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 カフェでの一幕があった後、ノルンは予定通り東の草原に向かっていた。

 もちろん後ろにユラルルをくっつけて。

「ねぇノルン。東の草原にいけるって事はノルンってもしかして強いの?」

 相変わらず早口でそう捲し上げる。

「多分かなり強いと思うぞ。ランクで言えばAは最低あるんじゃないか?っていっても実際はまだ最低ランクのHだけどな。」

 そういいながら草原を歩く二人。

 城門を出てまだ30分程度。まだまだ草足も高くなく魔物の姿も見えない。

「Aランク並の強さとか見栄張らなくて良いのに。別に弱くてもお姉さんが助けてあげるんだから。」

 今にもよしよししそうな雰囲気である。

 それもそのはず、ノルンは身長が150cm程度。しかしユラルルは165はありそうである。しかもブーツを履いているため170ぐらいに見える。まるっきり大人と子供である。

「わかったわかった、そういうことにしておいてやるよ。」

 もはや相手にするのも疲れたのか反応もおざなりである。

「ノルンってどこの出身なの?私はね、聖王国の首都ビュッセンなんだ。町並みが綺麗で、古い歴史ある街なんだよ。」

 それからノルンが口を挟む暇もなくビュッセンの良いところから悪い所、観光名所がどこだ美味しい名物料理など何時止まるのかわからない。その間ずっとノルンは相槌を打つばかりである。

 ユラルルの話が一区切りした所でノルンは喋りだした。

「俺の出身はザグラ山脈の麓だ。山と岩と森しかない辺鄙な所さ。ユラルルの故郷と違って別に自慢するような物はなんもねぇよ。」

 そう自重するように語りかける。

「へぇー、お母様が言ってたお父様の出身地もザグラ山脈の麓なんだって。偶然だねー。」

 ぐっ。とまたしてもうまくはめられた事にノルンは歯軋りをする。

 そうなのだ。この女、一見能天気そうで頭の悪いよく喋る女かと思いきや、実はかなり狡猾で頭がいい。話の中に無数に情報を引き出させる為のピースをちりばめているのだ。それもさり気無く不自然にならないように。もう何度もそうやってノルンはユラルルに情報を持っていかれている。

「あーもう、だからヴォルグの息子で良いって言ってんじゃねぇか。それでいいだろ?」

 かなり投げやりである。それもそのはず、もうノルンに隠すことなど殆どない。唯一つ、過去を除いてだが。

 そうこうしているうちにノルンは150m程先にホーンラビットがいるのを発見する。

 ユラルルに喋るのをやめるように身振りで示すと指でホーンラビットを指し示す。どうやら相手は気がついていないようである。

 そのまま昨日と同じように死角から近づくと残り30mほどでユラルルが杖をかざし呟いた。

 

【火炎魔術:火球】

 

 その名の通り小さな(といっても30cmぐらいのボールの大きさだが。)炎の玉を作り出し目標に当てる魔術である。当たった目標は燃え上がる結構威力の高い魔術である。

 属性魔術という物は自らの魔力を糧に事象を発生させる物である。これには本人の持つ魔力量と共に、世界を理解する能力が必須とされている。いかに自らを世界と同化させるか、そしてそこから力を引き出せるか。それによって威力は天と地ほどの差が出る。

 

 ユラルルの放った火球は狙いたがわずホーンラビットに直撃し、ホーンラビットが炎に包まれる。暫くよろよろと歩いていたが息絶えたのか動かなくなった。

「へへーん。どうだー!お姉さんの事見直した?ね、見直した?」

 確かに良い威力である。並みの術者であればあんなに発動は早くないし威力もない。せいぜい当たっても小規模な爆発がある程度で終わるだろう。

 そこはほめてあげたいのだが……。ノルンは頭を抱えた。

「魔術が得意なのは分かった。だけどな、今回の依頼は毛皮を持って来いって言われてるんだよ。これじゃあちりちりの滓じゃねぇか。勘弁してくれ。」

 ノルンの言うとおりである。

「え、あーーーっ!ごめんなさい。そういえばそうだった。ほんとごめん。次はちゃんと考えるから、ごめん。」

 両手を合わせてこちらに謝ってくる。

 なんだかメリルルが仲間になったときのような感じである。魔術の才能はピカイチなのに冒険者としての常識は皆無であった。

 こんな草原のど真ん中で大きな声で謝っている。きっと近くにいたホーンラビットは逃げたか隠れてしまっただろうな。ノルンはそう思っていた。

「はぁ、大きな声を上げるな。獲物が逃げるだろ。いいか?次はなにが有っても手を出すんじゃねぇぞ。」

 ノルンが頑張って威圧的な声を出そうとしているが声変わり前のソプラノである。全く迫力がない。

 ノルンの言葉にユラルルはこくこくと頷いている。

 それから暫くノルンが獲物を狩っていくのをユラルルが後ろで見ているというのが続き、やっと3匹ほど狩ったところでおおよそ昼に差し掛かったであろう時間になっていた。

「おい、これを焼いてくれ。」

 そう言ってノルンが差し出したのは先ほど仕留めたホーンラビットの肉である。ちょうどいい大きさに切られておりそれが串に刺さっている。

 渡されたユラルルはぽかんとしていたがどうやら言わんとした事を理解したようである。つまりは魔法で焼いてくれないかと言われてるんだと。

 しかし攻撃する為の魔術の練習はしてきたもののこういうことをした事はない。今までどおりに魔術を行使したら大惨事が待ち受けているに違いない。

 しかし分かっているからと言って出来るかと言うのは別問題である。串に手をかざしユラルルが精神を集中させていく。

 

【火炎魔術:炎】

 

 ユラルルのかざした手から火炎放射のように炎が噴き出し、あっという間に肉を焼いていく。

 慌てて魔術を止めたユラルルが見たのはもはや炭と成り果てた肉の姿だった。

「あ~あ~、ノルン~。その、失敗しちゃった……。」

 捨てられた子猫のようにうな垂れてノルンのほうへ向き直るユラルルにノルンは新たな肉の刺さった串を渡す。

「安心しろ、最初っから一発で出来るなんて思っちゃいねぇよ。まああと10回ぐらいなら失敗しても大丈夫だ。」

 メリルルもそんなもんだった。過去を懐かしみながら、しょうがない、また面倒を見てやるか。そうノルンは思う。

 

 

 ------------pf

 

 ユラルルを連れて東の城門に帰ってきた頃にはもう日が暮れていた。

 今日の戦果は8匹。ユラルルがいなければもっと狩れただろうがノルンは気にせずにいちいちユラルルに冒険者に必要な技能を教えていったのだ。

 曰く獲物の血抜きから皮剥ぎ、索敵の仕方や風下の取り方。上げればきりがないが冒険者には必要な事である。一つ一つあれがだめだこれはこうした方がいいとノルンは根気よく面倒を見てやった。

 どのような心境の変化か、ユラルルに対する態度も優しいものへと変わっていっている。

 ユラルルもそこは素直なものである。明らかに自分の方が経験不足であると悟ったのか文句の一つもない。

 動物の解体などやったこともないだろうに血で汚れるのも厭わず実に楽しそうである。グロテスク耐性は女性の方が高いとよく聞くが最初からなかったのではないかとそう感じてしまう。

「ノルンってお子様なのにものすごく頼りになるんだね。ちょっとと言うかかなり見直した。ノルンの言ってた仲間と一緒に冒険するのが楽しいっていうのもわかった気がする。」

 ユラルルは密度の濃い一日に満足なのかしきりに頷いている。

「俺はギルドで報告してくる。そういやお前はどこに泊まってるんだ?俺は東地区にあるバーバのところに泊まってるが。」

 そう言うとユラルルはノルンのほうを向く。

「バーバって言うとバーバの宿屋?あそこもうすぐつぶれるんじゃないかって言われてるのに物好きね。分かったわ、それじゃあちょっと買い物してくるからまた後で会いましょ。」

 そういうと後ろを向けて北の商業地区のほうへ歩いていった。

 まあいいか、と考えたノルンはそのまま冒険者ギルドに歩いていった。

 冒険者ギルドでまたしてもエリスにつかまったノルンだが何事もなく受付を終え、報酬は明日の朝にとりにくる事になった。

 ノルンはその足で服屋に行き、以前買った物と同じ物を1セット購入するとバーバの宿屋に向かう。

「おうただいまバーバ。早速だが桶に水汲んできてくれよ。」

 そういって銅貨をカウンターに載せる。

「ごくろうさん。ほら、部屋の鍵だ。ちょっと待ってろ。」

 そう言って厨房から水を汲んで持ってくるとノルンに渡す。

「そういや変なお嬢ちゃんが泊まりにきてたぜ。お前の部屋の隣にしてくれっつうんで隣にしてやったが、ありゃお前の姉貴か?それにしちゃ似てねぇが。」

 バーバの何気ない言葉に固まるノルン。

「おいバーバ、そいつの名前を言ってくれないか?」

 諦めている。もはや9分9厘やつだろうと分かっているがそれでも確認せざるを得ない。

「ああ、ユラルルっていってたな。名前の感じから聖王国の方から来たんじゃねぇか?」

 ありがとよ、そういうとノルンは階段を上がっていった。

 確かに面倒を見てやろうとは思っていたがここまで迅速に行動してくるとは思っていなかった。暫く依頼を一緒にこなして一人前の心構えぐらいはつけさせてやろう程度の心持である。

 基本的にこの男は束縛を嫌うのである。

 もはや考えるのもだるくなっていたノルンは部屋に帰ってさっさと道具の手入れをしようと取り掛かる。

 今着ている服をざぶざぶと洗い絞って干していく。それから道具などを綺麗にし、最後に血で汚れた装備などを洗っていく。

 全て洗い終わり干した所で部屋の扉がノックされる。

「ノルンの部屋だよね?入ってもいいー?」

 今日一日一緒に過ごしただけあってユラルルのノルンに対する口調もかなり砕けている。

 しかしノルンは現在パンツ一丁である。かなりまずいのではないだろうか。そう思い買ってきたばかりのズボンを履くと扉の鍵を開けた。

「何の用だ?」

 扉を開けた先のユラルルは何か言おうとして固まってしまう。いったい何がいけなかったのだろうか。見る見るうちに赤くなっていくユラルルは顔を手で隠しながら指の隙間からこちらをちらちらと見ている。

「ちょ、ちょっとあんた!服ぐらいちゃんと着てから出てきなさいよ!」

 それでも指の間からかなり凝視している。言ってる事とやってることがちぐはぐである。

「はぁ?お前どこの箱入り娘だよ……。ってそうか、箱入り娘だったっけ。」

 そうなのである。ユラルル本人からは聞いていないがノルンは知っている。

 ユラルルの家は聖王国の5大貴族の一つである。そこで育ってきたのであれば恐らく男の裸など人生でまだ一度も見た事がないのではないだろうか。

 しかも今日、草原に行く間のお喋りでこいつはつい先日、3日ほど前にこの街にやってきたばかりと言っていた。恐らくだが母親の冒険者時代の道具を持ち出して家出同然で出てきたのではないだろうかと容易に想像がつく。

 こいつの家系は年頃になったら家出するのが家訓で決まっているのだろうか。そんな取り止めのないことをノルンは思っている。

「そ、そうよね。冒険者だもんね、裸の一つや二つで動じるわけには行かないわよね……。」

 赤い顔で何かほざいている。

「で、結局何しに来たんだお前。」

 当然の疑問を投げかける。

「それはその。ちょっと相談と言うか……。っていうかあんた今なにしてんの?」

「あ?今日使った道具の手入れだよ。ほおって置くと錆びたり固くなったり使い物にならなくなるだろ?お前だって今日結構汚れたんだから手入れぐらいしておけよ。」

 なるほどーみたいな顔をしているユラルル。

「ね、ねぇ。ちょっとやり方教えてもらっても、いいかな……?」

 はぁ、まあこうなるわな。と思いつつも別段教える事がいやと言うわけではないとノルンは感じていた。

 

 

 汚れてもいいように普段着に着替えたユラルルはノルンに言われたとおりに道具の手入れを行っていく。

 道具の手入れが終わった頃、緊張も解けたのか自然な感じでユラルルが本来の目的を話し出した。

「それでね、今日本当に実感したんだよね。私って何にも知らないんだなーって。だからお子様のあんたに教わるのは嫌だけどしょうがないからこれから暫く一緒に冒険してほしいの。ほら、あんたってちっこくて偉そうで見た目頼りなさそうだけど本当は結構強くていろいろ知ってるし頼りがいがあるじゃない。だからしょうがないから一緒にやっていってあげようと思うの。」

 聞いていてなんだかなぁーとノルンは思っているが口に出さない。きっとこいつの精一杯なのだろう。

「わかったわかった。お前みたいなおのぼりさんほおっておいたら一月もたたないうちに奴隷小屋の中だろうしな。暫く面倒見てやるよ。その代わりにだ、仕事が終わった後の手入れを全部お前にしてもらう。それでどうだ?」

 にやりと悪党面で笑おうとするが綺麗な微笑を浮かべているようにしか見えないことにノルンは気がついていない。

「ええーーーっ!なんで私があんたのまでしなきゃいけないのよ!?横暴よ!断固異議を唱えるわっ!」

 両手を挙げて憤慨して膨らんでいる姿はまんま年頃の少女である。年の割には発育のいい体を見ながらノルンはおやじくさい事を考えていた。

 黒の魔術師ローブは体の線を殆ど消してしまい凹凸を分かりにくくしているがユラルルはかなりプロポーションがいいのではないだろうか。女性にしては高い身長だし出る所は出ている。ただ、表情などはまだまだノルンから見るとお子様である。

 自分の子供ぐらいの、(まんま子供かもしれないのだが)女の子に劣情を催すわけもなく。淡々と言い放った。

「教えてもらう立場なんだから当然だろ。別にもう教わる事なんてないと思ったらいつでももう大丈夫だって言ってやめてもいい。」

 別にノルンも自分が楽をするために言っているのではない。全ての道具を手入れさせる事で経験を積ませることが大事だと考えての事である。少しは楽をしたいと言う気持ちも無きにしも非ずではあるが。

「うっ、ぐーーーっ!うーーーー。分かったわよ、やればいいんでしょやれば!その代わり、私の面倒ちゃんと見なさいよ!」

 暫く唸っていたがとうとう諦めたようである。

「わかったわかった。面倒見てやるからそう膨れるな。」

「膨れてない!」

 思いっきり膨れているが認めたくはないのだろう。

「ほら、手入れも終わったんだ。飯食いに行くぞ。」

 そういってノルンは立ち上がる。

「分かったわよ。このままの格好はまずいから……。ほんのちょっとだけ待ってね。」

 そのまま部屋から出て行こうとする。

「あんたもちゃんと服着てきなさいよ?」

 言い放つとそのまま部屋を出て行った。

 

 

 ユラルルの部屋の前で待つこと10分。ようやく準備が出来たのか扉が開く。

「おせぇよ。服を着替えるだけでどうしてそんなに時間がかかるんだよ。」

 といいつつもノルンも女性の着替えに時間がかかることは体験済みである。言ってみただけである。

「もーっ!女性の身だしなみには時間がかかるの!男ならグチグチ言わずに大人しく待ってなさいよ。」

 改めてユラルルを見ると昼に着ていた物とは違うローブを着ている。髪もまとめて胸の前の方へ垂らしている。履いている靴も違うのではないだろうか。

 ただ飯を食うために一階に降りるだけだと言うのに何故そこまで必要なのかノルンには理解できない。

「はいはい。どうでもいいから飯食いに行こうぜ。」

 そういって膨れたままのユラルルを連れて一階に下りていった。

 

 

「バーバ、飯を二人分頼む。」

 カウンターに座ったノルンは懐から出した貨幣袋の中から銀貨1枚を取り出しカウンターに置く。ノルンの隣に座ったユラルルはそのままである。

「嬢ちゃん、晩飯は銀貨1枚だぜ。」

 何もおこうとしないユラルルにそうバーバが切り出した。

「え?ノルンが払ってくれるんじゃないの?」

「はぁ?何でそうなるんだよ。昼の疲れで頭が残念な事になったのか?」

 ひどい言われようだが尤もな話である。

 ノルンがおごる理由もなければそんな話も聞いていない。

「だってさっき約束したじゃない。私がノルンからいろいろ学ぶ間、面倒見てくれるって。あ、そうだ。宿代も今日の分の一泊分しか払ってないから明日の分もお願いね?」

 帽子を脱ぎながら可愛く首をかしげてノルンに言い放つ。

「はあぁぁぁぁ?おいおいおいおい、面倒見ろって冒険の間の常識とか技能とかだろ?こういうことじゃねぇだろ。」

 全くである。むしろそこまで面倒を見てくれたらそれはもう女を囲っていると言った方が正しい。

「なによ、さっき全部面倒見てやるって言ったじゃない。もしかして約束も守れないのかしら?」

 ふふん。と勝ち誇ったように言ってくるユラルル。口をパクパクさせているノルンに更に追い討ちをかける。

「依頼の報酬とかは全部ノルンが管理してくれて構わないわ。でもほしい物とかがあったらそのときはお願いね?」

 ひどい内容である。

「がーはっはっはっはっはっは!坊主の分際で女を囲うとかやるじゃねぇか!おめぇの負けだよ、大人しく出してやんな。おーい!飯を二人分だ!」「へーい!」

 いつもの通りの掛け声が響く。

「おい待てバーバ、まだ俺は、」

「小さい事気にしてたらいい男になれないわよ?」

 ノルンの言葉をさえぎってユラルルが言い切る。

「がはははは!嬢ちゃんおまえさん良い女だなぁ!気にせず泊まっていきな。お代は全部こいつからとるからよ。」

 そういうともう一度大きく馬鹿笑いをした。

「おいバーバ、エールだ。酒をよこせ。」

 飲まなきゃやってられないとばかりにカウンターに銀貨を1枚と銅貨を2枚のせる。

「さすがは一端の冒険者だな。そう来なくっちゃな。嬢ちゃんもいるかい?」

「ええ、もらうわ。」

「おいてめぇ、もしかしてそれも俺もちとか言うんじゃねぇだろうな?」

 ノルンは凄んでいるつもりだが傍から見れば見つめているようにしか見えない。

「当たり前でしょ?それにこれから一緒に冒険するんだから乾杯ぐらいしないとね!」

「そういう知識だけは持ってんのかよ。」

 もはやあきれを通り越して感心してしまうとばかりに首を振った。

「おう、おまち。まあ今日は道具の手入れを終わらせてるみたいだし酔いつぶれたら部屋に投げといてやるよ。」

 そう言って二人の目の前にエールが置かれる。

「それじゃあ明日からの冒険が楽しくなるように。」

「もうどうにでもしてくれ……。」

 そういうと二人はエールの入ったジョッキを合わせた。

 

『乾杯』

 


ノルンも娘には弱かったみたいですね。と言うよりもメリルルの系譜に弱いといったほうが正しいのかもしれません。昔からアウトローを気取るヴォルグはメリルルにやり込められていました。

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