~No.33~
「分からないな…俺には。お前の言ってる事は難しい」
「ハハッ、ゴメン。僕が言いたかったのはね…」
よいしょと立ち上がる姿は親父とそっくりだ…霞んできた目でぼんやりと思った。傍にしゃがんだヴィルの瞳は温かさを感じる緑光を放っている。
「自分の生きてる理由なんて誰かが決めるもんじゃない。たとえそれが生みの親でもね」
「……お前は見つけたのか?その…理由とやらを」
ヴィルはニッコリ笑って答える。
「僕は今まで沢山の人に支えられてきた。だから今度は僕がその人達を支え護っていく。これが僕の生きてる理由…君もね、white」
「………そうか」
その言葉だけで満足だった。
whiteの傷を癒そうと手を伸ばした瞬間…
«ガシッ…»その手を掴まれた。
「……まさか……」
セヴィルに嫌な予感が走る。
「?white,どうした…「悪いな」
「ヴィルッ!銃を取り上げろっ!」
セヴィルが叫ぶ声と銃声は同時だった。
«バァーンッ!!……ドサッ……»
「!?」「……畜生が…」
whiteの手には小さな小型銃が握られていた。腕に仕込んでいたらしい。
一瞬何が起きたのか分からなかった。ただ、その目が見たのはwhiteの腹から先程とは比べ物にならない程の血量が流れている光景だった。
口から空気が混じった血が噴き出す。既にその目は何も見えてはいなかったがヴィルのいる方向へ顔を向けると笑みを浮かべて言った。
「そういう訳だ。お前の世話になる気はない。その瞳はお前が支えて行く奴の為に使ってやれ」
「…どうして…言っただろ、君もその一人だって」
「大勢殺してきたんだ…その責任は取らなきゃならねぇ……俺も思いついたよ」
「…え?」
「理由さ……俺はこの国の手配人"white"。モスキートの造り出した"人間兵器"。そいつは人間の脅威になり得る存在だったが今日自決した。目撃したのは拘束されていた二人の男。軍界最高権力セヴィル・スグナとその息子ヴィル・スグナ……2人はwhiteの死体と共に帰還し科学界最高権力モスキート・バングの陰謀を暴く……とまぁ筋書きはこんなもんでいいだろ。whiteと言う名は俺が貰っていく。お前は今日からヴィル・ベルへルク・スグナだ。
……忘れるな」




