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「――――弾着確認、標的の武器を破壊」
そして、その管制塔の上。空港の広い敷地を一望するように高くそびえ立つタワー状の頭脳であるそこに、スカートスタイルのタイトなスーツを着る、凛とした知的な風貌の女――――鷹橋冴子が一挺の狙撃ライフルと共に伏せっていた。
「とりあえずは、これで一安心かしら」
吹き込む激しい風にセミ・ロング丈の栗色の髪を靡かせながら、冴子がふぅ、と小さく息をつく。口元に加えるハイライト・メンソールの煙草から靡く副流煙が、吹き付ける風の中に霧散していく。
下に敷いたスナイパーマットの上に伏せる冴子が二脚を立てて構えるのは、豊和M1500狙撃ライフルだった。ヘヴィーバレルのヴァーミンター(害獣駆除)仕様の太い肉厚な銃身で、強力な.300ウィンチェスター・マグナム弾を使う為に機関部もロング・アクション仕様だ。
「さて、と……」
煙草を咥えた口でニッと小さく微笑みながら、冴子はM1500のボルトハンドルを引き空薬莢を排出すると、新しい.300ウィンチェスター・マグナム弾を一発だけ薬室に直接手で込める。そして銃床にそっと頬を付け直し、ナイトフォース社製の高精度狙撃スコープ越しに右眼で再びユーリ・ヴァレンタインの姿を見た。
「決着は、私が頂こうかしら」
ある種妖艶にも見える笑みを浮かべつつ、冴子は伸ばしていた右の人差し指をM1500の引鉄へ再び沿わせた。マットの上へ並べた風向計や湿度計などの各種計測機器、弾のドロップ率を記録した早見表などを使い、頭の中で簡単に弾道計算をしてやる。急なことだったのでレンジカードは用意できなかったが、この程度の距離で必要は無いだろう。
「悪いわね、晴彦」
呟きながら、冴子はM1500の引鉄を絞る。
「最後に良いトコだけ、私が全部持って行っちゃって」
夜明け前のまどろむ空に、.300ウィンチェスター・マグナム弾の強烈な銃声が木霊した。




