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「歴史的文学女子会」シリーズ

ようこそ!歴史的文学女子会へ「メリークリスマス」

作者: のん太

*メリークリスマス!*

 私の名前は紫式部(むらさきしきぶ)。平安時代に仕事の傍ら趣味で同人小説『源氏物語』を出版したあの紫式部よ。

 今日は2018年、12月25日。クリスマス。世の中の男女はホテルで純愛。私はそんなの求めてないの! もっとドロドロした恋愛事情だとか、イケない関係に萌えるの!


「またあなた、くだらないこと考えているのかしら?」


 この女は清少納言(せいしょうなごん)。私の趣味を「くだらない」「浅はかだわ」などと罵倒してくる鼻につく女なの。でも、随筆の才能は多少は……認めてる。


「少納言。私、冬コミに出す小説が間に合いそうにないから少しあっち行ってて」


「はぁ、またあの穢らわしいBLとかいうやつを書くつもりね。あんなもの出すなんて、同じ平安女流作家として黙ってられない。今すぐやめなさい!」


 少納言は私の創作を否定してくるわ。だからあの女嫌いなのよ。こっちに来る前は面識なかったし、会えて嬉しいと思った矢先にこの態度。もうインテリアピールはいいから。本当に腹ただしいわ。

 余談だけど、『清少納言』っていうのは名前じゃなくてペンネーム。私の『紫式部』っていうのもペンネームよ。


「アタシの大切な紫先生の小説を馬鹿にしないでください! 先生の秋の新作読みましたよ。何も知らないウブな少年が、好奇心旺盛な同級生に……! もうサイコー過ぎます!」


 この子は菅原(すがわらの)孝標女(たかすえのむすめ)。源氏物語時代からの私のファンで、『更級(さらしな)日記』っていう源氏物語への愛を語った、言わばレビューを書いてくれた子なの。


「ありがと。今、冬コミに出す新作のネタが浮かばなくて……。そうよ、今から街でネタ探しに行きましょ!」


「先生、新作出すんですか!? もう、マジで感激です! 少納言さんも行きますよね?」


 何てこと行ってくれるんだ菅ちゃん! あの女となんて絶対に嫌だからね。まぁ、あっちもそうだろうけれども。


「わたくしは……やめておきますわ。あなたとは違って、近々コミカライズする小説の推敲で忙しいの」


 あぁ。何から何まで鼻につく! いいのよ私は。妄想世界でファンタスティックすれば! ないものをおっ立てていればいいのよ!


「行くわよ、菅ちゃん」


「待ってくださーい先生!」


 私達は街へと歩いていった。駅前の広場にはリア充、リア充、リア充! ドロドロは? BLは? ショタっ子はどこなの? 


「先生あそこ……!」


 菅ちゃんが指差した方向を見ると、中学生くらいの少年たちがじゃれ合っていた。

 ヤバイ! 今ボディタッチしたし! ってくすぐってるぅ! マジか……。美味しすぎるっ、美味しすぎるよ! このまま片方の部屋で「もっとすごいイタズラしてもいいかな……」とか言ってそういうこと始めちゃうんでしょう! 最初は「何やってんだよ、やめ、やめろよ!」とかなんて言いながら、快楽に飲まれて「しゅきっ……」って接吻を……。


「紫ちゃん、菅ちゃん。ナニしてるのかしら?」


 わっ! びっくりした。このオカマは紀貫之(きのつらゆき)。古事記の仮名序を書いたエリート中のエリートなんだけど、『土佐日記』っていう今で言うところのブログを紙にしたためたものを女性のフリをして書いたの。つまり、日本最古のネカマよ。今じゃ完全なオカマ。


「アテクシは今日のクリパの準備の帰りだったんだけど、貴方達は何をしていたのかし……あら? あの可愛い男の子たちを見ていたのね、『っらゅき☆ぶろぐ』のネタになりそう……!」


 あ、そうだった! 冬コミのネタ探しで忘れていたけれど、今日は()()こと『歴史的文学女子会』のメンバーでクリスマスパーティーをする予定だったわ! いいネタも見つかったし、もう帰りましょう。


「ただいま! 少納言ちゃん、アテクシたちが帰ってきたわよ!」


「うるさいのが帰ってきた……おかえりなさい」


「チキン買ってきたから、みんなで食べましょ! でもその前に飾り付けもね?」


 っらゅきはどうやって持ってきたのか、モミの木を部屋にドンッ! そして「あら、このクマなんてプリティじゃない?」などと言いながら飾り付けをしていく。正直私は飾り付けより肉が食べたい! 肉よりショタが食べたい! だって私、あの源氏物語を書くような人だよ? 年中欲求不満なの!

 『文女』のメンバーは私と清少納言、菅原孝標女と紀貫之の四人。職業はそれぞれ、私はアルバイト兼同人作家。少納言が売れっ子小説家。菅ちゃんは普通に会社勤め。オカマは天才ブロガーでブログが書籍化してる。つまり私だけ、社会に適合出来てないのよね。


「50年もののワイン、一本あっけちゃいまーす! 安心して、アテクシの奢りよ」


 っらゅきがグラスに赤ワインを注ぐ。もうこの際、仕事とか忘れてパーティといきますか!

 っらゅきがブログに載せる用の写真を取ってから乾杯。……さっきの中学生、食っちまえばよかった(性的な意味で)。

 少しでも面白いと思ったら、評価をポチッと! してください。

 評判が良ければ、お正月も書くかも……?

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― 新着の感想 ―
[良い点]  はじめまして。  1年以上前の作品について、失礼します。  楽しく読ませていただきました。平安時代の文人たちが現代によみがえって女子会をするというのは、とても面白いテーマだと思います。 …
[一言] 平安は素晴らしい小説を書く作家さんがたくさんいますね。 こう考えると・・・。
2018/12/25 08:37 退会済み
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