感想を書きたくない読者のみなさんへ
感想を書く、という行為を、「作者に送る」と読みかえた人は少なくないのではありませんか?
感想を書くことについて、とくに投稿サイトにおいては特別な意味が付与されてしまいます。
作者に送られるメッセージとしてのもの、と。
作者に送られるからという理由で感想を書かない人は多いと思っています。
ちなみにこのエッセイ、感想が楽しくなるツールを試作してみたのでその宣伝です。
話を戻します。
せっかく読んでくれたなら、もっと感想を楽しんでほしい。と、私はそう思っています。
読書ってなんだ?
その答えは人それぞれにあるでしょう。
私は、物語を通して自分の気持ちを確かめる作業だと思ってます
もちろん、物語に自分の気持ちを載せて、自分が主人公になったかのように楽しむ没入感も醍醐味のひとつです。
しかし、それだけを追求することは難しいです。
主人公があなたの気持ちとズレる度に、裏切られるようなものでしょう。
物語とあなたの間には、重なる部分と、そして重ならない部分がありますから。
知らなかった知見に感心したり、
かっこいい主人公に酔いしれたり、
熱い展開に待ってましたと喜んだり。
感想はそのような、物語に触れたときの「自分の気持ち」を発見する楽しみがあると、私は思っています。
感想をしたためるからこそ、あなたの読書体験はより深いものになるし、自分の中の何が物語に惹きつけられたのかを見つけることになるでしょう。
感想を人と共有し、その違いに新鮮な驚きを感じるのもまた読書の楽しみの一つです。
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以下、書き手の立場から考察した感想にまつわるあれこれです。
なぜ感想を書くのはこんなにも面倒なのか?
小学校の読書感想文によるお仕着せの感想が暗い影を落としているのは疑いありませんね。もちろん、それだけではありません。
読書メモを残さない理由は大きくみっつ。
ひとつ、別にそういうの求めて読んでるわけじゃないから。
マンガやアニメを流し見するように、物語を浴びているだけだから。
至極当然の帰結ですよね。
そりゃあそうだ。記憶に留めるつもりもないなら、書く理由はあんまりない。
ふたつ、感想を残すほどのものじゃないから。
短編や完結済み一気読みなど、まとまった分量を読んだ場合は、ふむ感想でもまとめるかな……! という気にもなるかもしれません。
しかし、更新分を流し見ただけなら?
あるいは、「読んだはいいけど、これだけじゃなんとも言えないなぁ」という内容だったら?
書くに書けない、というのが正直なところだと思います。
みっつめ。
一生懸命感想に表現しようとして、まとまりのない文になって、読後感の邪魔になるのが嫌だ。ひっそりと噛み締めていたい。
少なくとも私はこのパターンもあります。
そして感想を書くモチベーション的な時機を逃す。おのれミスった……と思いつつも、今さら思い出しながら書くのもキツい。おのれ……。
いずれも、感想を書き起こすことに対する巨大な障壁になりますね。この壁を乗り越えるのは、ちょっとやそっとではできません。
感想を書くのは面倒。少なくとも少なからぬ労力を要するもの。
この結論は揺るがないと思います。
そもそも感想とはなんだろう?
感じて想うこと。
漠然としています。
先に述べたように、私は自分の気持ちの発見だと考えてます。
自分は読んだ内容の何に対して、どう思ったのだろう?
たとえばキャラクターが相変わらずかわいいとか。ブレねぇな、とか。
あるいは、思ったよりハジケてくれなかったな……とか。
あーこの無名冒険者として入団してわざわざ地味な成果を積んでいく過程めちゃ好き! とかね。
いわゆる「なろう系」でさえ、あれこれ感じながら読んでいます。
もちろん読み勧めていくうちに次々と浮かんでは消えて、忘れます。さながら起きれば忘れてしまう夢のごとく。
夢日記を書くのが難しいように、感想を書き綴るのは難しい。
つまり「いったい、『なに』が自分に響いたのだろう? または、響かなかったのだろう?」という自問こそ、「感想」なのでしょう。たぶん。私見です。
感想は自問自答。
つまり、一種の「自己表現」です。
仮にも書き手であるからには、知っています。
「表現する』ことがいかに深淵で、容易でない、答えのないぼんやりした道のりなのかということは。
ここで私がいっくら「感想も楽しいよ!!」ちゅーても、大変なのは変わりませんし、実際に楽しさを見出すまでは楽しいものではありません。
書き手の立場だって、小説を書き始めるときに、全く同じような言葉や挫折をさんざん見聞きしてきていますから。
それでも、なろうで物語を書いている人はうなるほどいます。
感想を書いている人も同じように。
だからきっと、「感想を書くのは楽しい」ということは、私だけの意見ではないのだと信じています。
壁は厚いが、乗り越えてみれば面白い。そういう種類のものなのでしょう。他の様々な表現と同じように。
感想を書かない理由は山ほどあります。
時間がない、単純に面倒、感想を持つほどの小説じゃなかった。
良し悪しじゃありません。
そういう現状が立ちはだかっているから、感想を書かないという結論が導かれた。
普通のことです。そこに文句を言っても始まりません。
だからまあ、私は思ったわけです。
つまり、「時間をかけず」、「簡単に」、「『読んだ内容のどこが心に残ったのか』を言葉にできる」ようにすれば──「感想の壁」は薄くなるんだな? と。
感想ツールは、読者が自分の感想を発掘できる、を目指しています。
ぜひご自分の「感想」を探してみてください。
できれば、その発見を作者にも共有してあげてください。
よろしければ、感想ツールのフィードバックもお願いします(笑)
どうか感想が楽しくなりますように。
ではでは!
https://narouyoufeel.firebaseapp.com/
ここすきチェッカー
<a href="https://narouyoufeel.firebaseapp.com/">感想ツール「ここすきチェッカー」</a>
ランキングタグ欄に直接貼れるリンクタグ。
使い方は簡単。
下のように感想の種類(着眼点?)ごとに項目が分類されております。
ジャンルパネルをタップするとパネルの項目に変更されますので、近いなと思うものをもう一度タップしてください。
クリップボードにコピーできますので、それぞれ感想ページや作者へのメッセージ、あるいは自分用の読書メモなどに貼り付けてくださいませ。
(ページから直接の送信は、知識不足で実装できませんでした……)
ツールを使う上で、優しい人は「書き手が力を入れていた点」を探してしまうかもしれません。
しかし、設定の重厚なハードSFでキャラ萌えしか感じなかったなら、それがあなたの感想です。どんな感想を持つのも自由です。
ネガティブな感想は探すのが簡単なので、このツールではポジティブな感想を探すことに終始しています。予めご了承くださいませ。
※感想が欲しい書き手のみなさんへ。
このツールは粗末な文面しか出力できません。なのでテンプレが送られてきても怒らないようにしてください……。
個人的な推奨として、なろう感想欄だけでなく匿名メッセージサービス(マシュマロやウェブ拍手など)も併記しておくと、このツールでの文面を送りやすくなるかと思います。もちろん匿名窓口には弊害もありますので自己判断をお願いします。
ご自由にご活用ください。とくに報告などは必要ありません。
「口下手でも書ける感想ジェネレーター」というサービスもあるようです。
こちらは柔らかい文面が出力できそうですね。
どちらでも、お好きな方をご活用くださいませ。
https://production-report-generator.wander.blue/
ほかに類似のサービスがあればお教えください。
もっといいのがあれば私もそっちを使います(笑)