表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/24

第1楽章 7 ~ガイルの過ち~


「…で、ガイル君?」



ヴェルディが半分笑ったような音を出した。



「何ですか?信者サン。」



やや皮肉って言い返す僕。




「君…羽根まであと幾つ?」



「あと150ほどですが?」



「…ぷっ、名前まであと250ほどですかww」



「…悪かったな。」



「いいえー?良い名前かと思いますよ?

正式には貰って無いけどwwww」



「…本当のことを言っただけだ…おっと、そろそろエリのところに行かなくては。」




「……そっか、いってら!」



「…お、おう…」



きっとヴェルディのことだから突っかかってくるかと思ったけど…思いの外、引き上げた。



これも運命に関係あるとは、一度しか思ったことは無いが、

僕は迷わずエリの病室へ。いつもより、中が静かな気がした。



「エリ。僕だよ。今日はさ、森にあった木の実を…」





病室に居るはずの、愛しい大好きなエリ。



ベッドから、もう動けないエリ。



ベッドの上に…エリの姿は無かった。



代わりに置いたかのように、脱ぎ捨てたパジャマが目に入る。



退院することは無理だ。病気は悪化しつつある。



外出も同じ理由で。



トイレ…だとすると、わざわざパジャマを脱ぐ必要は無い。



と、なると、答えは。





「…っ、エリ!」



必死で駆け出す僕。



行く先々で不思議そうな顔をされるが、気にしている暇は無い。



ようやく探し当てた、その場所には。



『春日恵里 16歳 手術中』









天使は、人間よりも耳が良いようだ。



中で機械音が聞こえる。



ピッ、ピッ、ピッ、ピッ






天使は、人間に出来ることが出来なかったりする。



隣のご家族は、お守りを持っていた。



ピッ。ピッ。ピッ。ピッ。







天使には、人間に出来ないことが出来たりする。



誰にも気付かれず、病室のドアを開けたりとか。



ピッ…ピッ…ピッ…ピッ…







恵里…エリ。



僕の、最愛の人。



「エリ。ねぇ…君、きっと生きたいよね?

僕なんかより、ずーっと良い人間と、巡り逢いたいよね?」


フッとわらって、



エリの両頬に手をかけて、




最期に、一度だけ、思い出をつくらせてもらって、







「大好き。エリ。」





「大変です、先生!患者の様態が…」



「なんだって!?」









『これより、緊急会議を始める。』



大天使様の声を、僕は初めて聞いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ