第23話 むかーしむかし。
あうー私としては、長くなったなぁ~。
エリウスはその後思った通り3、4発頭に頂戴して帰る運びとなった。
「かっかっかっではまたの!ついでじゃからこいつを小生意気な幼女の貴様にやろう。」
頭を擦りながらそう言って赤いハンカチらしきものを渡してくる。
私は、頭に?を浮かながらハンカチらしきものを受け取る。
早く帰ってほしい。
余計なことを言うと長くなりそうなので「ありがと」と短めに返事しておく。
エリウスはうんうんと頷くと「ではまたのっ!」っといって身体をぐぐっと深く沈めるとボコっと鳴る地面の音ともに跳躍してすぐに姿がみえなくなっていった。
横に立っているママンを見上げると呆れた顔で見送っていた。
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翌日、ママンにそれとなく「ママは聖女様なの?」って聞いたら昔話を始めたよ。
むかし、むかし。
あるところに可愛い女の子がいました。
その女の子は小さな頃から強い魔力がありました。
そして、女の子は、孤児でした。
親がいない女の子は教会に引き取られる事になりました。
そこでは、30人ぐらい同じように過ごしていた子がいました。
教会から支給される聖本とよばれる本には、癒やす力を扱える魔術が書かれていました。
数年間勉強すると扱える者と扱えないものがでてきました。
30人ぐらいいた子が20人ぐらいに減っていました。
10人ぐらいの子はどこに行ったのでしょう。
わかりません。
教会には、色々な患者が運ばれてきます。
残りの女の子達は、みんな精一杯治療をしました。
そんな中、1人また1人と姿がなくなっていました。
治療をやり始めて何年か過ぎた頃、王都から騎士が訪れました。
治療魔術の優れた6名が選ばれ女の子はその内の1人に選ばれました。
そして、火、水、風、土、光、無から勇者が選ばれ1人ずつに治療魔術師1人、攻撃特化魔術師1人、護衛役に5名の騎士が就く事になりました。
女の子は知りませんでしたこれから激しい戦いに赴くのを。
最初の頃は順調でした。
大勢の魔物が現れますが勇者は、ばっさばっさと切り倒し、攻撃特化魔法は辺り1面を灰にかえます。
少しの傷は治療魔術師がすぐさま直します。
そして、3日かけて辿り着いた先には数にして約100万人の人族VS約魔物100万匹とそれを引き連れた約50万人の魔族との戦争が繰り広げられていました。
そこらじゅうから怒声が聞こえ、ぶつかり合う斬撃音や魔物の雄叫び声、血飛沫をとばす人と魔物と魔族、漂う死臭、壮大な人数が地響きをお越し阿鼻叫喚をよびます。
女の子は足が竦み動けなくなります。
そこに、護衛の1人が声をかけてきて励ましてくれました。
他の人達は、歯を食いしばりながらも先に行きます。さすがに100万匹の魔物や50万人の魔族の相手は消耗が激しすぎるので身を切る思いをしながらも迂回を決断し進みます。
私は護衛1人と少し休憩をとってから分岐地点の拠点に合流する事になりました。
大勢いるなかで2人抜けてもそれ程支障は無いのでしょう。
勇者たちは重い足取りであるが徐々に姿を消していきます。
女の子は、帰っても自分の居場所など無い事を知っていました。
なので使命を果たす以外、女の子の道はありませんでした。
怖い気持ちを抑え込みながらも勇者達がいる拠点へと向かいます。
勇者の跡は分かりやすく通ったあとには魔物や魔族の無惨な姿が転がっています。
気分を悪くしながら進む中、茂みから苦しそうな声が聞こえてきます。
護衛の人には無視して先に進もうと促されますが女の子は気になってしょうがなく護衛の話を聞かずに茂みへと入ってしまいます。
そこには、頭から血を垂れ流し、煌めく2本の角のうち1本の角が折れ肩で息をする肌が薄い紫色の少女がうつ伏せに倒れていました。
女の子はすぐ様止血のために清潔な布をとり出し縛り治療魔法をかけていきます。
なんとか流れる血を止め死なない程度に回復させる事ができました。
少しすると目をあけた魔族の子は女の子を見ると驚愕し、そそくさと逃げていきました。
その瞳はギラギラと黄金色に輝いていました。
女の子は、綺麗な瞳だなと思いました。
その後ろには、ため息を吐く護衛が1人。
そして、合流に成功し、再び歩き始めます。
14日間の道のりでようやく辿り着いた先には魔王城がありました。
魔王の集落を横ぎり魔王城へと繋がる大きな橋へと向かいます。
何もいない。
魔物も魔族も1匹も1人も見当たります。
不穏な空気が流れますが後には、引けません。
橋を渡ります。
横幅約5m魔王城まで約100mの道のりです。
警戒しながら進んでいきます。
中央付近まで歩みを進めると円型の大きな広場と数十人の人が待ち構えていました。
見るからに大きな力を宿した魔族達がいました。
その中心には、桁違いな存在がありました。
勇者たちは冷汗が止まりません。
恐怖を払拭するように勇者は雄叫びをあげると次々に戦闘に入ります。
魔族の中からは、桁違いな存在だけが動くだけです。
他の者達は、跪き動きません。
勇者6人がかりで切りかかりますがかすりもせずよけられます。
攻撃特化魔術師も勇者の攻撃の合間に魔法を撃ち込みますが手を振るい放った魔法が消えてしまいます。
さらには、何十個もの黒い玉に弾き飛ばされ攻撃を中断させられます。
勇者達は避けたり剣や盾で防いでいますが護衛騎士の何人かは直撃を受け倒れているものもいます。
魔王、、、。誰かが呟きます。
少しの戦闘で自覚させられてしまう強者。
唯一倒せるはずの勇者達が容易く遇らわれている光景に絶望が押し寄せて来ます。
それでも勇者達は、希望に縋る思いで必死に剣を振るいます。
魔王は詠唱します。
黒い穴
突如小さな黒い穴が空間に出現します。
その魔法を切り裂こうとした勇者は跡形もなくその黒い空間の中へ吸い込まれ消え去ってしまいます。
誰にも止める事はできません。
誰もが確信します。
あれは、人類が倒せる相手ではない。
撤退だ!誰かが叫びます。
その間もノロリノロリと魔王は近づいてきます。
女の子は、咄嗟に前にでます。
帰っても居場所がない。
蹲ってる人を見捨てられない。
泣けなしの魔力で結界を張ります。
ただの時間稼ぎですがこれでいいのです。
その時ふと肩に手を添えられます。
前の時も付き合ってくれた護衛騎士です。
少しの魔力が流れ込んできます。
女の子は、こんな時でもバカだなぁ~と思いクスッと笑ってしまいます。
護衛騎士の人もきっと呆れながらも笑っているのだろうなと女の子は、肩に乗せられた優しい手を愛おしく思いました。
勇者達の撤退が大方終わった辺りで魔力切れ結界が解けノロリノロリ黒い穴が近付いてきます。
女の子と護衛騎士は、死を覚悟しました。
タッタッタッ。
ダメっー!!
紫の肌をした少女が両手を左右に広げ女の子と近づく黒い穴の間へと身体を割り込み入ってきました。
少女を飲み込もうとしていた穴が突如として消え失せます。
女の子と護衛騎士は魔力枯渇と死の恐怖からの開放に気を失ってしまいました。
後日、目を覚した女の子は、魔族の少女と友達になり魔王に書状を渡され王都へ持ち帰ると世界を救った聖女と持ち上げられる事になりました。
めでたし、めでたし。
最後なんやかんや省きました。
ホラー要素
友情要素
恋愛要素
親馬鹿要素
らしき物を詰め込みました。