~No.22~
「……雷?」
地響きの様な音で目が覚めた。
いつもは日の光が差し込む部屋の中は今日はどんよりと暗い。
「嫌な天気だ」
隣に目をやると、シャイナが気持ち良さそうに眠っている。露わになっている半裸に毛布を掛けるとゆっくりベッドから立ち上がった。
シャワーを浴び、新しいシャツに袖を通す。ベルトを締める時、幾分痩せている事に気付いた。ここ最近ろくに食事を摂っていなかったのだ。
「今日くらいは飯を食うか」
シャイナが目覚めるのを待つ間、愛馬の世話をしに厩舎へ行った。中へ入るとセヴィルの帰りを待っていた馬達は嘶き迎えてくれた。一頭一頭に近づき長い鼻面を撫でてやると皆気持ち良さげに目を瞑った。
「ん?この馬は…」
一番端の厩に見覚えのない白馬がいた。馬はセヴィルを見ると嬉しそうに嘶き寄ってきた。腹が減っている様だ。とりあえず飼葉を取りに倉庫へ向かった。
「………?」
倉庫の扉が開いてる。厩番はこの時間にはまだ来ないはずだ。
(泥棒でも忍び込んだか…)
弾を装填すると忍び足で中へ入った。
壁の様に積み上げた飼葉の前にその男はいた。黒いマントを羽織りフードを被っている。頭に狙いを定め男に声を掛けた。
「動くな」
「――っ?!」
男の動きが止まる。
が、反撃しようとする意思は感じられない。
「手を頭の上に置いてその場に跪け」
セヴィルの指示に男は素直に従った。
銃を構えながらゆっくりと近付くと男のフードを取り顔をみた。
「――お前!…どうしてここにいる」
驚くセヴィルを前に白髪男は手を頭の上に置いたままニッコリ笑った。
「さっき部屋に行ったらシャイナさんと気持ち良さそうに寝てたから起こさなかったんだ。まさか、こんな所でセヴィルさんに会うなんて思わなかったよ。で、何でセヴィルさんがいるの?」
「こっちのセリフだよ。お前こそどうして俺の家に?」
「家?…ここ、セヴィルさんの家なの?じゃあ、シャイナさんは?」
「妻だ」
「…?妻?」
妻、という言葉にピンと来ないようだ。白髪男は首を傾げたままゆっくり立ち上がった。セヴィルも銃をしまった。再度聞く。
「どうしてここにお前がいる」
「シャイナさんの傷を治しに来たんだよ。ファルは急患で来られなかったからね」
「やっぱり…お前の事だったのか、ファルの代わりで来た男というのは」
「そうだよ」
これは偶然なのか……
セヴィルの胸の内を代弁するかの様に外の雨は一層激しく降り出した。そんなセヴィルに白髪男も聞きたい事があった。
「ところで…シャイナさんもセヴィルさんも―寝る時はいつも裸なの?」




