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第1楽章 6 ~ヴェルディのターン~


『見つけた。天使達…!』



俺もあいつも、一瞬動きが止まった。


おかしな一言は、耳慣れた声で発せられたことに、違和感。


ふと気付くと、俺は腕を掴まれていた。



『…魂は、もう300人取れた?名前、貰えた?それとも昇進?

君は?まだ消えて無いってことは、一つ…いや、それ以上取れたようね?』





何故知っている?


何故詳しいのだ?


何故…少年を消えそうだと思った?





点と点は、いつか結ばれ、消えかけた記憶に結び付く。





「エリーヌ様…?」



彼女は少女の姿で微笑む。


少年は、名前を恐らく知らないのだろう、首を傾げた。


「ほら、お前が魂一つも取って無い時、集めてたお方!今の幹部の前のお方!」


エリーヌ様は幹部だった。


幹部とは、昇進した中でも更に大天使様に近い位置。これも少年は知らないだろう…



それはさておき、皆が憧れる、美しいエリーヌ様が、何故か俺の前に居る。



そして、自分の腕を持っている…



我に帰ると…必然的に赤くなる顔。あいつが僅かに笑った気がした。





『天使、名前は?』



「ヴッヴェ…ヴェルディです!」



「正式には貰って無いけど、ガイル。」



『そう。覚えておくわ。…ヴェルディ。私が何故この姿で居るか、知りたい?』

「はい!だって、あのエリーヌ様がこんなところに居ては、汚れて…」



と、思ったことを言ったが、エリーヌ様も元々は魂を集める天使だった。まして、自分よりも…歴史的に見て最大の魂を集めた御方。



矛盾に気づいた俺は、はたと止まった。




『なら、教えてあげる。私は、更に昇進したの。』




「…と、言いますと…?」






『…大天使様は、私が今まで天使達が集めてくれた魂が一定以上になると、ご褒美を下さった。君達の羽根や名前と一緒ね。私はそれを、大天使様の一番近くに居れること、とお願いしていた。それが…1000000人目を集めると、大天使様は私を昇進なさった。

私、人間に逆戻りしたの。』





言葉が…出ない。

人間に戻る?



エリーヌは今人間?



大天使様はそんなことしないはず…





何より、



エリーヌ様の想い人が、大天使様………





「…で、エリーヌ様?僕達に何させるんですか?」



ガイルの声が遠く聞こえる。



『ああ。君達には、私を覚えていて欲しい。』



「…というと?」



『昇進した事例が無いから、記憶を留めて居られるか、が疑問なんだ。だから、出来る範囲で良いから…』





「俺、覚えてます。エリーヌ様のこと、沢山覚えてます。だから…安心して、生まれて下さい。」




ガイルが不思議そうな顔をした。多分、もう既に生まれていると思ったのだろう。



でも、昇進してすぐ成長は、流石に無いと思うぞ?



『…ありがとう。では、また天使になった時、頼むよ…』




エリーヌ様が消えた。



俺は、よりにもよってガイルに慰められることになった。



「慰めてくれるのが女の子なら良かった…」



「…気色悪い。」



「何でっ!?」




エリーヌ様、俺、ずーっと貴女を忘れなくて、良いんですよね?





あーあ…ガイルがまた憎らしくなったなぁ…w

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