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泣き虫なかみなり様  作者: 影山右京
1/2

かみなりさまとかみなりさま

きょうのひよりくんは、少しごきげんななめ。りゆうは…


「きょうでなくても、またゆうえんちに行けるわよ。」


いつも、おしごとがいそがしいパパのお休みがとれて、ゆうえんちにつれてってくれるよていだったのに…


きょうは、朝から雨がふっていてやまないし、パパも急なおしごとになって、かいしゃにいっちゃいました。


「だーって…」


ほっぺを膨らまして、あめつぶの当たった窓から外を覗いたひよりくん。


ママが、ちょっとわらいながら、


「かみなりさま、またおくさんにおこられてるのかな?」


そう言ったあと、とおくでゴロゴロとかみなりがなった。


「ぼく、かみなりきらーい。」


ママにだきつくひよりくん。


かみなりの音が、だんだんと大きくなって、お空もさっきよりくらく鳴りました。


「こんどは、なにをしておこられたのかなー?」


ママは、ひよりのやわらかな髪をさわりながら言いました。


「きっと、おしごとがいそがしくて、おうちになかなかかえってこないから。」


ひよりくんは、パパのことがあたまにうかびました。


「そうかもね。」


ママは、ちょっとうれしそう。


「かみなりさまって、ほんとうにいるのかな?」

「いるわよ。だって、いなかったら、晴れたり、くもったり、雨がふったりしないもの…」


ひよりくんは、ママに髪をさわられるのが大好きで、いつの間にかねむってしまいました。


『ちょっと、あなた!聞いてるの?』


大きな声がして、目がさめたひよりくん。


「あれー?ここ、どこ?」


おうちみたいだけど、ぼくのおうちじゃない…


なきたいのをがまんして、ひよりくんは、声のするほうこうへすすんで行きました。


『だって…しごとが…』

『あなたっ…』


あいていたドアのすきまから、こわごわと覗くと…


「かみなりさまー?」


クルクルあたまのかみなりさまとおなじかっこうをした女の人がいて、思わず声に出ちゃったひよりくん。


「あれー?きづいてないのかなー?」


ひよりくんが、ドアから入っても、かみなりさまのおくさんは、きづかないでかみなりさまをおこってました。


どことなく、かみなりさまがパパににています。


『ごめんなさい。』


「パパとおなじだ。」


ひよりくんのパパも、ときどきママにおこられてるのを、しってるから…


『反省してるんですか!?』

『うん…』


おっきなかみなりさまが、なんか小さく見えたひよりくんも、なんかきゅうになきたくなりました。


『うっ…うっ…ごめん。ごめんよ。』


おくさんににらまれたかみなりさまは、とうとうなきはじめ、つられてひよりくんもないちやいました。


「あらあら。こわいゆめでも見てるのかしら?」


ママは、ねむってしまったひよりくんを、おへやのベッドにねかせました。


ひよりくんが、目をさましたのは、ゆうがたの5時でした。


「マーマー。おなかすいたー。」


元気よくリビングに入ると…


「かみなりさまだ!!」

「えっ?」


これには、ママもパパもびっくり!


だって、リビングにいたのは、ひよりくんのパパなんですもの。


「かみなりさま?どこに?」


パパは、雨でぬれたかみをタオルでふいてます。


「雨にぬれるとこうだからなー。」


パパも雨は、きらいみたいです。


「あっ!!にじ!!」


ひよりくんが、窓からお空をのぞいたら、西の空におっきなにじが、出てました。


「あしたは、ちゃんと行こうな。ゆうえんち!」

「うんっ!!やくそくだよ!」


そう言ったひよりくんは、えがおになってパパにだきつきました。

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