~No.31~
暗い地下道…真っ暗な道の真ん中に赤い瞳が2つ。瞬きもしない、よそ見もしない。天井の光口から出る陽に白髪が反射する。
右手に杖刀、左手に拳銃を携え迷う事なく歩みを進める。その足は鋼鉄のドアの前で止まった。
«…ガチャ…ギィィィ…»
鍵を開け錆びきったドアをゆっくり開く。
中には男が2人部屋の真ん中で寝転んでいた。
白髪の男は黒い上着を身体に掛けたまま口を開けて寝ていた。隣の男も同様、顔に上着を被って寝ている。その腹の下には小さな血だまりが見えた。
二人はwhiteが頭元に立ってもピクリとも動かない。
「…よく寝てるなぁ…死んでんのか?」
両手の武器を床に置くとゆっくりと胡座をかき座った。少し経つとヴィルの寝息の音が聞こえてきた。
失笑しつつはだけた上着を掛け直してやる。
逆さまの寝顔をじっくり眺めた。
何だか不思議な気持ちに包まれる。
自分と同じ顔だが何かが違う。
その顔はどこか幸福そうで安心しきっていて……
『俺もお前みたいになりたかったよ…どうしたらそんな間抜けな顔になれるんだ?俺とお前は…俺達は"兵器"なんだぞ』
人との"出逢い"に恵まれた者とそうでなかった者。
互いに始まりは同じだった…今は違う。
「……フッ…」
己の惨めさを小さく笑い立ち上がった。
その足は隣にいる男へと向く。
「………」
ゆっくり腹元へ歩いていくと足で軽く蹴り上げた。
«ドカッ……»
「………」「………」
応答はない。
よく見れば撃ち抜いた腹には布切れが巻かれている。
『止血のつもりか?』
瞳孔を確かめるため顔に掛けられた上着を取ろうと手を伸ばした………
「……«ガシッ!»っ!?」
死体の様に動かなかった手が伸ばした手首を掴む。
「…やっと来たか、待ちくたびれたぞ」
「て…てめぇ…なにやって«ボキィッ!!»っ!?」
掴まれていた手首が不思議な音を立てる。
それと共に蹲る程の激痛が襲う。
「グァッ……」
慌てて掴む手を引きはがし男の後ろへ引き下がる。
砕かれた骨を握っていると男がムクっと起き上がった。唯一覆われていない両目がwhiteを睨むように蔑むように見ていた。
「…ハァ…ハァ…てめぇ…どうして…」
上着を羽織りながらセヴィルは立ち上がる。
床に置かれた愛銃を拾い上げると弾が入ってあるか確認した。全ての場所に弾は装填されている。
「獣ってのはな、獲物があるか確かめに何度も埋めた場所へ戻ってくるんだ。…きっと来ると思っていた。わざわざ武器まで持ってきてくれるとはありがたい」
「……腹の傷はどうした」
「あぁ、あれか…コイツが治してくれたよ」
未だ爆睡中のヴィルを起こすためセヴィルは足で肩を蹴った。…それでも起きない。
「…コイツ…誰がそこまで真面目に寝ろと言った…いい加減起きやがれ」
呆れ顔のセヴィルなどお構いなしにヴィルの静かなる寝息は続くのであった。




