人類最弱な俺が(色々な面で)神様に勝てるはずがない(4)
――――――――あれから、どうなったのだろう?
俺は暗闇の中をたゆたう淡蛍の如く、フラフラと縦横無尽に彷徨いながら、どこか遠い意識の中で事の顛末を思い出そうと試みた。
しかし、思い出せるのは全身に広がる鈍い痛みと、視界一面に広がった肌色の何かという事だけ。
というか、いい加減起きなきゃって思えば思うほど、どんどん身体が重くなるのは何故なのだろう。多分アレだ。目が覚めたらどんな災厄が待っているか認識しているからだろうな、とどこか客観的に呟く俺。
だとしたらこのまま寝たフリを貫いた方が得策なんじゃないかと思うのだが・・・・・・、やっぱりここぞという時の度胸がない俺。
このまま寝ようとする俺をもう一人の俺が揺り起こすのを脳裏で感じながら、俺は恐る恐るといった体でゆっくりと瞼を開けつつ周りの状況を探ろうとする。
すると視界の隅に二人? いや二神の女の子の姿が映り、何やら険しい表情で言い合っていたので、俺はその会話の内容を盗み聞きするべく、全意識を聴覚へと集中させて耳を傍立てた。
「これから、どうするつもりですか? エルフリーナ」
言いたいことがあるなら聞いてあげますよ、と片眼鏡をクイッと人差し指で持ち上げ言い放つエレーナ。
そんな彼女にエルフリーナは「何言ってんのよ? こいつ」と言わんばかりに目を剥け、
「はぁ? ちょ、アンタ今そんなこと言ってる場合? 頭おかしいんじゃないの!?」
「・・・・・・酷い言いぐさですね。少なくとも、私はあなたよりは頭の出来はいいはずですよ」
「ちょ、さりげなくディスらないでよ!? そう言う事じゃなくて・・・・・・、人間!! そう!! 人間が我がゴッド・ヴィアーヴに不法侵入してるのよ!? これを騒がずとしてなんと言うのよ!!」
ビシッと横たわる人間の男に指を差しながら喚き立てるエルフリーナ。
そんな彼女を冷たい眼差しで見つめ返し、
「そんなのは百も承知です。というか、あなた何も知らないんですね。その情報収集力の低さには呆れを通り越して哀れみさえ抱くほどです」
はぁ~あ、と深い溜息をつきながらチッと舌を鳴らすエレーナ。
その表情には侮蔑の色が浮かんでいるほどだ。
「ちょ、ちょっと!! それどういう意味よ!!」
エレーナの態度に思うところがあったのか、エルフリーナは半泣きでエレーナに掴みかかる。彼女にガクガクと揺さぶられながらエレ-ナは口を開く。
「どういう意味もないですよ。この人間はアリッサが言っていた“Scapegoat”でしょう。どうしてこの様な場所にいて、あなたのお尻の下敷きになったのかは定かではありませんが」
「あぁ・・・・・・、な~る。そういやアリッサが言っていたわね。昨日の夜に『明日、人間を連れてくるのよ』って嬉しそうに・・・・・・。そう、この人間がそうなの」
ふ~ん、とエルフリーナは未だ気絶している人間を値踏みするように見つめ、やがてニヤリと底意地の悪い笑みを浮かべ、
「ふふふふふ・・・・・・、いいことを思いついちゃった」
「いいこと?(・・・・・・何かよからぬ事を思いついたのでは)ほう、それは一体どんなのでしょうか?」
大抵こういう場合の良い事とはロクな事はないと相場が決まっており、学院一頭が悪い事で有名なエルフリーナの考えた事など所詮浅知恵でしかないが、まぁ、聞くだけならタダだしと本音は胸の内に隠しながら尋ね返すエレーナであった。
「ふっふっふっ・・・・・・、聞いて驚きなさいよ!! あの人間をダシにアリッサを脅してこの問題をチャラにさせるゾ☆!! 作戦よ!!(キラ~ン)」
と、何やら自信満々に人差し指を突き出した、何やら偉そうなポーズを取りながら言い放つエルフリーナ。
その滑稽無形な発言にエレーナは開いた口が塞がらなかった。
な、ここまで馬鹿とは思ってもみませんでした。どうやらあの子を買いかぶりすぎていたようですね。
エレーナはずり落ちた黒衣を直しながら、ズキズキと痛む額を押さえながら呟いた。
「・・・・・・自信満々に言っておいてその程度とは。やはり貴女は残念神ですね。貴女と同じマールスデウスに通う生徒として恥ずかしさの極みです」
自信満々に言い放った名案が否定されたエルフリーナは顔を真っ赤にして、ヤレヤレと首を横に振るエレーナに掴みかかる。
「な、何よ!! あたしの完璧な作戦にケチ付ける気なのアンタは!! 本当ににっくたっらしいわね!!」
「・・・・・・フン、それはお互い様でしょう。私たちも貴女が起こす問題の数々には、ほとほと愛想が尽きていたところですしね」
パン、と襟首を掴んでいたエルフリーナの手をはたき落とし、冷たさ漂う実に淡々とした声音で吐き出すエレーナ。その目には微弱ながらも明確な敵意が宿っていた。
エレーナの放つ敵意と呼ばれる殺意を感じたのか、徐々にエルフリーナの目も据わってきており、何だが一発触発な雰囲気が二神の間に漂い始める。
バチバチバチ、と両者の間で視線が交錯し始めたその時に、
「う、うぅぅ、う~ん」
今の今まで気絶していた人間の男がどうやら目を覚ました様子。
とりあえず怒りの矛先を一旦抑えた両者は、唸り声をあげながら身じろぎをする人間の男へと歩み寄ることにしたのであった。
――――――――ヤベッ、つい緊迫した雰囲気に我慢できなくて、今さっき起きたようなフリしちゃったけど。
ここからどうやってアクションを起こしたらいいのだろう。こういった修羅場をあまり経験したことのない俺にとって、こういった有事の際にどう切り抜けたらいいのか全く分からなかった。
それにしても、これはまたアリッサとノアシェランとは全く違ったタイプの神様だな。
片方は耳が長いけどそれ以外は普通の人間の女の子にしか見えないし。
もう片方は耳が魚のヒレみたいな形で、体格はノアシェランに次いで細小さい感じだし。
う~ん、彼女たちはどういった神様なのだろう? というか、アリッサたちのことを知っているのかな? そのことも後でおいおい聞いておかないと。
とりあえず、早く起きあがらないと。このままじゃあ一向に事態は展開しないしな。
俺はザッザッと近づく足音を感じながら、ワザとらしさを感じさせないナチュラルな動作で起き上がろうと試みるが、不意に肩越しに固い感触が背中越しに感じ、俺は思わず起き上がろうと地面に肩肘をついたままの態勢でフリーズした。
俺はゴクリと生唾を飲み込みながら、視線だけを動かして背後に感じる脅威を探ろうとするも、頭上から鋭い声が浴びせられた。
「ハリーヴ。人間風情め」
鋭い女の声が投げかけられ、俺の体に言いようもない恐怖が押し寄せる。
恐らく彼女が発した単語は、日本語で言うなら『動くな!』とかそんな意味であろう。っていうか、急に訳も分からない言葉を入れるんじゃないよ。神界語か何だか知らないけど、俺は日本語でさえ満足に分らないんだから、そんな他所の言葉なんか言われても困るんだよ。
どうやらこの雰囲気にこの言葉からして、俺は彼女たちから警戒されているようだ。まぁ、普通に考えてみて”人間”が神界なんかにいるわけないし、それにアリッサやノアシェランの態度から察するに、神族は人間を毛嫌いしているみたいだしな。
だとすれば軽蔑の対象である俺がここにいること事態、彼女たちにとって我慢ならないはずだ。何せ俺は彼女たちから見れば”不法侵入”に他ならないのだから。
そうとなれば早く彼女たちの誤解を解かなければ。
でなければ俺の命はここでジ・エンド。あいつらに合わせる顔がなくなる。
俺はどうにかにしてこの修羅場を脱しようと、滅多に使わない頭をフル活用して妙案を考えようと試みた。
しばらく長考していると、ふといい考えが脳裏に浮かんだ。
(そうだ。こいつらも同じ神様なら、ノアシェランとアリッサの名前くらい知っているかもしれない。……よ~し――――――――)
俺はスゥーと大きく息を吸うと、意を決したように一か八かと口を開いた。
「……あ、あのさ。俺、怪しいもんじゃないんだ。あいつら、そう。ノアシェランとアリッサに連れてこられたんだ。だから……」
これは賭けである。
もし、成功すれば俺の勝ち。負ければ俺の負け。つまりは”死”を意味している。
俺は固唾を飲んで、相手方の出方を待つ。
しばらく間があいた後――――――――――――、背後に控えた影が動いた。
「―――――――――アリッサと、ノアシェラン様を知っているのですか?」
しかし、俺の予想は少しばかし外れたようだ。
俺の背後にいた影は少しばかり揺らいだだけだったが、意外にも今まで静観を貫いていた視界の隅に佇んでいたもう一神の少女が俺の眼前まで歩み寄ってきて、俺の顔を覗き込むようにして顔を近づけさせてソッと呟いた。
どこまでも澄んだ明るい水色の両眼に見つめられた俺はすっかり恐縮してしまい、酸欠の魚のようにパクパクと何度も口を開閉させてしまう。
情けない話だが、俺はこういうタイプの異性に見つめられるとすっかり舞い上がってしまい、河原に転がった石のように硬直してしまう。
この欠点は早めに治してしまいたいと思いつつも、如何せん自分のこととなると話は難しいのだ。
しかし、この際相手が誰だろうと関係ない。せっかく食いついてくれたんだ。このまま会話を繋げなければ。
「あぁ、知ってるよ。それよりあんたたちは一体? それとノアシェランとアリッサとはどういう関係なんだ?」
ゴクリ、と唾を飲み込みながら話の続きを再開する俺。
しばらく沈黙が続いた後、目の前の少女は静かに目を伏せて俺の問いに答える。
「えぇ、知っていますよ。アリッサとノアシェラン様は同じ学院に通う級友ですから」
「えっ? 学院? 級友? どういう意味だ? あいつらは俺と同じ学生なのか?」
少女の発した言葉を聞いてますます混乱する俺。
神様のくせに学校になんか通ってんの? 何それジョーク?
「……何も知らないようですね。今、貴方がいるのはアニマリーファズ中央区148に位置する”マールスデウス神学院”が管轄する保護地区の中ですよ。普通ならば学院の関係者か各国の王族しか入れない場所なのですが……」
キラリ、と片眼鏡のレンズを疑惑の色に光らせながら呟く少女。
やばい。どうやら再び怪しまれている様子。
ここは何とかせねば……、あっ、そうだ。
俺はピーン‼ と、ある名探偵のごとく名案が閃いた。
「実はさ、アリッサたちに連れられてこられたんだけどさ。途中で置いて行かれちゃって……。困り果ててそこいら辺をさ迷い歩いてると、一匹のリスみたいな小動物が俺を案内するように先導してくれて。気づいたらここまで走ってきていたんだ」
包み隠さずここまでの経緯を順を追って話す。
そう、俺の考えた名案とは”正直に話す”というものであった。
人間でも神様でも誠意をもって話せば必ず応えてくれると思ったからだ。
俺の計画通り。
少女は警戒心を緩めて、俺との会話を続ける態勢に戻る。
「そうですか。貴方が見たリスのような小動物はこの森に棲むコウマーリスでしょう。たまに森の外に出るんですよ。神にも恐れず寄ってくる神懐っこい生き物なんですよ」
「へぇ~、そうなのか」
「ちなみに、そのリスはペットとしても人気があるの。うちの学院じゃあアリッサをはじめ、学院の女子7割ほどが飼っているほどなのよ」
と、俺と少女の会話に割り込む形で、背後から生意気そうな声が投げかけられた。
ついと声がしたほうに視線をやると、俺に向かって弓を番えているエルフ少女がニヤリと口角を持ち上げながら俺たちのほうを見つめていた。
あっ、そういえばこんなのいたっけな。
ついうっかり背中越しに控える少女の存在を忘れていた俺。
つーかまだ弓矢番えているのかよ。いい加減俺の背中から放せよ。
俺は鋭く尖った矢先の感触に戦々恐々としながらも、これ以上この少女の琴線を刺激するまいと努めて平静さを装いながら背後に控える少女に尋ね返す。
「へ、へぇ~、そうなんだ。ところで、君たちは誰なんだ? その、なんとかデウスに通う生徒って言っていたけど」
「……あぁ、そう言えばまだ自己紹介していなかったわね。――――――――んしょと」
弓矢を番えていた少女は掛け声とともに、番えていた弓と矢を背中に背負っていた矢籠と賭け紐にしまい入れ、コホンと咳払いした後に薄い胸を張りつつ口を開いた。
「フフ~ン、聞いて慄きなさい人間。あたしの名前はノアル・エルフリーナ。耳長神族のお姫様なのよ。さぁ、そこに跪いて敬いなさいよ。この人間風情が‼」
イラァ。
えらく上から目線な女だな、このノアルってやつ。
俺と同種そうな癖に、と額に血管を浮き上がらせながら歯噛みする俺。
まぁ、いいや。次だ、次。
俺はノアルから無表情な表情を浮かべながら、俺の横で静粛な態度で突っ立つ少女へと視線を移して続きを言うように首をしゃくって促す。
俺に促された少女はスッと首を引きながら、
「―――――初めまして。私はエレーナ・ポセイドンと申します。一応……、海神族の姫という立場ですが、身分の差や種族の壁など関係なく気兼ねなく接してくだされば嬉しく存じます。ようこそ、我がゴッド・ヴィアーヴへ。ナカムラユウトさん」
流れるような動作でお辞儀しながら自己紹介するエレーナ。
とても礼儀正しいエレーナに俺は深く感心した。
同じ神でも雲泥の差だな。もう少しエレーナを見習ってほしいぜ、とこの場にいない二神とノアルのことを思いながら深くため息をつく。
それ以外にも驚くべくことが一つあった。
それは――――――――――――。
「えっ、なんで俺の名前を知ってるんだ? まだ俺自己紹介してないのに」
愕然とした面持ちでつぶやく俺。
そんな俺の様子に気づいていないのか、エレーナは淡々とした面持ちで俺の問いに応える。
「……以前に、アリッサから貴方のことを聞いていましたので。……あとは消去法ですかね。この場にいる人間は貴方だけですから、そこから導き出される答えを空白のピースに埋めていけば自ずと穴が埋まる。ただそれだけのことですよ」
な、なるほど、と言いたいところだけど、生憎何を言っているのか全然理解できなかった。
バカですみませんね、ホント。
少しばかし卑屈になりながらも、俺はエレーナとの会話が心地よくて全然止めようという気分にはならなかった。それは多分エレーナが自分の周りにいなかったタイプの女の子だったからだろう、と俺は考える。
正直言うと今まで俺の周りにいたのは樹里を始め、ツンデレで生意気そうな性格の異性ばかりだ。こうエレーナのようなおしとやかで礼儀正しい異性とは初めてだったので、なんだか新鮮な気分になれたのも事実である。
あぁ、いい。やっぱ神様はこういう性格じゃねぇと。人間風情だの猿だのと侮蔑しないって、なんて素敵なんだ。
割と人間に好意的なエレーナにすっかり気を良くした俺は、ようやく強張っていた肩の力がゆっくりと解れていくのを感じた。
「へぇ、そうなのか~。頭いいんだな、エレーナさんは。俺、ようやく神様らしい神に出会えた気がするよ」
ホロリ、と涙を流しながら呟く俺。
あぁ、対等に扱ってもらえるのってこんなにも嬉しいものなんだな、としみじみ噛み締めた。
「そうですか。――――――――苦労なされたのですね。我々は多少プライドが高い一面もありますし、ゴッド・ヴィアーヴに住む神族の大半は人間を忌み嫌っていますしね」
「へ、へぇ、そうなのか(聞きたくなかったよ)。……それで、エレーナさんは人間のことどう思ってるの?」
「私、ですか? 私は神族の中でも数少ない”人間愛好家”の一神ですよ。ちなみにこのマールスデウスには私を含めて約五神ほどが”人間愛好家”を名乗り、人間文化に傾倒しています」
俺は、その言葉を聞けただけで満足であった。
やはり味方がいるってのはいいものだなぁ、と俺は感涙した。
「そ、そうなのか。いやぁ~、嬉しいなぁ」
デレデレと鼻の下を伸ばしていると、不意に何者かに首根っこを摘ままれて首元が閉まり、俺はグェと蛙が潰れた時の断末魔の如き呻き声を発した。
「ちょっと‼ あたしを無視してなに話し込んでいるのよ‼」
「―――――――――ゴホ‼ ガハッ‼ ……なにすんだよいきなり」
俺は激しく咳き込みながら、俺の首を締め上げた原因であるノアルへと視線を移す。
エルフ耳女……、もといノアルは新雪の如き真っ白な素肌を真紅に染め上げ、淋しさゆえか涙目になった碧眼をこちらに向けてプルプルと震えていた。
やばい。放置しすぎたみたいだ。
でも、しょうがないじゃん。だってエレーナさんの会話が心地よすぎるんだもんよ。
すると必然的にお前の存在は亡き者になるんだよ。どうしてもな。
しかし、少しでも味方は多いほうがいいのは確実だ。
俺はエレーナさんとの会話を一旦中断し、今度はノアルを交えて会話を再開させることにした。
「はは……、悪かったって。ついな、つい。んで、ノアルはエレーナさんとはどういった関係なんだ?」
ポリポリと頭を掻きながらノアルの機嫌を取りつつ愛想を振る俺。
そんな俺の遜った態度にお気に召したのか、すっかり機嫌を良くしたノアルは歌でも歌いだしそうなご機嫌さで口を開いた。
「へ? あたしとこいつの? ふふふ~ん、いいわ。教えてあげる。こいつとあたしはね―――――――――」
「仇敵です」
「そう、仇敵―――――――、って‼ なんで先に言っちゃうわけ!? 空気読みなさいよ‼」
「黙りなさいエルフリーナ。何をそんなにもったいぶった言い方をして。要点は簡潔にかつ早急に。貴女のその子供みたいな性格を見ていると腹が立って仕様がありません」
「なんですって~~~~~~‼ やる気なの!?」
怒髪天を衝くとは正に今のノアルことを指す諺であろう、とバカな俺でも理解できた。
仇敵、という二人の言葉は的確な表現といったところか。
しかし、どう見てもエレーナのほうが一枚上手の様子。子供っぽいノアルを言いようにあしらっており、傍から見ればペットと飼い主のようにしか見えなかった。
いつの間にかエレーナさんとノアルは額をぶつけ合って互いに眼を飛ばしあっていた。
一発触発。
どちらかが動けば、ここは戦場と化すであろう。そんな殺伐とした雰囲気があたりに漂う。
先ほど神様の力の恐ろしさを身をもって体験したばかりの俺は、どうにかして彼女たちの気をそらさなきゃいけないと思い、気づいたら頭で考える前に体が勝手に動いていた。
「ちょ、止めろって‼ マジ迷惑だから(俺が)‼ ホントに迷惑だから(主に俺が)‼」
二神の間に割って入ろうとしたその時、
「「五月蝿い(です)ッ‼‼‼‼‼‼」
「ぐえっ‼‼‼‼‼」
ドゴォォォォォォォォォ!!!!!!!
二神の掌底突きが見事俺の顎下にクリティカルヒットし、俺は再び意識を闇の中に落としていったのであった。
気を失う寸前、俺は一日に何回気を失えばいいんだと、独り言ちるのであった。
今回はここまでです。なかなか投稿できなくてすみません。
次回、全ての神様ヒロインが顔を見合わせますのでよろしくお願いします。