敵ミサイルを迎撃せよ 前
今作は掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
なお一部実際に起きた事件などや団体の名前を挙げていますがそれらも一切関係ありません。
上記のことを踏まえた上でお読みくださればと思います。
「奴隷をわざわざ戦場に連れてくるか…?見世物にするのかわからんが恐怖によって転移国も支配しようとしているのか?」
部下からの報告書をじっと眺めて海上自衛隊のトップはそう呟いた。彼の名は佐田和… 九州南西海域工作船事件の際にあまみ型巡視船あまみに乗船していた1人である。
当初自身の経験からK国の工作船が大規模で侵入してきたかと考えていたが、木造船や装甲艦など年代物が多く日米の情報当局が電波等を受信していなかったため異世界側だと判断し、政府に連絡し海上警備行動という最終手段に出た彼だったが今回のようなケースがまた起きるかもしれないため敵国の基地を壊滅させようと考え、証拠集めに奮闘していた。
「分かりません…ですがもしそうなったら国家転覆罪だと言えるのではないでしょうか?そ国家転覆罪だと言えば攻撃したりすることはできると思われます」
そばに控えていた男は佐田の考えに答えると自身の持論を繰り出した。確かに我々は相手を国だとは認めていない…その方法は使えるのだが。
「K党が文句を言うのは間違い無いだろう。そうなればマスメディアが形成する世論は間違いなく違憲だと言ってくるに違いない。マスメディアは売国奴だからな」
そういうと彼はタバコに火を付け、嗜んだ。
マスメディアが形成する世論はメディアの考えどおりに動かされ間違い無く批判するだろう。
そして被害を受けるのは俺たちだ。C国の動きもわからない今第二列島線を確保されかねないためだ上も理解してくれるだろう。
この国、日本の3つの手段のうちの一つを使うことには。
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「閣下もこの国に関してはすごい力を入れているよな…あれを使えだなんて」
そう言いながら彼は自国の最終手段の準備をし始めた。これさえあれば敵の街はあっという間に粉砕されさらに奴隷が増えるだろう…そしてもっとたくさんの奴隷を弄べるだろうと考えながら準備を終えると彼はボタンを押す準備に取り掛かる。
「風素100%熱素80%です!発射準備完了しました!」
「了解!古の兵器の力を奴らに見せてやれ!」
部下の報告を受けると彼はボタンを押した。そして船に積まれていた物は日本の首都、東京へと向けて東へと進み始めた。
「これさえあればあいつらも終わりだな…ミサイルだから」
そう言い終えると彼は自身が所有する奴隷でストレスを発散しようと考え、自身の部屋へと戻っていった。
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「フィリピン海付近から謎の飛翔体が発射されました!Jアラートを発令します!」
東京都霞ヶ関は異世界転移後初めての飛翔体…ミサイル発射の一報を受けて緊張感が走った。
K国のこともあるから何回か運用訓練をしていたからか、いざ実際に起こるとスムーズに全国の地方自治体に送られ警戒が高まる。
「目標地は関東地方と推測されます」
テロップがNHKで流れた瞬間…自衛隊による迎撃措置が指示された。そして防衛省内に置かれていいるPAC-3が動き始める。飛翔体の数は30個…全て打ち落として見せると自衛官が心に決めた時に全ては始まった。
「イージス武器システム(AEGIS Weapon System, AWS)による捕捉完了!SM-2発射!」
まず海上自衛隊所属イージス艦よりSM-2が発射される。国民を守る槍となった彼らは敵が発射したミサイルを迎撃し始める。昼だったが雷のように光ってどんどん落とす様子からのちに愛称として「雷槍」と名付けられ日本でブームとなるのだがそれは別の話…
「敵ミサイル20発を打ち落としました。一部ミサイルはターゲットをロストしたため空中で爆破した模様です。10発のミサイルを打ち損ねた為PAC-3による迎撃措置をとります」
そして日本の興亡はPAC-3に委ねられた。