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第百三十一話「思い起こされるのは」

『やっだかわいい〜!』


「もう字が書けるようになったのですねぇ。まだ幼いというのに、素晴らしい」



ラナンさんから受け取った手紙、もとい封筒を開けると、中には三枚の紙が入っていました。



一枚目は、ベルさんからのお手紙。


くにゃくにゃの大きな文字で書かれており、一生懸命に書いて下さったのだと一目で分かりました。


おそらく、トニックさんかフィズさんに教えてもらいながら書いたのでしょうねぇ。


その手紙の内容を解読して読んでみると、そこに書かれていたのは。



「…招待状、ですかね?」



ベルさんからワタシに()てた、招待状。


もとい、アウロラで開催される春祭りへのお誘いでした。



「それ招待状だったのかぁ。で、師匠、何に誘われたんだ?」


「アウロラの春祭り、ですねぇ」


「え、師匠、春祭り行くのか?」


「いえ、まだ決めていません…と、いうより、それ以前に、アウロラの春祭りがどのような催しなのか知らないもので…」


「えっ?!師匠、アウロラの春祭り知らなかったのかっ?!」


「えぇ、初耳です」


「なーんだそうだったのかぁ!師匠そういうのはあんまり好きじゃないのかと思ってたけど、そっか知らなかったんだなぁ!だったら誘えば良かったなぁ!」


「ふむ、残り二枚の手紙は…トニックさんとフィズさんからですね」



二枚目のお手紙はトニックさんから、三枚目のお手紙はフィズさんからでした。


それぞれの内容を簡単に説明しますね。


まずは二枚目、トニックさんの方から。


トニックさんの方には、アウロラの春祭りについての詳細が書かれていました。


アウロラの春祭りとは、アウロラで毎年開催される、春の訪れを祝うお祭りのようです。


祭りは三日三晩開催され、町のあちこちで様々な催し事が行われ、多種多様な沢山の露店が並びます。


好奇心旺盛なワタシならきっと楽しめるだろう、との事でした。



続いて三枚目、フィズさんの方ですね。


こちらは、ベルさんからのお誘いについての経緯と詳細について書かれていました。


今回の春祭り、トニックさん夫婦も当然、商人としてお店を開く予定だったようです。


その一方で、ベルさんにはお祭りを楽しんで貰いたいので、トニックさんとフィズさんでそれぞれ一日づつお店を抜けて、ベルさんをお祭りに連れ出そうと考えていた、そうなのですが…


どうやらベルさん、どうしてもワタシとお祭りに行きたいと言い出してきかなかったそうなのです。


まぁそういうわけで、もし良ければ、ベルさんと一緒にお祭りを周ってもらえないか、との事でした。



細かく言えばもっと色々書いてあったのですが、まぁざっとこんなものでしょう。



「…」



手紙を三枚とも読み、束の間、物思いにふける。



祭り。


思い起こされるのは、あの夜の事。


ツキノ村での、祭りの事。


賑わい、笑い、語り合う人々。


満ち満ちたる喜びと楽しみ。


忘れられない、あの日くすねた料理の味。



「お祭り、ですかぁ…」


『ねぇねぇキミドリ!せっかくだし行きましょうよ!アーシ、かわいくないお祭りは好きじゃないけど、楽しいお祭りは好きよん♪』


「いーなー師匠と春祭りー。あたしも一緒に行きたかったなー」


「ふむ…」



祭りとなれば、きっと多くの人が集まってくる。


ワタシの正体がバレる可能性も、もちろん上がる。


しかし、ワタシの正体を知るトニックさん達が誘ってくださっているという事は、彼らから見て、おそらく問題無いと判断されたという事。


余程の事が無い限りは、バレる心配は無いと考えられる。


となれば。



「…そうですね。行きましょうか。春祭りに」



好奇心を満たす為、あの日の楽しみをまた味わう為、ワタシは、アウロラの春祭りに行く事に決めました。


来週はお休み。

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