【海上警備行動 発令】
『はい…では行って参ります』
『うん…永遠っち気をつけて』
俺は守本総監に電話をすると向こうにもすでに連絡入っていたらしく、アドバイスをもらい十六沢副司令を立つように促し階段へと向かって行った。
「ごめんな…十六沢副司令。ちょっと電話するためだけに振り回しちゃって」
「大丈夫ですよ…霧島指令。早く向かいましょう」
そうして俺たちは新設された舞鶴地方隊本部の階段を急いで降り、緊急出動用の出口から出る。
(船にはミニミ軽機関銃などの装備品があったはずだからそれを使おう)
そう考えながら港へと走っていくと、そのまま旗艦【航空母艦 しらかわ】に乗り込む。
一応毎日走り込んでいたからかバテていないということが幸いだろう。
「霧島指令!どうぞこちらへ」
3等海佐である男性が呼ぶ方へ向かうとそこは戦闘指揮所であった。
大きいスクリーンにはすでに何個かの点がターゲットへと向かっている様子が映し出されている。
「大島3等海佐、今はどの様な状況だ?」
俺が3等海佐に説明を求めると、ハッっと言って説明を始めた。
「先ほど F−15J改15機、F−35A20機を飛ばして不審船の数の把握と大まかな武装の把握をさせるために向かわしました。修理中の戦闘機を除いた全ての戦闘機をカタパルトに配置し終えています。P−3C10機につきましては91式空対艦誘導弾を配備させることも終わっています」
大島3等海佐は棒を持って図を指し示しながらそう教えてくれた。黒鷹やステルス戦闘機まで出してくるとはよっぽど強いのだろうか敵は。
「なるほどでは出港しよう」
俺がそう言うと全艦が少しずつ動き始める。異世界転移以後初の戦いになるこの戦いはのちに日本海海戦と呼ばれることとなる。
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今回の【海上警備行動】について出動命令を出した船や航空部門に関して
第1総合部隊 護衛艦隊 旗艦しらかわ型航空母艦 しらかわ、あかぎ、ずいかく
はやぶさ型ミサイル艇 しらたか、うみたか
うみたか型ミサイル艇 うみたか
うらが型 掃海母艦 うらが、ぶんご
いずも型 護衛艦 かが
ひゅうが型 護衛艦 ひゅうが、いせ
こんごう型 護衛艦 こんごう、きりしま
はたかぜ型 護衛艦 しまかぜ
航空部門 F−35A 30機
F−15J改 30機
P−3C 10機
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『こちら加波1等空曹。不審船の艦隊を見つけました』
『こちら霧島指令。どんな特徴か教えてくれ』
戦闘指揮室に通信が来たので出てみると発見した様だ。特徴によっては91式空対艦誘導弾を打って沈めるか。
『ええと…3隻だけ装甲艦です。それ以外は全て木造船だと思われます』
『装甲艦が巡視船を沈められるか?』
『いえ…おそらく何かしらの方法が、敵から何かしらが離陸したので戦闘に入ります』
『わかった、ご武運を』
どうやら装甲艦が相手の切り札みたいなものなのかもしれないな。それと敵勢力に航空戦力があるとは…木造船とは1発で真っ二つになりそうだが大丈夫なのだろうか敵は。そもそも正気か?
「総員…敵まであと50kmだ、気を引き締めろ!」
「「ハッ!」」
「敵が攻撃次第…攻撃せよ」
俺はそう言うと目の前にある大きなスクリーンを見つめた。相手がうまく攻撃してくるかが問題なのだが…
『攻撃されました。航空部隊に損害なし反撃をします』
『了解!AIM-120などの使用を許可する』
俺はうまく攻撃してくれたことに感謝するとAIM-120の兵装の使用を許可した。国民の脅威となる武装勢力だ…同情するつもりはない。
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「AIM-120を切り離すっと」
僕…いや我々は霧島指令の許可を得たため直ちに切り離し、相手の航空戦力に向けて打つとGAU-12 イコライザーを打つ準備に取りかかった。
訓練以上に緊張するのは気のせいではないはずだ。いつもなら上手くいくドックファイトも今回に限っては上手く勝ちに運べる自信がない。
バコーン バコーン
ミサイルがターゲットに当たりターゲットが次々に落ちていく様子を見て少しずつ自信が湧き始めてきた。僕は落としたターゲットをよく見た。そのターゲットは空想上の生き物…ドラゴンだった。
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「くそっ!どうなっておる!」
ブルエスト王国第2艦隊提督オルミ・ニシターナは司令室にある植民地の高価な木で作られた机を折る勢いで叩いていた。
【無敵の艦隊】を率いる彼は普段は穏やかな人物なのだが彼は人生で初めてイラついていた。
「ですから…提督。航空戦力が敵の白龍によって我が方の白龍が落とされたんです!」
その秘書であるイミ・レスイも必死に状況を説明しているが自身もその被害を受けいられずにいた。
それもそのはずブルエスト王国側は1撃も与えられないまま、航空戦力であった白龍を全部300匹を失ったからだ。制空権も失った彼らに勝ち目は艦隊決戦のみであった。
「このままでは龍母はただの藻屑です!」
「かと言って帰れるわけがない!早めに占領しろと言われたからな」
そんな口論をしている最中…彼らに新たな脅威が迫っていた。
「きゃっああ!揺れている!龍母ミリアスが!」
「バカな!クソォ!」
そして敵勢力の艦隊は30隻から6隻にその数を減らした。
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「Joint Strike Missileが本当にすごいと言いようが無いです…まだ2発しか使っていないのに10隻も減らしましたから…P-3Cも既に出て91式空対艦誘導を4発打って14隻も減らしてくれましたし、こちらの損害は今のところ0ですし」
十六沢副司令は俺に向かってそう感想を述べた。先ほどの大規模攻撃によってターゲットはその数を減らしたので降伏してくれると嬉しいんだがと思っていると向こうはこちらへと進行方向を変えて向かってきていた。
「やばいな…俺達の数もわからないまま艦隊決戦ってか?かわいそうだから警告してやってくれ」
俺はそう指示をすると前を向いた。そして目の前のスクリーンには新たな光の数が見えてきた…どうやら応援らしい。
「さて…全員後悔しろ」
俺は誰にも聞こえない様に言った。敵勢力1500隻の艦隊に向けて…
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「提督!後続がついてきました!これなら勝てます!」
「よしやったな…帰ったらおいしい飯でも行こう」
彼らは装甲艦100隻を含む後続がついてきたと言う情報に喜んだ…が不利な方は一喜一憂する間もないと言うことを彼は知らなかった。
『こちらは日本国海上自衛隊…舞鶴地方隊である。ここは我が国の領海及び排他的経済水域である。直ちに回頭せよ、武力行使をやめる様警告する』
どこからかそう言う声が聞こえてきた。
(普通に話してもこの戦場では【拡声魔法】を使ったとしても500mまでしか届かないはずだ。なのになぜ1km離れても聞こえるのだ)
そう考えても結論は絶対に出ないだろう…なぜなら彼らからすればその技術を得るためにはあと200年はかかるのだから。がここまで警告しても無駄だと彼らは判断し、先行艦しまかぜより攻撃を実行する様命じた。
そしてしまかぜのMk 42 5インチ砲が起動し始めた。そしてMk 42 5インチ砲の先端から弾がでた瞬間に彼らはこう言った
「あんな棒で我々を殺せるとでも?」
そう言ったことをのちに後悔することを知らない彼らに無慈悲に1発の弾丸が旗艦に衝突した瞬間に船体は2つに分かれ海に浮いた。
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「これで帰ってくれるとありがたいんだが…」
俺はその様子を見ながらそう呟いた。




