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第1話 .二人の新入部員 3

part3


しかし、その次の日も塩谷桃は現れなかった。


さらに次の日、今日は金曜日。

ひとみさんによると桃ちゃんは今日も学校に来ていないようだ。

入部届はパート決めの日に出ているらしいので吹奏楽部に入部することは間違いない。

ひとみさんによると彼女はトランペットを小学生のころから吹いているそうだ。

高校でもトランペットをやるに違いない。

でも今日も塩谷桃は部活に現れないのか…


僕らは今年の夏のコンクールの課題曲「潮風のマーチ」をパート全員で合わせ練習していた。

とてもさわやかな曲だ。そのメロディを皆で合奏している途中、突然、ドアが勢いよく開く。

突然のことにびっくりしてみんなのトランペットの音が止まる。


するとかん高い声が教室に響く。塩谷桃だ。


「おーはようございまーすーっ!」

なぜか顔が濃い桃色に染まっている。まるで本物の桃のように。

それになんだか体がふらついてて倒れそうだぞ…大丈夫なのか?


案の定ふらふらと教室の床に倒れそうになり、ひとみさんが小さな桃ちゃんを抱きかかえる。


「ももちゃん!もしかしてまたアルち…」


ひとみさんが言いかけた思わぬ言葉に僕は反射的に聞き返してしまう。

「え?アル中?」


「すいません今の聞かなかったことにしてください!みなさん!!」普段穏やかなひとみさんが大きな声で言う。


「保健室に連れて行ったほうがいいんじゃないの」三年の先輩が言った。


桃ちゃんがふらつきながら立ち上がって言う。


「いやぁーそれはやめてくださいっ」

「わぁたぁしーは元気ですっ!何の健康上の問題もありません!」


…いやあるだろ。


「しゃあわぁたしも練習に入りますよーっ!しおからのマーチ!!わたしのよーく知ってる曲ですっ!」


楽器ケースを開けて楽器を取り出そうとする。

しかし、酔っているからなのか手が思うように動いておらず

全く楽器ケースの留め具が外れる気配がない…


「塩辛のマーチ?今塩辛のマーチって言ったのか?」

「いったいどんなマーチなのかさあ聞かせてもらおうか」三年の先輩が言う。

教室にどっと笑いが巻き起こる。


…というかろれつ回ってないし。

高校生にしてアル中?まさか、な。

それにしても、なんという破天荒な新入部員なんだ…

テンション高すぎ…

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