第1楽章 3 ~天使の曲がり角~
少年が魂を取り始めて、1ヶ月の月日が流れた。
少年は魂をまだ取れず、最初の一つは、男の子に頼ったので、実質一つも取っていない。
男の子も、最近は少年と魂を探したり会話をしたりと、あと4人で貰えるはずの特典を貰おうとしない。
だからこそ、少年は焦っていた。
男の子に世話をかけられないと。
とある早朝、少年は久し振りに一人で街を歩いていた。
しかし、いつものようなゆっくり歩く仕草は見当たらない。
天使の中には、魂のあるらしき場所を見つけられる者もいるが、少年は残念なことにその能力は無い。
だから、当てずっぽうで、街の病院へ向かったのだ。
少年は、そして、一人の少女に出会う。
「…誰?私、面会許されて無いんだけど。」
「…僕、許し要らないから大丈夫。
君の魂取りに来ただけだから。」
不思議そうに見る彼女。そして、その目は宙を浮く彼の足を捉える。
「…キミ、死神?もしくはその下っ端?」
「…それでいいや。」
面倒になった彼は、途中で打ち切ろうとするも、彼女の好奇心に遮られる。
「じゃあ、天使とか?
キミ、羽根無くない?本物君は羽根が無いの?」
「…羽根は、魂を300人分取らないと貰えない。君、その一部になってくれる?」
「率直だね!そういうところは良いと思うよ。
…魂か…私を死ぬまで楽しませてくれたら良いよ?」
クスクスと笑った。
彼は、その笑顔に惹かれた。