィズちゃんの魔力が余ったら、貰ってあげてくれませんか?」
「…“マリョクジョウト”?」
「はい、それなら周りに魔力が散る事もないですし、ゴブリンさんの魔力は回復出来ますし、毎日使うなら魔力過剰で体調を崩す事もありません」
「ナルホド、ワカッタ」
「重ね重ねすいません、ありがとうございます」
こうして問題は意外とアッサリと解決し、ワタシ達が魔物の群れに襲われるような事もなくなったのでした。




