第36話 脱出まであとちょっと?
名前どうしよ名前どうしよ名前どうしよ。
煌々と輝くハンカチは徐々に形状を変えていきシルエットを創っていく。
徐々に丸みを帯びて膨らんでいく光。
ピシ、ピシピシ。
中央にヒビが入る。
(何だろう大丈夫かな?)
パカッ。
(あ、割れた。)
割れた光の塊の1つ1つがうにょうにょしながら形を整え、光を失っていく。
ぴょこっと耳がでる。
なんとも可愛らしい。
手足があり4足歩行できるモコモコの体が出来上がる。
そこに尻尾がニョロっとでてくる。
白と黒の猫である。
(なんかでたし。コレどうしろというのでしょうか?)
『ご主人!ご主人!』
「ちょっと!ぁ。」
大きな声が出そうになるのを慌てて手で抑えるトワ。
『ご主人何を慌ててるのです?』
『ご主人何を慌ててるのなの?』
黒と白の猫が話しかけてくる。
トワは慌てて2匹の猫の口を塞ぐ。
『何をしてるのです?(なの?)』
キョロキョロ辺を見回すトワに2匹の猫は不思議そうにちょこんと大人しく座っている。
トワは小声でも無い声で話しかけられていると思っているので辺を見回していたのだが先程から一切状況は変わっていなかった。
(聞こえてないの?)
ふと思った疑問に2匹の猫は再び声をかけてくる。
『ご主人に念話で話しているのでこの声はご主人にしか聞こえていませんです(なの)。ですから私達にご主人が意識してくれると頭の中で会話できるです(なの)。』
(ああ、それは、便利だね。)
『です!(なの!)』
どういう原理かは不明だが周りに気づかれることも無く脱出計画を立てるには都合の良い事であった。
ごにょごにょ。
こくり。
作戦が今ここになった。
トワはミレーユちゃんを移動させアイテムボックスに入れていた手錠や布を装備すると待ち構える。
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暗がりに響く鳴き声がする。
「にゃーにゃー」
一匹の猫が鳴いていた。
「何だ?」
牢屋の見張りをしていたロブザは椅子に座って退屈な時間を持て余していると動物の声が聞こえてきた。
「なんで猫なんてのがいやがる。」
唐突な来客に苛立つ。
ロブザは捕まえようと白い猫に手を伸ばすが、そんなロブザを挑発するかのように右に左へとスルスルと白猫は避ける。
ガンッ。
がむしゃらに追い回した結果鉄格子におもいきっりぶつかるロブザ。
「くそっ猫がっ」
痛みを堪えながら悪態をつき白猫を睨むロブザだがそんな事をお構いなしに鉄格子に入って後ろ足で首をかく白猫の姿がみえる。
「なめやがって」
牢屋の鍵をカチャと開けて中へ入ろうと足を踏み入れようたした時。
黒い何かがよぎった。
するとそこにあった牢屋の鍵が無くなっていた。
踏み込もうとした牢屋の先に頭の先から尻尾の先まで黒い猫がいた。
「人間様をなめるんじゃ…ぬぁ…。」
ドコッ
黒猫に足を踏みだそうとした時そこには無かった。
「落し穴」
そこにあるはずの地面というものが……。
踏み出しているロブザに背中にぶつかる震動。体重が進行方向に進む。
しかしそこには地面がない。
ロブザは何かないか掴もうとするが動転する脳が思うように動かない。
踏み出した足を止める事ができない。
「光」
小さなが呟きが聞こえるがロブザの耳にはっきりした言葉が聞こえない。
眩しい光に包まれ思わず目を手で覆い暗い穴へと落ちていくのだった。
ブラック・ホワイト。
うん。ポ○モンかな。
うん。違うのにしよ。