第1楽章 5 ~再会は丘の上ではなく~
「よぉ、元気だったかー?」
「…君よりは元気じゃないかもね、ヴェルディ」
少し冗談と祝福を混ぜてみる。
「なんだ、知ってたのか?自慢しようとしたのに。」
「有名だからね。
名前を貰えるほど熱心に集めるやつ。昇進すれば一発なのに。」
そう。実は名前は簡単に貰える。
天使で居たい者には辛いが、天使の職を捨て、ほぼ死神…つまりエリーヌのように位を高くする。
それにもまた魂が要るのだが、名前を集めるよりかは早く、また天使の途中に魂が集められなくなる者も居るから、名前だけ貰う者は珍しいのだ。
そして何より、名前は貰ってもあまり意味が無いのだ。
「…なあ。羨ましい?お前も頑張って取れば?」
「…僕はいいや。僕は…その…」
少年が、少しどもる。
ニヤリと笑ったヴェルディは、少年をおちょくり出した。
「…もしかしてー、あの病院の女の子かなー?」
「!!」
「そうだよなー、あの子に会ってから魂取る量が数十倍になったしなー♪」
「違う、エリは関係ない!」
少年が慌てて言うも、ハッとして固まった。
「そっかぁ、エリちゃんって言うんだ♪可愛いよなー♪」
「…~~っ」
唇を噛み締める少年。
しかし、僅かに口角が上がっているのが分かる。
「良かったじゃん!そいつの為に頑張れよ?」
「…言われなくても、お前より頑張ってみせる。」
「おっ、言うようになったじゃん♪
ま、俺は追い越されないけどねー☆」
「…絶対越してやる。」
「やってみろ、やってみろ♪」
この時間が、とても甘美だったらしい。
彼等は、声をかけられるまで気付かなかった。
後ろの、運命に関わるような存在に。
『見つけた。天使達…!』
その声は…耳あたりが良かった。




