第四昼 能力の事
「うん、確かに『困った事があったら頼れ』って言ったんだけどさ、流石に言った途端に『困ってる』って言わなくない?いくら困ってても次の日とかじゃない?いやそれだと逆に不自然か?うん、よっっっくわかんない。もういいわ。んで?困ってるって、何に困ってんの?」
おれは1人でぶつぶつぶつぶつ考えてる事を口に出していった。
「サンタとかいうくっだらない家系?」
おれが(ぶつぶつと同時に)聞くと、三ツ葉が苦笑いしながら答える。
「それさっき話さなかった?それに家系をくっだらないとか、思ってても言わない方がいいと思うんだけど。まあおれは思ったら言っちゃうけどね?」
「嘘。ごめん嘘ついた。ホントは、ぼくさ、闇の警察なんだよね。」
「ダークポリス?よくわかんないけどカッコいいのは分かる!」
「や、別にそんなにカッコよくはないけど」
「そなの?じゃあダークポリスってなに?」
「闇の警察って意味なんだけど、悪い事してる奴らとか、麻薬売ってたり、銃の密輸してたりね。そういうのの、組織ごと潰すとか、そいつが1人だったら捕まえたりして、警察に送りつける」
「ほぼ警察じゃん」
「まあそうなんだけど、闇の警察は普通の警察と違って、不法侵入して証拠とか探すし、ぼくみたいな子供がやってたりする、悪い警察なんだよね」
「あ〜成る程な。警察に捕まる可能性もなくないって事か」
「うん、そういう事」
「それでなんで困ってるんだ?」
「それがもうね、1人で侵入すんのがしんどくってさ〜」
「あ〜まあ確かに?ん?ちょっと待て…」
「それでね、晴流も一緒に闇の警察やらない!?ていうかやろ!」
(やっぱりぃ〜!)
「……おれにできんのか?」
おれが不安げに聞くと、三ツ葉が元気良く答える。
「できるできる!余裕だよ〜!だってぼくが出来るんだよ?だったら晴流にも出来るに決まってんじゃ〜ん!」
段々三ツ葉のテンションがおかしくなってくる。
「いや、それは理由にはならな」
「はい、決定〜!」
ビシッと立てた人差し指をこちらに向けてくる。
「う〜ん、まあそれはいいと(仮定)して、三ツ葉は今までどうやって侵入とかしてたんだよ?」
「え?能力使ってだけど?」
「……?」
三ツ葉の顔には『なにか?』とでも書いてありそうだった。
「能力ってなに…?」
「あ、話してなかった?」
「全然話されてないんだけど」
「家系が変な人達には能力が与えられるんだよ」
「変とか言うな。可哀想だから」
「神様によって」
「神様かよ。なんで神様だって分かるんだよ」
「それで、ぼくの能力は」
「無視かよ」
「製造者。製造者って書いてプレゼントって読むの、変だよねー」
「確かにそれは変だけど。どういう能力なんだ?」
「物を作れるんだよ」
「物を!?」
「うん、作ってみる?」
「おー!作って!」
そう言うと、三ツ葉の手に飴玉が現れる。
「うおー!アメだ!」
「ふふん、すごいでしょ」
三ツ葉が得意げに言い、もう1つ飴玉を作ると、おれに渡した。
「はい、これ晴流の分」
「え、くれんの?さんきゅー!」
飴玉コロンと口に入れると、甘酸っぱい味が口全体に広がる。
「これ、レモン?」
「そ!当たりー!もう一個あげよう」
三ツ葉は、もう1つ飴玉を作っておれに渡した。
「そんなにいらないけど・・・」
「貰っといて損はしないでしょ!」
「まあそうだな」
「ていうかさぁ、晴流にも能力あったら良かったのにね」
「まあな。でもないもんは仕方ないだろ」
「まあね」
「そういえば闇の警察はどうやったらなれんの?」
「ぼくと一緒に仕事すればなれるよ」
「へぇ〜……ってそんな事でいいのか!?」
「うん」
「あ…うん、じゃあ、これからよろしく…?」
「よっろっしっくっねー!」
三ツ葉がおれの手を握り、ブンブン振る。
(これでいいのかおれーーー!)
おれは心の中でそう叫んだのだった。