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12


 ノルンがいなくなった次の日、ユラルルとイルアリアハートは意気揚々と宿を出た。

 昨日の段階でベリベルとも話し合っている。

 今日は3人だけで迷宮に潜ってみることにしたのだ。


 ギルドの前でベリベルと合流する。

 3人は連れ立って迷宮へと入っていくのだった。



「ベリベルさんどうしたの~?こう、前みたいにごろごろ~っとか、ドカーンとかしないの?」

「へ、へぇ。何ていうかノルンの旦那の叱咤が無いと、気合が入らねぇんですよ。」

「やはり二重人格でしたか。しかもノルンさんの叱咤限定、ですか。」


 先ほどの戦闘を振り返りながら3人は話す。

 といっても、相変わらずベリベルは敵に突っ込むし、魔術で魔物は丸焼きである。

 むしろノルンが居ない分、思い切って使えているぐらいである。


「ま、今日の目標は25階だもんね。そんなに気を張らなくても大丈夫なんじゃないかな?」

「いえ、迷宮という所は何が起こるか分かりません。十分に注意するべきです。」


 流石にイルアリアハートは判っているのか、楽観視はしない。

 周囲を可能な限り探っている。 


 ベリベルを先頭にすえて暫く進むと、ゴブリンの集団が見えてくる。

 

 ゴブリン。

 緑色の小人の総称ではあるがその種類は多岐にわたる。

 一番弱いものは戦闘経験の無い一般男性でも倒せるレベル。

 しかしこのゴブリン、生半可な知識があるため鬱陶しく、必ず集団で行動する。

 強さは本当にバラバラで、恐ろしく強いものも居る。

 

 そのゴブリンは、ベリベル達に走り寄ってこず、その場ではしゃいでいた。

 その顔が醜くなければ可愛いらしくもあった。


「ねぇねぇ、もしかしてアレ、罠のつもりかな……?」

「そうなんじゃねぇですかい?落とし穴、ですかい?」


 そして、改めてゴブリン達を見る。

 そのゴブリン達の手前10m程の場所に、何故か大きな布が置いてある。

 四隅に重りを乗せて。中心はどう見ても地面よりも低い。


 ばればれであるにもかかわらず、ゴブリン達は、何処か誇らしげに声を上げている。

 前回の生き残りのゴブリンが考えた、ベリベル対策であったのだが……。


「動かないみたいだし、焼いちゃえば良いんだよね?やっちゃうよ~。」


 可愛そうに。ゴブリン達は丸焼きになってしまった。


「さて、次は左です。もう少し行った所に降りる道があるようです。」


 何事もなかったかのようにマップを見ながら呟くイルアリアハート。

 一行は何事もなく進んでいた。





-------pf




 一行は、折り返し地点である25階までやってきた。

 ここまで特に何事もなく。


 ベリベルが魔物に集られたり。

 ベリベルが魔術の余波を食らったり。

 ベリベルの横から丸太が飛んできたり。

 ベリベルが躓いたり。


 特に何事もなかった。


「折り返し地点だね~。」

「はい。この先の広間まで行って帰りましょう。」

「へい。」


 そして広間へと入ると、そこにはオークが3体。

 重装備に身を包んだ重装オークが2体、鎧に盾と剣を着た指揮官オークが一体。

 この階層にしてはなかなかに強いランクの魔物である。


「きやすっ!」


 ベリベルが声を上げるとオークが二対、その手に持った手斧を構えてにじり寄ってくる。

 その後ろに付かず離れずの指揮官オーク。

 なかなか良い連携である。


 それを見たベリベルは少し前へとでて、ユラルルは一歩下がる。

 イルアリアハートは弩に矢を番えて構えていた。


 頭から足の先まで、要所は全て鎧で覆われているオークに対して非力な弩では余り意味が無い。

 必殺のタイミングを狙っていた。


 ベリベルとオークが激突する、その瞬間に感じる違和感。

 それを感じたベリベルは少しだけ振り返り、上を向いたベリベルは、すぐさま走り出した。

 ベリベルの視線の先には天井に張り付く黒い人影。

 それがイルアリアハートに向かって、今まさに降り立とうとしていた。


( 間に合ってぐれ!! )


 突然自分に向かって走り出したベリベルに驚愕するイルアリアハート。

 そして自身に向けてタックルをしてくるベリベル。

 反射的にイルアリアハートはしゃがみ、目をつぶる。


 その耳に響く、肉がひしゃげるような音。

 いくらかの金属音。


「え?え?何が……。」


 すぐに目を開けたイルアリアハートに覆いかぶさるようにベリベルが重なっていた。

 天井から降ってきていた人影に向けてショルダータックルをかましたのである。

 そのまま押し倒すようにイルアリアハートの上に倒れこんだ。


「え……ベリベルさ、つっ!」

「動かないでくだせぇ!いま、動くと、守りきれねぇ……。」


 疑問の声を上げようとするが、覆いかぶさったベリベルの鎧を叩く金属音。

 そこでやっとイルアリアハートはベリベルに庇われていることに気が付く。

 後続のオークによってベリベルが袋叩きにされている。


 だが一歩も動けない。


 動けば、即座にイルアリアハートが危険に晒される。

 その為にただ、振るわれる攻撃をベリベルは耐えていた。


「この!」


【火炎魔術:炎の矢】


 オークの為に準備していた魔術が完成する。

 ユラルルの頭の上に展開される、炎で出来た矢。

 20本ほどのそれが放たれようとした。


 が、それは放たれる前に消えうせる。


 ベリベルによって弾き飛ばされた人影によって投げつけられたナイフが、ユラルルの背に突き刺さった。

 背中のど真ん中に突き刺さったそれは、一言も喋らすこと無くユラルルを仕留める。


 人影は慎重に構えると、そのままオークに切りかかられている全身男を眺めていた。

 手を大きく広げ、まるで笑うかのように口を大きく開く。

 そのような器官はとうに失っているにもかかわらず。



---pf



( え、これはどういう状況なのですか。何故こんな状況に? )


 イルアリアハートは考える。

 どうやらベリベルによって庇われた事。

 自分が足を引っ張っていること。

 

( そうだ、ユラルルさん。ユラルルさんの魔術で……!? )


 そう考えて目線を移動させた、その先には、鎧の隙間から覗くユラルルが倒れる姿。

 一目で戦闘の続行が不可能だとわかる。


 なんで、

 どうすれば、

 この状況で、

 挽回するには、

 でもユラルルさんが!


 考えれば考えるほどにぐちゃぐちゃになる思考を止められない。

 そこで、目の前にあるベリベルの顔が映った。


 今にも泣きそうな顔。

 恐怖に引きつり、逃げ出したい。

 そう書いてある。

 しかし、動こうとはしない。

 顔を歪ませ、恐怖に喘ぎながらも、それでも歯を食いしばっている。

 

 それを見て、イルアリアハートは覚悟を決めた。


「ベリベルっ!敵を駆逐です!私に、構うなっ!」


 普段のイルアリアハートからは想像も出来ない声。

 常に理路整然と、冷静に言う彼女の姿はそこには無かった。


( 私が、私はいつまでも庇われているわけには行かないのです。)


 例え自身が危険に晒されようと。

 例えそれで死ぬことになろうとも。

 いまの最善は自分が生き残ること。

 何とかオークを仕留め、すぐにユラルルに駆け寄らなければならない。

 自分の役割は治療なのである。


「貴方の役目はなんですか!私を守ることですか!違うでしょう!」


 イルアリアハートは更に大声を上げる。

 それは自身の非力さに対する悲痛な叫び。

 何も出来ない自分、そして出来るものへの嫉妬、苛立ち。

 そして憧れ、信頼。

 ぐちゃぐちゃな心の中での魂からの叫び。


 イルアリアハートの言葉にベリベルは地につけていた腕を持ち上げ、体を起こした。


 ベリベルの鎧の硬さに業を煮やした重装オークは、手斧を振り上げ渾身の一撃を振り下ろす。


 それをベリベルは難なく手甲で受け止めた。


 そして完全に立ち上がり、吼えた。


「うおおおおおおおぉっ!!!」


 その目には闘志が灯る。


 ここに第2ラウンドが始まった。



---pf



 人影は嗤っていた。

 人を憎み魔物を憎み弱者を憎み生き物を、動くものを憎む。


 しかしその狂気に染まった振る舞いの中で、眼窟の奥の灯火は、未だ知性の輝きを失わない。

 

( くはっ、くひひひひぃははっ!!! )


 その人影は、囲まれたベリベルから距離をとって立ち尽くしていた。

 そしてオークに囲まれた鎧を眺める。


 人影は歪つな姿だった。

 その体は骨に皮が張り付いたようなもの。

 内臓などは無く、左の脇腹は肋骨を含めて丸く切り取られている。

 一見スケルトンのようであるが、体の内部は黒い霧が蠢いていた。

 それ自体が脈打つように、血肉に変わるように。


 嗤い続ける人影の目線の先にはオークに切りつけられる鎧の大男。

 人影との相性は最悪である。

 それ故にいまの状況を放置する。

 それ程に人影にとってあの鎧の大男は危険であった。


( せいぜい仲間を庇って死んでくれよぉ~。お前は邪魔なんだよおおおおおぉ!! )


 しかし、


( あぁ? )


 鎧の大男が立ち上がる。

 それまでの泥臭い動きではなかった。

 左右から振り下ろされる手斧を簡単に弾き、完全に立ち上がった。

 そして雄たけびが上がった。


「うおおおおおおおおぉっ!!!」


 そして大男は軽く指を握りこむような動作をする。

 その瞬間に手甲から飛び出すナイフ。


 そこからは一方的だった。


 大男はそこから一歩も動かない。

 

 だが、近づくオーク達の攻撃をいなし、そして逆の手で簡単に鎧に包まれたオークの胸を貫く。

 鈍重であるために攻撃を当てることは難しくない。

 しかし、効かない。

 力は決して弱くない。むしろかなり強い部類であるオークであるにもかかわらず、全く意に返さない。

 更に重装オークが盾を持った腕ごと潰されるのが見える。


 一対一になったオーク指揮官ですら最早相手にならなかった。

 守る必要の無くなったイルアリアハートを背中に置き、オーク指揮官に対峙する。

 そして、ただひたすらに殴る。殴る。殴る。


 相手が避けるとか、反撃してくるとか、相打ちを狙うだとかを全く考えない。

 ただただ本能に任せるままの乱暴な姿。

 圧倒的な獣の姿であった。


 すぐにオーク指揮官は肉塊へと変貌する。

 その身を抉られ、砕かれ、引きちぎられる。

 

 鎧の大男はオークの腕を引きちぎると、雄たけびを上げ、今度は傍観していた人影の方へと視線を向ける。

 そのまま走りよってくる、


( たのしいねぇ!たのしいねぇ!ははははははぁははっは! )


 人影は腰に挿したもう一つのナイフを引き抜く。

 迎撃するか、殲滅するか、殺しあうか。

 逃げる選択肢などありはしない。

 蜘蛛のように身を低くすると、迎撃するために四肢をつく。


 しかし鎧の大男は予想だにしない行動に出る。

 未だ大分距離があるというのに、体を丸めると人影の方へと転がりだした。

 何をしているんだといぶかしむ人影であったが、すぐにその考えは改めさせられる。


 加速している。


 歩くよりも速く。

 走るよりも速く。

 

 体全てを使い遠心力を使っているのか、原理はわからない。

 しかし、恐るべき速度で人影に襲い掛かっていた。


 だが、人影は冷静に見極める。

 いくら速いといってもその動きは直線。

 避けるのは容易い。


( こいつはだぁめだぁ。ころせないんじゃ、たのしくねぇ。まずはぁ、うしろのざこからだよねぇ!! )


 四肢で地面を蹴り、それをやり過ごす。

 その後に、鎧の大男の後ろに居る少女を先に始末する。

 そう考えていた。


 しかし人影の思惑は悉く外れる。

 一つの大玉と化していた大男は、人影が避けた、その先に、地面を蹴って踊りかかった。

 その圧倒的な重量で、圧し、砕き、引きちぎる。


( ぎひっ、ぎゃはははははっははは!すっごおおおおおい!ひは、ひゃはは!)


 人影の抵抗は奇形のナイフで首を狙うことぐらいであった。

 しかし、あっさりと弾かれる。

 特に厚く改良されたベリベルの首周りの装甲は生半可な攻撃では表面に小さな傷を作るだけであった。


( ひひ、ひゃははは。たのしかったなぁ。 ) 


 後に残されたのは、四肢が引きちぎれ、胴は砕かれ、首だけになったアンデットの姿。

 その脳髄のある場所で、一際大きく脈動する黒い霧も、


( やっと、しねる、か……。)


 更に黒く、血の滴るレガースの底に踏み砕かれた……。

 死ぬ直前にだけ、呪いを精神を、ほんの少し、ほんの少しだけ上回った。

 ただそれだけであった。


 最後に残ったのは、立ち尽くすベリベルと、砂になって崩れ去る、名も無きアンデットだけであった。



----pf



 突然立ち上がったベリベルがオークを文字通り駆逐し、あまりの変貌ぐあいに呆然としていたイルアリアハートであったが、ベリベルが後ろに向かうのを見て、ユラルルへと駆け寄った。


「ユラルルさん、生きてますか?っ、大丈夫ですか?」


 イルアリアハートがユラルルを仰向けにし、声をかける。

 それに対してユラルルはまだ意識があるようだった。


「あ、イルちゃん……。背中がものすっごく痛いの。それに、ごほっ、息がしにくいよ……。」


 ユラルルはまだ普通に生きていた。

 その原因は言うまでもなく着ていたローブのお陰である。

 対物理と対魔法に恐ろしい性能を誇る一品である。

 グルカナイフが背中に飛んできたというのに、ローブ自体には傷一つない。

 ただ単に、当たり所が悪く、背骨を直撃してしまいその衝撃で骨が折れたのだろう。


 状況を確認したイルアリアハートはユラルルに手を当てると魔術を発動させる。


【神聖魔術:再生】


「暫くじっとしていてください。すぐに良くなりますから。」


 そういってユラルルにイルアリアハートは微笑んだ。

 そしてそれを見たユラルルは答える。


「うう……ノルンにはありがとうって、言っておいてね。それと、結婚は私の許可が無いと駄目だって。

 それとね、お酒飲み過ぎちゃ駄目だよって。あと、最近お風呂一緒に入ってないから入ろうって。

 あとあと……。」

「……ユラルルさん、元気そうですね。治療やめてもいいですか。」

「駄目だよ~。本当に痛いんだからー。それに体が殆ど動かないんだよ~?これでも無理して喋ってるんだから。」

「そうですか。元気そうで何よりです。」


 そんな話をしつつ、イルアリアハートは視線をベリベルの方へと向けた。

 そこでは黒い人影がバラバラに解体されているところだった。


(はぁ、あんなに偉そうな事を言ってしまいました。恥ずかしいです。何処かに隠れてしまいたいです。)


 そんなイルアリアハートの内心を他所に、ベリベルがまるで褒めてほしいと言わんばかりに歩いてきていた。



 3人はどうにかして危機を脱したのであった。





 

この後書きはおまけを載せています。


この話の雰囲気をぶち壊します。


気をつけてください。












※おまけ




 恐ろしいアンデットとの死闘を終えた3人は迷宮から帰ってきていた。

 その際の会話である。



「ベリベルさん、今日は偉そうな事を言ってしまい申し訳ありませんでした。」

「へ?いえいえいえ、そんなこと気にしないでくだせぇ。アレがなけりゃ、おでなんか丸くなって震えてただけでさぁ。」

「そういえば、25階のときのベリベルさんの雄姿、私見れなかったんだよね。どんな感じだったの?」

「すごかったです。並み居る敵をばっさばっさ切り裂いていって、オークよりも怪力でした。見たこと無いギミックに、……そうです。ゴロゴロ転がって行ってました。30mぐらい。すごい速度でしたよ、とてもじゃないですが真似出来ません。」

「へぇ~。私も見たかったなぁー!だって、ベリベルさんが戻ってきた時、真っ赤だったんだよ?何が起きたのかと思っちゃった。ねぇねぇ、ベリベルさんかっこよかった?惚れちゃいそう?」

「……確かにかっこよかったです。それは認めます。でも、なんと言いますか獣のようだったといいますか……。そういえばベリベルさん、普段と迷宮で性格が違う気がするんですが、何故ですか?」

「へ?あ、ああ……おで、ノルンの旦那に叱咤されると、なんだか体が勝手に動くんすよ。おでも不思議なんすけど……。」

「そうだったんですね。……でも、今日はノルンさん居ませんでしたが、いつもよりも更に動きがすごかったですよ?」

「へぇ、そのですね……。イルアリアハートさんに叱咤されて、その、気合が入ったといいやすか……。もう何もかも忘れて本能のままに動いたといいやすか……。あのですね……その、おでを、また、

 叱ってもらいやせんか!!?」

「え。」

「……え?」

「ベリベルさんって、そういうそういう趣味だったの?」

「ちょっと待ってください。ちょっと落ち着いてください。冷静になりましょう。ベリベルさん、要点だけもう一度お願いしてもいいですか?」

「……イルちゃん鬼畜だなぁ。ベリベルさんも何故か嬉しそうだし。」

「その、おでをまた、叱ってしてほしいっす……。」

「……。」

「……ノルンさんでは駄目なのですか?ノルンさんに言われるとなると先ほど言っていましたが。」

「ノルンの旦那に言われると、確かに体が勝手に動きやすが、イルアリアハートさんとは比べ物にならないでさぁ!なんと言うか、感じ方が違いやす。ノルンの旦那はひぃ、って感じっすけど、イルアリアハートさんは、もっとしてほしくなりやす。まるっきり違いやすけど、どうしたんですかい?お二方とも黙ってしまいやしたが。」

「その……イルちゃん、頑張って?」

「……とりあえず私は何も聞いていません。ベリベルさんとはこれからも良い仲間として付き合って行きたいです。……今日は疲れたので早く寝たいです。」

「……?どうかしたんですかい?疲れた顔をしてやすけど。ああ、イルアリアハートさんの意見には賛成ですぜ。おでも今日は疲れやした。」

「……もしかしてベリベルさん天然なの……?気づかずに言っちゃってるの……?むしろ知らないのかな?」

「それではベリベルさん、ここでお別れのようですね。明日はお休みにしましょう。お互いの距離も測らないといけませんし。」

「へい。今日はお疲れさまっす。」

「ベリベルさんまたね~。」

「今日は有難う御座いました。またお願いしますね。」


「……ベリベルさんマゾなんだね。」

「言わないで下さい。頭痛がします。」

「イル女王様?」

「……次に怪我したら放置します。」

「え~!ごめんなさい。今日は本当に有難うね?死んじゃうかと思っちゃった。命の恩人だね。」

「わかればいいのです。……はぁ。」




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