18/24
第3楽章 2 ~不思議なんだよね~
あの時の街が、目の前に広がっていた。
あの、丘の上の、真ん中に立って。
どうしても病院を探そうとする僕と、
何も変わらずただ在る丘が静かなことだけが同じで。
僕はしばらく、その風の音と広い景色に見惚れていた。
しばらく経ち、背景に少し違和感を覚えつつ、吹いてきた風を感じていると、
唐突に後ろから声がした。
聞き慣れた声で、
ずっと謝りたい人の声だった。
「よう、ボスw」
振り向いた僕は、僕自身を感じないほど、信じられない光景に目を疑った。
ヴェルディ…もとい、その少年の姿は、
見えなかった。