第25話 アベル夏休み②
夏休み終わりですね〜
川で遊んだ翌日妹がふてくして機嫌が悪い。
「風と火の魔法なんだから適正あるよね…私の事きらいなの?」
妹がそんな事を言う。
俺は妹に嫌われに来たんじゃんない!!
俺はやるぞやってやるぞ!!
「すぐできるようになるから!!」
僕はそれだけ言うと裏庭に勢い良く飛び出し狙いを決め、手を出し呪文を口する。
初級魔法、【風】初級魔法中でも特に簡単な魔法である。
ヒュー
狙った地面にごく微小な風が舞う。
続けて魔法を詠唱しようとして思考が止まる。
ヒートってなんだ!?
妹が火属性と口にしていたのでエアが風なのでヒートが火属性なんだよな。
その時あっ!とアベルは、思い出す。
妹の詠唱が短すぎる!!
二重詠唱に加え単略詠唱って…。
アベルにとって救いなのは、初級魔法級の二重詠唱が唯一の慰めだった。
それでも諦めないアベル(ただ妹に嫌われたくないだけ)は、トワが唱えていた詠唱とその時出現した魔法を記憶を引きしぼるように思い出しながら練習するのだった。
そしてアベルは、3日目にして漸く習得に成功する。
驚くべき執念である。(ただ妹に嫌われたくないだけ)
度重なる魔法失敗によるリバウンドでアベルの身体は無闇に擦り傷ができており目の下には、隈ができていた。
魔力枯渇で何度も倒れていたので服は砂ぼこりで汚れている。
そんなまさにボロ雑巾な有様なアベルだが目には達成した喜びでギラギラした目になっていた。
裏庭から家に入り一度寝ようとベッドに向かおうとするアベルの目にふとクリーム色で金髪の髪が視界に入る。
「ト、ワー」
絞り出すように声をだす。
トワは振り返るとギョッとした様子でこちらを見ている。
1歩ずつアベルが進むのに対して1歩ずつ下がるトワ。
アベルは疲れ果て気づかなかったトワから見たらまるで前世で見たゾンビ映画のそれに近しい自分の姿に。
バンッ。
トワは追い詰められキッチンに背を向けながらいやいや首を振っている。
追い詰めたアベルはまさに抱きしようと手を伸ばそうとするが「水よ来たれ 水玉!」トワの声と共に1mほどの水の玉がアベルに飛来する。
衰弱しているアベルは、どうする事も出来ずにビシャと音共に撃沈した。
その後、何事かと音を聞きつけた母様に意識を失った僕はベッドに放り込まれ後日しっかり叱られたのだった。
そして、その夜僕は風呂上がりのトワを待ち構えていた。
その手には髪を梳く櫛を持っている。
すると身体をホクホクさせたトワが上がってきた。
僕の方をじろじろ見ると鏡の前の椅子にぴょんと座るトワ。
汚名返上だ!
トワの後ろに立つとすぐ様アベルは詠唱を返しする。
「温かい風を此処に 暖風」
僕は全力で微調整を繰り返す。
もう片方の手では櫛で髪を梳く。
トワは気持ち良さそうにニコニコしてくれている。
ミッションコンプリートだ!!
僕は満足感を味わいながらトワの頭を撫でた。
トワは振り返ると顎に指を当て首を捻る僕も連れて首を捻る。
トワは何かを考えてるみたいだ。
ポンッと手を打つと「いい事思いついた!!」と言って耳打ちしてくれるのだった。
中々書ききれない(笑)




