第2楽章 3 ~先輩は僕を知っている?~
「一応聞いておくけど、見たくないやつ、居る?」
ヴェルディが、またダルそうに言った。
今僕達が居るのは交通事故があったらしい場所で、光った倒れている人が居る。
…え、死人って光るの…?
それはそうと、ヴェルディの質問に、誰も手を挙げない。
ヴェルディが面白そうに笑って、死人の側にしゃがんだ。
「じゃ、新人達、見てろよ?
…これは、俺のやり方だ!」
ヴェルディが、死人の頭…というか髪を右手で掴む。
そして、
思いっきり、
持っているものを道路に打ち付けた。
相当、痛いらしいそれは、確かに、死人の魂をヴェルディの元へと渡らせた。
うめき声が聞こえそうな感じだが、死んでいるからなのか、聞こえなかった。
「…ま、こんなところだ。
で、お前らどうする?こんな仕事、出来るか?」
いつになく、真面目な顔で聞いた。
ふと周りを見ると、女の子2人は顔をひきつらせて、おとなしそうな一人なんかは歯をガチガチ言わせて震えている。
男の子の方は…?
居ない。逃げ出したのだろうか。
一人、大丈夫そうな僕は、どうすれことも出来ずにヴェルディを見た。
「じゃ、お前らは天使、辞めるか?」
女の子2人は何度となく首を縦に振った。
「よし、じゃあ、お前は何か魂取るやり方を考えておけ。死んだ時より痛くすれば魂取れるから!
お前らは、あの腰抜けヤローを探して、一緒に帰るぞ。」
また、ふわりと浮かんで、ヴェルディと2人は男の子を探しに行った。
ヴェルディが去って5分足らず。
僕は、一つ、思い出したことがある。
「僕は、前、ヴェルディに会ったことがある…」
「そうだよ。会ったことはある。
お前、そのうち記憶取り戻したら…
きっと、天使を辞めると思う。」
ヴェルディは、真面目に言った。
僕は、何故だろうか、
その言葉に、安堵を覚えた。