表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
じゃんけんに熱狂する村  作者: カスイ漁池
〈収束〉「それぞれの本気」
6/43

画面の中のアイドル

 ねえねえ、キララちゃん、この前のライブ、すごかったねえ。僕、ちゃんとブルーレイ買ったんだ。あ、せっかくだし、一緒に見ようか。もう何回も見たからどのシーンにキララちゃんが出てくるか、覚えちゃってるけど。


 今ね、キララちゃんが出てるカットまとめてる途中なんだ。でも、作業があんまり進まないのが困るんだよねえ。だって、ほら、僕ってキララちゃん見てると胸がぎゅうっと締めつけられてどうしようもなくなるでしょ? ほんと、「プンプン」だよ。あ、ごめん、催促してるわけじゃないんだ。やってくれたら嬉しいだけで。

 え? やってくれるの?

 嬉しいなあ! あ、ちょっと待って、正座するから。あー、ドキドキする。では、どうぞ!

 ……はあああん! キララちゃん、かわいい! かわいすぎて罪だよ! キララちゃんは神さまが生んでくれた贈り物だね!


 ああ、もうドキドキしてきた。ほら、僕の胸触ってみて、心臓爆発しそうでしょ? 遠慮しなくていいからさ。ね、ね、ね? キララちゃんの指、暖かいなあ。白くて細いし、爪も綺麗だ……僕も触っていい? いいよね?

 嬉しいなあ……まさか、キララちゃんとこうする時間が来るなんて夢みたいだよ。画面から出てきてくれたときは驚いたんだからね。隣の馬鹿な大学生はキララちゃんのこと気付かなかったみたいだけど、もったいないよねえ。あ、でも騒ぎになっちゃうと困るかな?


 ねえ、キララちゃん、僕のこと、好き? 好きだよね? そうだよね?

 うん、僕もキララちゃんのこと好きだよ。好き好き、愛してるよ。いつまでだってこうしていたい。地球が滅亡したって二人でいたい。いや、どっちかっていえば、地球が滅亡して新しいアダムとイヴになるのも素敵じゃない?

 僕はキララちゃんのこと何でも知ってるしさ……本名とかどこで生まれたのかとか、夜に何をしてるのかとか、何でも知ってるよ。でもキララちゃんはキララちゃんだから言わないけどねー。


 って、まずい! もう九時じゃないか。今日はキララちゃんの出る番組があるんだった。一緒に見ようね、キララちゃんが最高に輝くところ。

 ……あれ? ニュース速報だって。どうしたんだろうね。ふーん、「キララちゃんが行方不明」なんだってさ。キララちゃんずっとここにいるのに、おかしいねえ。

 あ、呼び鈴だ。誰かな。また隣の大学生かな……面倒だけど、しつこいんだよねえ。ちょっと行ってくるね。

 え、あ、お、おまわりさん、どうしたんですか? え? この家には僕とキララちゃんしかいませんよ? あ、ちょっと! なんで中に入るんですか! やめてください!


 ……まったく、キララちゃんグッズに傷がついたらどうするつもりですか。ええ、そうですよ。一生懸命集めたグッズなんです。世界に一つしかない(・・・・・・・・・)、僕の自慢なんですよお。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ