第28話 王都パレード
ちょっと風邪気味〜
トワが6歳になったその年王都でパレードが行われる事を知った。
建国80周年を迎える王都アルフォード。
各地からどこからともなく多くの人が押し寄せ、どこかしこでお祭り騒ぎである。
「トワ〜準備できた〜?」
ママンから声が掛かる。
「もうちょっと〜」
ミレーユちゃんに誕生日プレゼントで貰ったリボンを付ける。
「よし♪」
今日はツインテールでお出かけである。
準備は整った!出発進行♪
ママンの手を引いて人混みの中を歩く。
(迷子にはなりたくないよね〜)
「つったかたぁー つったかたぁー つかつか ずんずん ずん はいっ!」
なんとか行進曲とか言うのかなぁ?
良いリズムに自然と口から声が出る。
大きな広場では、曲に合わせて踊りまわっている。
いつもは、見ない屋台では、顔を真っ赤にしているおじさん達が「酒だー酒もってこーい」と叫んでいる。
(警備呼ばれないようにしてほしいとこだよ〜せっかくのお祭りだし)
そんなこんなでお城に続く中央通りまでやってくると人、人、人。
(は、は、は、マジ人がゴミのようだよ〜。あ、でもあれ上から見て言うセリフだよね〜私もゴミの一部だし)
キョロキョロ辺りを見渡していると、辺から歓声が聞こえだす。
「「王国アルフォード万歳」」
「「アルフォード様万歳」」
(王様かぁ〜どんな人なんだろう?)
見えないなぁと思っているとママンが抱き抱えてくれる。
二頭の馬に引かれて豪華な馬車から手を振る人が見えた。
如何にも王様という王冠をかぶり馬車にも負けないきらびやかな衣装にマントを羽織っており顔には深い皺が刻み込まれている。
(ああ王様だわ〜あ、でも思ってたよりちょっと若いかな?)
そう思っているうちに2台目の馬車が通過する。
(き、綺麗……。 息を飲むってこういう時に使うんだね。アレは、おんなじ人間なのかな?)
周りを見ると男の人女の人関係なしに恍惚とした顔で呆然としている。
「あの方が妃様よトワ」
うんうん。と首を立てに振る私。
その様子を目を細めて微笑んでいるママン。
さらに3台目の馬車が見えてくる。
4人の人が立って手を振っている。
1人は20歳くらいの青年。
1人は15歳くらいの少女。
1人は10歳くらいの女の子。
1人は6歳くらいの男の子。
「あの方達は次期後継者の王子王女様よ。」
うん。はっきり言って美男美女だよ。
王家恐るべし!
ぼーっと見てたら4人の乗っている上にうっすらと煙の様なモヤが現れた。
(何あれ?)
不審に思うも何もする事ができない。
何かをやるにも人が多すぎて無理!
魔法ぶっ放したら捕まりそうだし。
(なんでだろう?誰も気づいてない?)
辺りを見廻すも各々《おのおの》が只々《ただただ》王子王女の名前を呼び王国万歳叫ぶだけである。
そうこうしている内にモヤは人の顔になるとニタッと笑ってスッと消えてしまった。
(何だったのだろう?普通にホラーだよ!)
不気味な笑顔に嫌悪感に曝されぐったりと家に帰るのだった。
マ
どうしたのトワ?
ト
気持ち悪い…。
マ
あらあら人に酔っちゃったのかしら?
ト
吐きそう‥…。
マ
あらあら、肩から降りてちょうだい。