第10話 パパン
短く。
日々寝る前に魔法を詠唱し、塾睡する毎日。
この日は鈍よりとした天気で今にも雨が振り出しそうな日、ママンと兄と昼食を頂いてるとドアがバンっと開いた。
そこには立派な髭を生やしたチョイイケメンの男の人が立っていた。
(誰?)と私が頭を傾けているとママンとアベルは駆け出しその男の人に抱きつく。
「「おかえりなさい。」」
「あーただいま。」
どうやら男の人は父らしい。
父は私の近くに寄ってくると私を両手で抱え高い高いをしてくる。
私が無表情でいるのにも関わらず、「うーんかわいでちゅねー」といって頬摺をしてくる。
髭が痛い。
赤ちゃんの感受性をもった今の私は、思いっきりいつでも泣ける。
「ーーぅーーーゃーーゔあーーんあーーん」と泣き喚く。
驚く父。
呆れるママン。
おどおどする兄。
泣く事数秒ママンが父の腕から救い出すとよしよし頭を撫でてくる。
ママンにぎゅっとしがみつく事で父からの離脱に成功する。
父は膝を着き歯を食いしばって頭をたれていた。
そんな父にアベルが肩をトントンと手をのせていた。
(泣いてんのかな?でも、私悪くないよね?)
ママンは、夜にしか娘の顔を見に来ずいきなり娘に頬摺りをする父に説教をしたのは、言うまでもない。
パパンと書かない非道(笑)