第一夜 みつばとサンタ
サンタさん
それは、12月24日の夜、クリスマスイブにやってくる。えんとつから部屋に入って来て、プレゼントを置いていってくれる。
そんな夢の様な……
「うーわ、やっばぁ…もうクリスマスイブじゃなくなるじゃん……プレゼント配りきれないな…明日でいっか。明日もクリスマスだからね〜」
でっかい白い袋を持って、赤い服を着たヒゲもじゃもじゃのおじいさん。
というのが、一般的な考えだ。
なら、今寝たふりをしているおれの横で起きているのはなんなんだ。
「じゃ、またね♪晴流」
そう言って、おれの親友は二階の窓から出て行った。
おれの名前は朝陽 晴流。小学4年生。
そして今日は12月24日。クリスマスイブだ。まあ、あと40分くらいで12月25日になると思うけど。
そんな事はおいといて、今の状況を整理しよう。
おれは、今から5分くらい前までは寝ていた。誰かが入ってきたような気がして、目が覚めた。音がする方を片目を開けて見た。そうしたら、でっかい白い袋を持った、おれの親友、三田 三ツ葉が私服でおれの部屋の中に立っていた。
「!?」
三ツ葉?なんでおれの部屋に?っていうか、あの袋なんだ?
「うーわ、やっばぁ…もうクリスマスイブじゃなくなるじゃん……プレゼント配りきれないな…明日でいっか。じゃ、またね♪晴流」
で、今に至る。いやどゆこと?
クリスマスイブに親友が部屋の中にいて、プレゼント配りきれない、とか言って、二階の窓から飛び降りるってどーゆーじょーきょー?
三ツ葉がサンタさん?まじ?んなわけないだろ。だってサンタさんはおじいさんだもんな。
冷静になれ、おれ!今日三ツ葉に直接聞くか?そんな事…するしかないよな。
よし、直接聞こう。決まり。
おれは、また眠りについた。
朝起きて、夜(?)三ツ葉がいたところを確認する。そこには、プレゼントらしき物が置いてあった。
「これ…プレゼント?三ツ葉が置いていったのか?」
開けてみると、おれがめちゃくちゃ欲しかったゲーム、『アベレージヒーロー3』が入っていた。
「うおおおおおー!よっしゃ!アベヒー3きたー!!お母さーん!」
アベヒー3というのは、アベレージヒーロー3の略だ。
お母さんにゲームを見せるために、おれは階段を駆け降りた。