意味がわからないよ…
ここ、神単高校には不思議な部活がいくつもある。
リア充爆発部、お悩み相談部、占いの館、性癖暴露の会など。
そして今、ヒャッハー部に新入部員が入ろうとしていた……。
コンコン、ガチャ
「失礼しまー……す……?」
そこに広がった光景は理解不能だった。
バランスボールの上で組体操をする2人組、レースゲームで全く同じ動きで体ごとコントローラーを傾ける4人、一心不乱にライブ?を続ける少女、厨二心をくすぐるポーズでぶつぶつと何事かを唱え続ける全身黒ずくめ、そして。
「やあこんにちは!ようこそ!」
ブーメランパンツで筋トレをする筋肉。
「間違えましたー」
淀みない動きでドアを閉めた彼を批判することは出来ないだろう。フリーズしなかったことを褒め称えるべきだ。
「入部希望者だろう?のんびりしていくといい!」
そう言ってデカい筋肉はその体躯に見合わない素早い動きで担ぎ、玉座の様な装飾過多の椅子に座らせた。
「いやあの……」
「ちょっと、そこは私の席よ!何してるの!」
金髪ポニテの美少女が現れた!
「あら?よく見たらいい顔してるじゃない。特別に許してあげるわ」
「えっと……?」
不思議な現状に混乱している!ついていけないようだ。
「みんな、紹介しよう!この子は新入部員の……君、名前は?」
「?春崎、葵……です」
「だそうだ!仲良くするように!」
おー、うぃー、あー、などやる気のない返事が続く。
「……!?いやあの、入るわけじゃ……」
そしてようやく理解が追いついた葵は、慌てふためくが既に遅い。
「ヒャッハー部へようこそ!ここは全部活で最も自由で最も楽しい場所だ!葵君も一緒に筋トレをしようじゃないか!」
筋肉に拒否権は通用しない。
「だめよ、この子は私の執事にするわ。みなさい、この整った可愛らしい顔。きっと大事な場面ではかっこよくて、そのギャップが萌えるのよ!」
金髪に現実は見えていない。
「だめだよー」
「葵はー」
「「僕たちと曲芸を極めるんだから!」」
いつの間にかバランスボールから降りていた2人組に一瞬で呼び捨てにされる。
「ふっ、汝を我が同胞と認め共に歩みを進めることを許そう。……ふむ、咄嗟にしては中々良かったがもう少し凝った台詞を考えなければ」
厨二病は挨拶をしたかと思えば自分の世界に入り込み。
「今いいところだからちょっと待って!」
「あっこらてめぇ邪魔すんな」
「くそっ誰だここにバナナ置いたやつ!」
「はっはっはっ、このまま一位の座へ一直……やめてその青トゲのやつは投げないでお願いしますぅ」
ゲームに熱中している4人は1人を除き聞いていない。
「私のファンになりにきたのね!でも残念、ファン第一号は心に決めた人がいるの!お詫びに私をコールする権利をあげるわ!」
アイドル気取りは自分のファンだと疑いもしない。
「…………」
あまりの情報量に脳がパンクしたのか、何も言い出せず行動することができない。
「まぁまぁ、みんな少し落ち着いて。彼が混乱しているじゃないか。大丈夫かい?」
「……あっ、はい。なんとか……」
イケメン女子が現れた!一部の女子にきっと王子様と呼ばれているだろう。まさに地獄に現れた天使……
「ところで葵くん、彼女は募集していないかい?ちょうど私は相手がいなくてね。よければ今から家にこないかい?大丈夫だよ、親は夜まで帰ってこない」
残念!天使ではなく淫魔だった!
「あ、すいません、用事を思い出したので帰りますね」
「どこに行くんだい、まさか私では物足りないと!?」
「またいつでも来てくれ!歓迎しよう!」
一周まわって冷静になった、あるいは壊れたのか淡々と部室から出て行く。ポージングを決めて笑顔で見送った筋肉の姿が目に焼き付いていた……
……僕は疲れてるんだなうん。