第3楽章 3 ~終わりが近い、ただ想え~
「よお、ボスww
今度は俺のこと、覚えてんだろうな?」
ひたすら、声を辿り、ヴェルディを探すも、
声の主は、全く見えない。
「…ああ。
ヴェルディでも、マークでも、サンディでも覚えてる。」
これは本当。
さっき思い出した中に、ヴェルディの前世も入っていたのだ。
「へぇー?覚えてくれてたんだ?
じゃあ、お前が俺に何をしてここに来たか、思い出してくれたか?w」
…したこと?
そういえば、僕は何をしたかとか、
例えばエリとの思い出なら沢山あるけど、
天使の時、何かで思い悩んだことは覚えてるけど、
僕はヴェルディと何をしたかは、何も思い出せない…?
「…いや、思い出せない。」
「…だろうな。
お前がしたことなんて、一個人の、たった一人の人生ねじ曲げたぐらいで、気持ちを狂わせたぐらいで!
俺の何倍も…良い人生歩んで…
…この野郎ッッ!」
いきなり、僕の右側で風が吹いた。
また吹いた。
ヴェルディが、舌打ちに似た、ため息にも聞こえる声を漏らす。
一歩後ろに後退すると、今度は前で音がする。
どうやらヴェルディが僕を殴ろうとしているようだ。
「ちょ、ヴェル…」
「お前は!
…お前は覚えてないだろうけどな?
お前は大天使様に、悪魔に堕とされたんだ。
悪魔は人間にも天使にも見えない。
そして悪魔も人間や天使は見えない!
エリーヌ様と同じ人間になった俺にも!
俺と同じ道を歩んで天使になったエリにも!
お前の姿は見えない!
…俺は同じ目にお前に逢わされたんだよッ!」
今度は、僕の中の通ったらしいが、その手は空を切ったようにヒュッと音がし、痛みは感じなかった。
僕は避けなかったのに。
「俺は、お前が大嫌いだッッ!
お前さえいなければ、エリーヌ様とだって…俺だって…っ!
……大嫌いだぁーっっ!!」
吠えるように叫んだ声は、何も無い丘で響くことも無く留まり。
僕は泣いたような声を出すヴェルディに何も言葉を発せられなかった。




