第2楽章 2 ~はじめまして?~
気づくと、僕は丘の上にいた。
知っているような、知らないような、記憶にあるような無いような…いつか見た気のする丘。
さっきから、そんなのばかりだ。
僕の他に4人居て、一人は羽根が生えた人だった。
少し待つと、もう一人の羽根が生えた人が上から下降してきた。
「新人の天使共。
俺は幹部のギザル。お前らの上司だ!」
…もの凄い濃いキャラだった。
「お前らには、魂を集め、俺に渡す作業をして貰う!
1ヶ月以内に一つ集めてこの丘に来い!ちなみに、俺がここに来るのは毎週火曜日午後8時だっ!」
アニメの番宣を思い出すセリフを吐いた彼は、「あとは、そいつに聞けよ!」と言い残し、去って行った。
「…じゃ、託されたんで、質問受け付ける。」
羽根の生えた人が、ダルそうに言った。
「た…魂って、どう…やって集めるんですか?」
新人らしい、女の子が恐る恐る聞いた。
「まあ、当然の質問だよな。
魂はな、集め方は人それぞれだけど、死んだ人間の体から魂を引きずり出すんだ。
お前らもそのうち思い出すかもしれないが、相っ当、痛いぞww
やれる勇気が無いやつは、天使を辞めていくけどなwwww覚悟しておいた方が良いな。」
…なんというか、衝撃的。それ、むしろ死神では…?
「はい、他に質問はー?」
「はーい!お兄さんの名前はー?」
もう一人、女の子が発言。
「俺?俺は、ヴェルディ。よろしくぅ!」
ヴェルディ…聞いたこと、あるような…
ああ、もう、何なんだよ、これ!
「はい、次ー。」
ヴェルディが、質問していない僕ともう一人の男の子を交互に見た。
男の子は、質問は特に無いらしく、僕と目が合ってから首を横に振った。
「え、質問無いの?
じゃあ、もう魂取りに街に降りて貰うけど。」
「…じゃあ、一つ。」
と、僕が手を挙げる。
「おう、何だ?」
「どうして僕は、罪を悔いる為天使になったのに、人間の時の記憶が無いの?」
ヴェルディが、少し目を見張った。
小声で「ああ、そっか、お前か。」と呟くと、僕の質問に答える。
「今すぐ思い出すと、精神的に壊れるやつが居るから。
そういうやつの記憶は、大天使様があらかじめ抜いて、時が来ると戻していく。
ま、弱いやつほど記憶が無いってことだなww」
…感じ悪い…
「おし!そろそろ街に行く!
一回だけ魂狩りを見せてやるから、遅れるなよー。」
そう言った彼は、ふわりと浮かび、徒歩と同じぐらいのスピードで飛んで行った。
僕ら4人は、その後を付いて行った。