殲滅させよう!敵船団
「敵艦怯むどころか、こちらへと近づいてきます!装甲艦を先頭にして近づいて来ています!」
「戦闘機はもう一度攻撃に向かいますが…あと10分はかかります!」
俺が予想だにしないことが起こってしまった。まさか装甲艦を主軸として接近してきて特攻するとは…
相手にも相手なりの事情があるのだろうが流石に厳しい。
「装甲艦を分析したところ大日本帝国時代に存在した艦「扶桑」に似ていることが判明しました!画像をスクリーンに表示させます!」
その報告と同時にスクリーン上に帆を付けた船の画像が浮かび上がった。その船は今敵の船団の先頭にいる船と酷似しており砲も一致している様だ。
「扶桑って言ったら戦艦じゃないのか?某艦隊ゲームでは航空戦艦だったし」
「扶桑は確かに戦艦の扶桑もありますがその前に建造されたのが今回の扶桑です。そして某ゲームの方ですが近代化回想を繰り返された扶桑は史実上航空戦艦にはなりませんでした…のであちらはオリジナルの方かと」
俺がついていけない次元の話を一部の自衛官がし始めたな…俺はそう言うゲームとかちょっと苦手だから縁もゆかりも無いが。
「まぁいい。で徹甲弾で貫通させられると言うことだな。総員は準備をしてくれ」
「司令…今回はそんなことすらも考えていないので持ってきていません!」
俺が指示を出そうとしたその時に俺が頼りとし、そして皆の希望が潰えてしまった。
装甲弾がなくても潰せないわけでは無いのだが楽に片付けられると言うことで欲しかったし装甲艦が何しろ100隻がいる状態なので早く潰して回頭して欲しいと言う考えもあったので欲しかったが仕方ない。
カチッカチッ、プルプルルという音が戦闘指揮室に響いた。その音の発生源は衛星電話だ。
もちろん用件は応援が欲しいということだ。
『もしもし相模司令?』
『霧島か?久しぶりだな!あれだな、そうそう空自のブルーインパルス以来じゃないか?いやぁ…話そうぜ今すぐ来れるか?』
『相模、こっちは海の上だぞ?来れるわけがない!』
『お前のことだからF−15Jとか乗れるだろうがよ。まぁそっちの事情についてはわかっている。応援が欲しいのだろ?』
『そういうことだ。例の部隊を来させられるか?かなりの集団でな今1500くらい残っている』
『了解した。今日はとっておきのものもあるから付けておくよ。そちらの位置を把握したから5分で着く』
『ありがとう…今度借りを返す』
こうして俺は航空自衛隊豊岡基地第6総合部隊司令官の相模から応援を要請し見事に応援を呼ぶことに成功した。とっておきのものも来るらしいから勝てるだろう。
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『こちらA班、只今より敵船団壊滅及び降伏作戦を行います』
『こちらB班。了解したやってこい』
そんな会話が上空で交わされ航空自衛隊では初となる戦闘が始まった。作戦の名称は駆逐作戦。
A班が高高度へとさらに上昇したことを確認し見届けるとB班はさらに領海を進み始める。
国民のために_
A班は高度8000m付近を飛んでいた…ターゲットである敵の船団を壊滅、及び回頭させるためだ。
その目的の為に初の実戦使用とはなるが超高度爆撃機HUGAKUを応援として投入することを防衛省は許可した。
HUGAKUは富嶽をモチーフにした爆撃機で基本スペックを上げると以下の通りである
全長38.53m
全幅16.89m
全高 6.00m
最高時速 マッハ5.5
エンジン P&WのTX−3×4基
乗員 2名
それに対艦隊ミサイル流星を合わせる、為航空自衛隊の中でも最高峰で尚且つトップシークレットとなっていたこの戦闘機が今敵艦隊に火を噴く。
そして敵に報復攻撃として対艦隊ミサイル流星が各機から10発ずつが投下された。
まずは様子を見るために数をあえて減らして攻撃をすることになったのだ。
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「綺麗だな。流石流星と名付けられただけある。本当に流れ星みたいだ」
俺は戦闘指揮室から観測班であるB班からの映像を見て感動を覚えた。
流星は新型ミサイルで流星本体はいわば親みたいなものだ。そして流星の中にはさらに10発のミサイルが入っていて一定の距離と高さで分裂し襲いかかるという恐ろしいものだ。
そしてそれが今回3機から落とされたので俺たちは敵に300発のミサイルを落としていることになる。
無慈悲でもあるが仕方ない…彼らは巡視船を沈めたのだ。国民の脅威となるものには相当のものを与えなければ。
そして時刻は昼の筈が夜みたいな光景に変わった。恐らくは尾を引きながら敵艦隊を殲滅させるために落下していっているミサイルだろう。そのミサイルから新たなミサイルが出てくると本当に流星群みたいに見えてきた。
そして光に辺りは覆われそして真っ昼間に戻っていった。大量の船が先ほどいたところには今は数隻ぐらいしか残っておらず、後は残骸や真っ二つになった船しか残っていない。
「総員前進。敵船員が戦闘を継続させる様なら撃て」
俺は敵を降伏させるつもりで艦隊を進めるように指示を出す。もう損害は出させないという決意とともに船は進む。
護衛艦には有事の際に備えて銃器が武器庫に保管されている。ブローニングM2重機関銃やミニミ軽機関銃、9mm拳銃や対物狙撃銃などだ。
そして日頃から訓練を繰り返していて機敏・着実・静粛を幹部候補生学校で掲げているのだが、まさにその如く動き迅速に装備していた。
俺は9mm拳銃を装備している。隣でミニミ軽機関銃を構えて戦闘に備えている十六沢副司令はちょっと戦場なのにはしゃいでいるから少し不安だが大丈夫だろう。
大体の隊員が持ち場についた時、先頭にいるこんごう型護衛艦こんごうより連絡が来た。どうやら敵船団跡に着いたらしい。
「狙撃班はスコープを覗いておいていつでも撃てるように。甲板に出るぞ」
俺は戦闘指揮室で指示を出し終えると隊員たちとともに甲板へと出ていった…
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「本当に木造船が運良く生き残っている程度ですね。装甲艦なんて真っ二つですよ、真っ二つ」
十六沢副司令は落ち着いている様な声音でそう言った。声音は落ち着いているが本当は興奮している十六沢副司令と残虐な行為をしてしまって悔いている十六沢副司令が葛藤しているのだろう。
その証拠に顔には汗が垂れていて涙もスゥーっと垂れている。その涙をハンカチで拭ってあげたいがここは戦場だ。終わり次第しないと。
「そうだな…十六沢副司令メガホンを」
「はい…でどうなさりますか?」
「まぁ見といてくれ」
俺は少し涙を垂らしている十六沢副司令をチラッと見てそういうとメガホンを手に取った。俺はみんなの前へ出ると恐怖に怯えた。もしかしたら死ぬかもしれない…撃たれるかもしれないと_______
これはK国の罠で俺は核ミサイルによって隊員と一緒に死ぬかもしれないと思う自分を奮い立たせメガホンの電源を入れた。
『こちらは海上自衛隊だ。諸君らは完全に今包囲されている。鳥籠の中にいる鳥の様なものだ。抵抗せずに投降せよ、繰り返す抵抗せずに投降せよ』
そういうと何かが俺に向かって飛んできた。銃弾だ。
おそらく先ほど顔を出した男が撃ってきたのだろう。
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「はっ、たいしたことねぇなぁ。女までいるじゃねえかよやったな」
そういうと俺は日本国とかいう国の女を狙って泳ぎ始めた。
あの男は死んだだろう。フリントノック式の銃…王国内では最新の武器を使ったのだ死んでいて普通。
「司令!?狙撃班、一斉に撃て!」
敵の女の声によって甲板にいた奴らが一斉に撃ってきた。が単発だからなこんなもの防げるんだよ。
「防御魔法 ウォールバリア」
そういうと同時に俺の目の前に魔法が展開され銃弾を防いだ。流石列強である王国の魔法だ。そんなへなちょこなものなんて通せるわけがない。
「狙撃班、銃を変更。対物狙撃銃にせよ」
また女の声によって奴ら銃を変えてきやがったな。まぁどうせ聴き慣れない名前のやつだって大丈夫だろう。王国の魔法に勝てるものなんて。
パーン、パーン。
「嘘…だろ。王国の魔法が、最強の防御魔法が」
俺は海上に身動きできなくなった身体から必死に声を出しそう言った。何故か1発で防御魔法を壊してもう一発によって俺は死の寸前まで追い込まれてしまったからだ。
「信じられない…」
俺は撃った男が起き上がって俺を睨む姿を見てそう短くいうと息を引き取った。
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「流石はへカートⅡだ、よくやった。みんなもありがとう。捕虜は捕らえたい。第5総合部隊を呼べ」
俺は大声でそう指示を出すと腹を抑えた。血は出ていないが防弾チョッキには凹んだ跡がある。
かなりの距離があったはずなのにどうやってフリントノック式でここまで損傷を与えたのだろうか…
「とにかく捕虜に聞かなければ…」
そう考えながら俺は跡形付けを始めた。