第1話 二人の新入部員 2
次の日。退屈な授業が全て終わると部活の時間だ。
今日はパート練習の日。
トランペットパートは放課後の教室一つをまるまる占領し、みんなでパート練習だ。
部室にいき、自分の楽器と楽譜をとって教室までもっていく。
教室に入ると、さっそく1年生、昨日の小さな女の子の隣にいた女の子がトランペットを吹いている。
名前は・・・「倉田瞳」だったっけ?
「ひとみさん?だよね」
「はい。わたし今日からトランペットパートに入ることになりました」
「先輩、今日からよろしくお願いします」
「いえいえこちらこそよろしく」
教室を見渡す。ちょっと今日は掃除当番で遅くなったのでいつものメンバーはみんなもう来ている。
でも新しいメンバー、一年生はひとみさんだけみたいだ。
「みかん先輩?」僕はパートリーダーの三年生に質問する。
「トランペットパートに決まった新しい一年生ってひとみさんだけなんですか?」
「うーん。トランペットパート希望者はひとみさんだけみたいだったけど」
ひとみさんが喋った。
「いえ、ももちゃんもトランペットパート希望ですよ」
「ももちゃんってあの背が一番小さくて、校内放送で呼び出されて帰った子だよね?」
僕は思わず確認してしまった。
「そうですよ」
倉田瞳が答えた。
「よかった。二人入ればにぎやかになるな」
「はい、わたし一人じゃなくてよかったです」
「でもきょうはももちゃん学校休んでます」
「そうなんだ、初日なのに残念だな」
「そうですね…わたし一年生ひとりで心細いです」
よかった。可愛い一年生がトランペットパートに二人も入ってくれて。
練習のモチベーションも上がりそうだ。
でも、ももちゃんこと塩谷桃、病気にでもかかったのだろうか?
早く喋ったり、一緒に練習したりしてみたい。
そしてみんなで練習頑張って夏のコンクールではいい成績とるぞ。