第3楽章 5 ~道化る2人~
「ガイル、俺を殺せよ。
それが、お前の仕事なんだから。」
ヴェルディが、もう一度言った。
耳が、カッと熱くなって、
頭に血が上っているのがよく分かる。
「ふざけるなよ、ヴェルディ。」
「俺が至って真面目なの、お前にも、いや、お前ならば、分かっているだろ?」
ヴェルディは、僕をよく知っていた。
声だけで、あの覚悟の顔が、目に浮かぶ。
ちょうど、
僕がエリの笑顔を思い出すのと同じように。
「悪魔は、力っていうか精神で人を殺すんだ。
つまり、俺を殺すには、俺を死ぬ気で殺したいと思わなきゃいけない。
…無理なのは、分かってる。お前だからなーww」
「…無理してるのはお前もだろ?」
「…そうかな?
お前が言うならそうかもw」
「…だって俺は、お前を愛していたもんな。」
「…エリの次、だろ?」
「…分かってるじゃねーか。」
でも、嘘ではない。
兄のように慕い、
弟のように憂う。
こいつの姿は見えてなくても、手に取るように分かるのは、
俺がこいつを見続けたからだ。
「…ガイル。」
「…ああ、分かってる。」
「「さよなら。」」
ぽとり、と何かが落ちた音がした。
振り向くと、17、8の女の子が、世の末を見たような顔をした。
…誰だか、すぐに分かった。




