第37話 書庫こしょ
31話やっちゃってたので直してますm(__)m
時は遡りトワが捕まる一ヶ月前。
アルフォード王城。
アルフォード・D・ガクトは書庫にいた。
王城の書庫には莫大な本や資料などが大量に集まる。
その中でガクト王子は王都アルフォードの住民登録書を見ていた。
「この先にあのこが…。」
この世界に来て初めて認知した女の子。
そこにあるのは6歳児だった少年の心なのか?はたまた乗り移る寸前の意識がそうさせたものなのか。
重厚な本のページを1枚また1枚とめくっていく。
「あの通りの西側だから…。」
「お兄様!」
集中していた意識をスッとさらう声。
「パステル急に話しかけるな!びっくりするじゃないか。」
「扉もノックしましたし、お声もかけましたよ。お兄様が集中しすぎなのですよ!」
勢いに乗ったパステルの物言いに萎縮するガクト王子。
「それはすまない。」
「分かっていただければ構いません。お兄様は何をそんなにご熱心に調べられてるのですか?」
「いや…それは、まぁ…ははは。」
パステルにどう話していいか言い淀んでしまう。
初恋の女の子を探してると言えばどういう反応を起こすか。まだ幼いとはいえパステルも女の子だ恋話などすればたちまちに根掘り葉掘り詳らかにされるだろう。
兄として王子としてなんとも気恥ずかしい面を妹に出すわけにはいかない。
「ねぇお兄様何を調べていたのですか?」
「パステル私達は王族だな。」
「?。そうですわね。お兄様。」
「王族はどういう人物がなると思う?」
「そうですわね〜力あるものですかね!」
「そうだな。だか力だけで民は幸せに暮らせると思うか?」
「違うのですか?」
「僕は…僕は民に寄り添う王が慕われる王があって民は幸せに暮らせると思うのだ。」
「……。」
沈黙がおりる。
ちょっと話を盛りすぎたか。
はっきりいって調子に乗りすぎたか?
こう言う時こそ集中だ。
もう一度資料に目を通し始める。
そんな横顔を見るパステルは一言。
「…お兄様はやっぱり素敵です。」
とポツリと呟いたがパステルの言葉はガクト王子には届かない。
「アホか。」
そんな二人の会話に耳を済ましていたものがいた。
王子継承権を持つ王子には特定の貴族から情報収集の為雇われるものがいた。
王子が抱えてる問題、悩みや願望といったものを知れば王子を利用する材料がうまれる。
「会話から察するにバカ王子恋してんな。こいつは金になりそうだ。」
王子らが退出した後その者はガクト王子が折り目をつけた一冊の資料を手に取りニヤリと笑うと王城を後にした。