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第2話. 先輩、一緒にテスト勉強しませんか? 2
五月の心地よい朝の光に包まれた図書館へ続く坂道を、僕は自転車でかけ上がる。
10時10分前に図書館へ到着し、塩谷桃を探す。
図書館の一角に自習室コーナーがあり、横に二人ずつ座れるテーブルが50卓ほどずらっと並んでいる。
席はテストに向けて勉強する市内の中学生や高校生で半分以上埋まっていた。
塩谷桃は…席には見当たらない。
しかし一人見慣れた後ろ姿の高校生が勉強していた…倉田瞳だ。休日なのに制服をきているので後ろ姿、長めのストレートの髪型だけでも彼女と分かる。
参考書の山が高く積まれ、手は忙しく動いている。
彼女はトランペットと同じで、勉強においても相当な努力家なんだなあと感心した。
倉田瞳の隣の席は空いているので、おそらく一人で勉強しにきたのだろう。
僕は彼女に挨拶をしようかとも思ったが、それをせずに少し離れた二人分の席が空いているテーブルに座った。
凄く集中して勉強している様子なのにそれを邪魔して話しかけるのも悪い気がして。