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第百三十二話「期待に胸膨らませ」

さて、そこから少し時は経ち、数日後、アウロラの春祭り当日。



「あー!キーロリだー!」


「こんにちは。ベルさん」


「こにちはー!」



ワタシは、トニックさんとフィズさんのお店、ジンジュレップを訪れていました。



「あ。キミドリさんこんにちは!」


「えぇ。フィズさん、こんにちは」


「ちょっと待ってて下さいね!この商品だけ並べて…」


「すいませーん。ちょっと聞きたい事があるんですけどー」


「あ、はーい!ただいまー!すいませんキミドリさん、ちょっと行ってきます!」


「はい、お気になさらず」



手に商品を抱えたまま、お客様の対応をするフィズさん。


どうやらワタシは、まだお店が忙しい時間に来てしまったようでした。



「キーロリー。だっこー」


「はいはい」



ベルさんを抱っこして、商売の邪魔にならないようにお店の隅っこにでも移動しようかと思っていると、見覚えのある一人の女性がワタシに近づいてきました。



「あら〜。キミドリさん、こんにちは〜」


「おや?こんにちは、チャロアさん」



頭にバンダナを巻き、髪を後ろで一纏めにし、シンプルなエプロンを身につけ、いつもと違う装いをしたチャロアさんがそこにいました。



「お客、というわけでは無さそうですね。どうしてチャロアさんがここに?」


「うふふ。今日はね、このお店の、お手伝いに来たのよ〜」


「お手伝い?」



チャロアさんの話によると、お店の繁忙期や何かしらの理由で手が足りていない時、彼女はアルバイトとして、ジンジュレップでお手伝いをしているそうです。


まぁいわゆる、副業というやつですね。



「フィズちゃんとは、お友達でもあるから、お手伝いしてる、っていうのもあるんだけど、ここでアルバイトって、結構、美味しいのよね〜」


「へぇ。そうなんですね」


「そうなの〜。お店には、なかなか出さない商品とか、品切れに、なりやすい商品とか、融通してくれたり、するのよね〜」


「あぁなるほど。このジンジュレップが素材屋で、チャロアさんが触媒マニアで、かつチャロアさんがここの常連である故の特典、という事ですね」


「そういう事〜」



素材の扱いは千差万別、取り扱いに注意しなくてはならない物もありますから、触媒マニアであるチャロアさんの存在は、ジンジュレップではかなり重宝されていたようですね。



因みに冒険者ギルドでは、副業についての規制はそれ程無く、冒険者ギルドに何かしらの不利益が無い限りは自由にしていいそうです。


むしろ、冒険者ギルドに副業の申告をしていれば、それにまつわる依頼を受けやすくなるのだと聞きました。


まぁ、そもそも冒険者という職業が副業という方や、冒険者だけでは食べていけない方というのも、それなりにいらっしゃいますからねぇ。


冒険者の数を減らさず、依頼の種類を充実させる為にも、冒険者ギルドとしては当然の対応なのかもしれません。



「あ、キミドリさん。いらっしゃってたんですね」


「あぁトニックさん。こんにちは」



と、チャロアさんと少し話をしていると、店の奥からトニックさんが顔を出しました。



「じゃあ、わたしは、お手伝いに戻るわねぇ」


「あぁすいませんチャロアさん。よろしくお願いします。僕もすぐ戻りますね」


「ゆっくりでいいわよ〜」



入れ替わるように、チャロアさんは自身の仕事に戻っていきました。



「…やはり、お忙しい時に来てしまったみたいですねぇ」


「あぁいえ!今は丁度落ち着いてきたところですから、大丈夫ですよ。あとは売れた商品の補充くらいなので、タイミングとしては丁度良いくらいです」


「そうですか。それなら良かった」


「それよりキミドリさん。今日はベルのワガママにお付き合いいただいてすいません。ありがとうございます」


「あぁ、いえいえ。それこそ大丈夫ですよ。ワタシも今日という日を楽しみにしていたくらいです。ね?ベルさん」


「ねー!」


「そう言ってくれると僕らも助かります。それじゃあ、店の奥でもうちょっと待ってて下さいね。出来るだけ早く終わらせますから。ベルも、あんまりキミドリさんにワガママ言っちゃダメだぞ?」


「はーい!」


「では、そうさせていただきますね」


「あぁそれと、キミドリさん。今日はベルとフィズちゃんをよろしくお願いします」


「もちろんですとも」



そうしてトニックさんに促され、店の奥へと入り、ゆっくりとベルさんと戯れながら待つ事、少し。



タッタッタッタッタッ


「すいませんキミドリさん!お待たせしちゃいましたね」



フィズさんが小走りで店の奥にやってきました。



「あぁフィズさん。もうお店はよろしいので?」


「はい!ばっちりです!お店も休憩時間に入ったし、しばらくは大丈夫だと思います」


「それは良かった」


「それじゃあ、今の内に出かけちゃいましょう!あ、私、鞄だけ取ってきますね」


「いまから、おまつりー?」


「えぇ。今からお祭りです」


「やったー!」



喜ぶベルさんを見て顔が綻び、ワタシもまたベルさんと同じように、祭りに対して、期待に胸を膨らませるのでした。


・5月24日追記

風邪をぶり返した為、次の更新をお休みさせていただきます。すいません。

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