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海 猫

作者: 華蓮&魔瑠琥
掲載日:2017/04/01

昔々あるところに一匹の猫がおりました。

その猫には美しい妻がおり、猫仲間の内では仲の良い夫婦として有名でした。


ところがある日、妻は一人で船に乗って航海に出てしまいます。

そしてしばらくすると猫は、

妻の乗っていた船が沈没してしまったという知らせを耳にするのです。


猫は慌てて救助船に忍び込み、船が沈没した海へと急ぎました。

そして暗闇の海へと飛び込んだのです。

大切な妻に会うために。


猫は泳ぎました。

海底に向かって。

そこに大切な妻がいると信じて。

自分の居場所はそこしかないと思って。


猫は泳ぎました。

海面に向かって。

息継ぎをするために。


猫は何度も何度も、

海底に向かって泳ぎ、

海面に向かって泳ぎ、

いつしか海の中で息絶えてしまいました。


息絶えた猫に神様は言いました。

「お前の想いに私は深く感動しました。

ですから、お前の魂を天上の星の一つにしましょう」

それを聞いた猫は神様に言いました。

「神様お願いです。

この海の底には私の妻の魂が眠っているのです。

どうか私の魂も妻の隣に……」


しかし神様はその願いを叶えてやることができません。

何故なら死んだ者の魂が死んだ場所に留まると悪霊になってしまうからです。

「それならば、妻の魂も一緒に天上の星にしてください」

神様はその願いを聞き入れてやることが出来ない理由を猫に話しました。


「お前の妻の魂は天上に連れて行くことは出来ません。

何故ならお前の妻は、お前ではなく人間の男を愛したからです。

人間の男を愛し、そしてその男の乗る船と一緒に海に沈んだのです」

その事を知らされたその猫は、大層に悲しみました。

しかし、それでも神様に言ったのです。


「それでも私は妻を愛しています。

ですから、私の魂を天上には連れて行かず、どうかこの地上に留まらせてください」

それを聞いた神様は、その猫を真っ白で美しい一羽の鳥に変えました。

そして神様はその猫に言ったのです。


「よいですか、決して海には近づいてはなりませんよ。

もし近づいたら、お前のその白く美しい体は汚れてしまいますからね」

鳥になった猫は神様の言いつけを守っていました。

けれども、どうしても愛する妻のいる海に帰りたかったのです。

そんなある日、とうとう神様との約束を破ってしまいました。


そして、死んだ妻の魂が眠る海の上を、幾日も幾日も飛び続けたのです。

すると白く美しい翼は灰色に濁り、白く輝く尾は醜い斑となってしまいました。

それでも鳥になった猫は、妻の愛した唄を猫の言葉で歌い続けたのです。


やがて、その歌を聴いた人々はその鳥を「海猫」と呼ぶようになりました。

小説家デュオとしての処女作です。

Twitterにて合作された物語を、童話の小作品として二人で仕上げました。

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